【SF小説】感想「ナックの墓場」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 688巻)(2023年5月9日発売)

ナックの墓場 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-688)

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ナックの墓場 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-688) 文庫 2023/5/9
エルンスト・ヴルチェク (著), ロベルト・フェルトホフ (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/5/9)
発売日:2023/5/9
文庫:304ページ

【※以下ネタバレ】
 

ローダンと"名無し"は、ベオドゥの行方の手がかりである"ナックの墓場"を調査するため、ナックの故郷惑星ナンサルに向かう!


消息を絶ったベオドゥを追い、ローダンは伝説の研究者の名無しとともに奔走する。だが、その行方は杳としてつかめない。唯一の手がかりは、チャリフ星系のタンジ=ティムブのヴィデオルームで見た、伝説のナックが語る“ナックの墓場”だった。プロジェクト機構のメンバーであるダルフロルの招待を受け、ローダンはナックの故郷惑星ナンサムに向かう。だがその地では、チャリフ星系を殲滅するハウリ人の恐るべき陰謀が!

 

あらすじ

◇1375話 ナックの墓場(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:渡辺 広佐)

 ローダンの友ベオドゥが失踪し、ローダンは手掛かりを追ってナックの故郷惑星ナンサルへと向かった。ナンサルではハウリ人の秘密組織がブラックホール・アナンサルを爆発させてチャリフ星系を滅亡させる計画を進めていた。ローダンは組織に捕らわれていたベオドゥを救出するとともに計画を阻止し、さらに逃走したハウリ人の追跡を開始した。(時期:NGZ447年7月15日~)

※初出キーワード=都市ナッカラン(ナックの都市)



◇1376話 ヘクサメロンの奉仕者(ロベルト・フェルトホフ)(訳者:渡辺 広佐)

 ローダンたちは逃走したハウリ人を尾行し、彼らの母星系・ウシャアル星系にたどり着いた。この星系にはハンガイ銀河全域からヘクサメロンへの奉仕を希望する者たちが集まっており、ローダンたちはその中に紛れてハウリ人都市への侵入に成功した。ハウリ人はローダンの正体を見破り刺客を差し向けるが、謎のハウリ人がローダンを助けた。(時期:不明。NGZ447年7月頃)

※初出キーワード=ウシャアル星系。恒星ウシャ。恒星アル。惑星タルウル。惑星チェオバド。惑星エペルム。

あとがきにかえて

・句会の話
・ローダンの翻訳から卒業するという話


感想

・前半エピソード 原タイトル:FRIEDHOF DER NAKKEN(意訳:ナックの墓場)

 ローダンたちがナックの母星ナンサルに乗り込み、ハウリ人の秘密組織と対決する話。ナックの誕生から成長までが詳しく語られましたが……、ナックのプシ能力が母星を巡るブラックホールの力で与えられるのなら、通常宇宙のナックたちのプシ能力はどこから来ているのか……、まあ、後付け設定が通常運転のローダン・シリーズにそれを突っ込むのは野暮ですね。

 誤字あり。P104 誤「レンナルの~」・正「クレンナルの~」。最近誤字が多いですね。



・後半エピソード 原タイトル:DIE WERBER DES HEXAMERON(意訳:ヘクサメロンの奉仕者

 ローダン一行がハウリ人の母星系に潜入する話。厳重に封鎖されているのかと思いきや、意外にもハンガイ全域から良い働き場所だとみなされて、出稼ぎの者たちが殺到して物凄くにぎわっているという驚きの設定。カルタン人たちはハウリ人を敵視し、さらにタルカン宇宙から逃げ出すことに必死になっていますが、大半の種族にはその辺りの事情は関係ないらしい。ハンガイ銀河の勢力図というかそういうのがイマイチ良く分からないです。



・あとがきにかえて

 渡辺広佐(ひろすけ)氏がローダン翻訳からの卒業を告知されました。渡辺氏が初担当した巻は1999年発売の248巻ですから25年間もの間お世話になった訳です。これで故・松谷氏が亡くなった直後(1998~1999年)に参加された翻訳者三人(天沼春樹氏、五十嵐洋氏、渡辺広佐氏)は全員いなくなってしまいました……(寂寥感)
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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