【SF小説】感想「集結ポイントYゲート」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 696巻)(2023年9月5日発売)

集結ポイントYゲート (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-696)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124191
集結ポイントYゲート (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-696) 文庫 2023/9/5
エルンスト・ヴルチェク (著), ペーター・グリーゼ (著), K・H・シェール (著), 工藤 稜 (イラスト), 若松 宣子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/9/5)
発売日:2023/9/5
文庫:288ページ

【※以下ネタバレ】
 

ドリフェル・ゲートから脱出したローダンらを、炎の侯爵アフ=メテムは自分の配下にすべく、さまざまな手段で懐柔しようとする!


ドリフェル・ゲートから脱出し、ベングエルとジュアタフ・ロボットの大歓声に迎えられたペリー・ローダンとベオドゥ。だが、巨大複合宇宙船“ジュナガシュ”で二人を待っていたベングエルの指導者“亡霊を視る者”は、アフ=メテムの化身だった。炎の侯爵はローダンを自分の配下にすべくさまざまな手段で懐柔しようとする。ローダンは、ベングエルとジュアタフたちに、自分が囚われの身であることを伝えようとするが…

 

あらすじ

◇1391話 炎の侯爵(エルンスト・ヴルチェク&ペーター・グリーゼ)(訳者:若松 宣子)

 ローダンとベオドゥはベングエル種族の巨大宇宙船に迎え入れられるが、ベングエルの指導者「亡霊を視る者」は炎の侯爵アフ=メテムの化身だった。アフ=メテムはローダンを殺さず、六日間教義の信奉者に改宗させようと寛大な姿勢を取った。ローダンはアフ=メテムの隙をつきベングエルたちと共に反撃を開始するが、そこに正体不明の宇宙船団が接近してきた。(時期:NGZ448年1月6日~)

※初出キーワード=嵐の侯爵。世界洪水の侯爵。崇拝の侯爵。



◇1392話 集結ポイントYゲート(K・H・シェール)(訳者:若松 宣子)

 アトラン指揮下のタルカン遠征艦隊は、恒星「Yゲート」近傍に集結した後、ローダン捜索を再開した。やがてアトランたちは時空断層「ボルジ・アム・ドロア」を発見し、内部にハウリ人が作った人工星系「ギルラトゥ星系」が隠されている事を突き止め、惑星「アラパ」に潜入した。一行は炎の侯爵アフ=メテムの待ち伏せを受けるものの脱出に成功し、やがてベングエル種族とジュアタフ・ロボットの大船団と遭遇した。(時期:NGZ448年1月15日~1月28日)

※初出キーワード=恒星Yゲート。時空断層ボルジ・アム・ドロア(ボラム)。恒星ギルラトゥ/第四惑星アラパ。炎の嵐作戦。


あとがきにかえて

 「バンビ」の原作の話。


感想

・前半エピソード「炎の侯爵」 原タイトル:DER FURST DES FEUERS(意訳:炎の侯爵)

 ローダンとベオドゥが炎の侯爵アフ=メテムに捕まってしまう話。全体的には退屈でしたが、ローダンとアフ=メテムの問答のシーンはちょっと面白かった。

 しかし、アフ=メテムが「名前から予想していたと思うが、ヘクサメロンは中心に六名がいる組織だ」云々と答えるシーンはちょっと……、なぜならば「ヘクサ」=「6」というのは地球の言葉なんですけど……? というかヘクサメロンという言葉自体ローダンオリジナル用語じゃなかったんですね(検索しても対象外の言葉が引っかかって仕方ない……)

 あと気になることがもう一つ。P25での「フィクティブ転送機や変換砲と同じ」云々という文を読んで「変換砲……? ついにトランスフォーム砲すらまともに翻訳できなくなったのか?」と衝撃を受けたのですが、その直後にちゃんと「トランスフォーム砲」と書いてありました……、うーん? 編集者はこのあたりの整合性についてきちんとチェックしているのでしょうか?


 ヘクサメロンの六大侯爵は以下の内訳です(P101参照)
 ・強さの侯爵(メテム) … 炎の侯爵、嵐の侯爵、世界洪水の侯爵
 ・信心の侯爵(レテル) … 清純の侯爵※、教理の侯爵、崇拝の侯爵 ※693巻(1385話)では「純潔の侯爵」と訳されていた



・後半エピソード「集結ポイントYゲート」 原タイトル:TREFFPUNKT Y-GATE(意訳:集結ポイントYゲート)

 アトラン率いる遠征艦隊がタルカン宇宙側の時空断層を発見する話。

 この話はシェールがどうしたのかと思うくらい退屈で途中で何度も寝そうになりました…… あと相変わらずエネルギー兵器嫌いで実体弾を愛する兵士が出てくるのには笑ったなぁ。

 P267に「NU=ガス反応炉」という言葉がでてきますが、これは懐かしの反物質反応炉「ニューガス反応炉」のことではないのでしょうか……? それとも別物?
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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