【SF小説】感想「アインシュタインの涙」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 583巻)(2018年12月19日発売)

アインシュタインの涙 (宇宙英雄ローダン・シリーズ583)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122091
アインシュタインの涙 (宇宙英雄ローダン・シリーズ583) (日本語) 文庫 2018/12/19
ウィリアム・フォルツ (著), デトレフ・G・ヴィンター (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
文庫: 287ページ
出版社: 早川書房 (2018/12/19)
発売日: 2018/12/19

【※以下ネタバレ】
 

数十億の輝く小球がグレイの回廊内にあらわれた。この厄災を警告するために地球へ帰還したエラートは、霊廟で目をさますが……!?


ヴィシュナ第六の災い"ヴィシュナ熱"に罹患したテラの人類は、その後"技術狂"と呼ばれる譫妄状態になり、目的不明の奇妙なマシンを数えきれないほど建造していた。これらのマシンは、やがて地球上の全エネルギーを吸引したのち、謎の六次元性インパルスを放射しはじめる。レジナルド・ブルは調査に乗りだすが、そのとき宇宙空間から、輝くちいさな泡が数十億個も湧きだすようにあらわれてテラ地表へと向かってきた!

 

あらすじ

◇1165話 アインシュタインの涙(ウィリアム・フォルツ)(訳者:渡辺 広佐)

 太陽系では、タウレクが消えた地球の行方を捜索中に空間の亀裂を発見するものの、そこから先に進む方法が見つからなかった。地球では、エデンIIから戻って来たエルンスト・エラートが自分のミイラ化した肉体に宿り、ブルたちに第七の災い「アインシュタインの涙」を警告する。直後、地球上の人間は全員意識不明にされたままミクロ化されてしまい、さらに宇宙からやって来た数十億のミニチュアの地球に吸い込まれてしまう。(時期:不明。NGZ427年4月頃)

※初出キーワード=アインシュタインの涙



◇1166話 炎上する宇宙(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者:渡辺 広佐)

 NGZ427年3月。M-82銀河では、アトラン指揮下の《ソル》と蛮族ウェーブがオルドバンの行方を捜索していたが、一か月半経っても何の手掛かりも見つけていなかった。やがて《ソル》の近くにインパルスを発する謎の存在が出現し、追跡した《ソル》はルクユーン種族の艦隊がセト=アポフィスの兵器「炎上軍勢」に攻撃されているのに遭遇する。しかし炎上軍勢を操っていた「真空の貧者」は、セト=アポフィスが消えたことで死に、軍勢も消滅した。その後、トルクロート人の全戦力である18の蛮族ウェーブ合計90万隻が、《ソル》同様にインパルスに導かれ、一つの宙域に集結した。アトランたちは、インパルスはオルドバンからの招集だと信じ込ませ、全艦隊を指揮下に置くことに成功した。やがてインパルスは本当にアルマダ中枢からの信号だと判明した。(時期:NGZ427年3月1日~)

※初出キーワード=炎上軍勢、真空の貧者、ユーロレニア人、ソワッテ(種族名)


あとがきにかえて

 渡辺氏が北海道の奥様の実家に行った話。


感想

 前半エピソード … ヴィシュナ第七の災いのエピソード。しかし、エラートがミイラ化した体に戻ってミイラが動き回ったり、人類がミニ地球に吸い込まれてしまったり、と、SFというよりファンタジーに寄せたような展開です。話自体はまあまあ面白かったのですが、昔のローダンの話とは随分変わってしまったなぁと……、あと丸い球の何が「アインシュタインの涙」なのか、全く意味が解りませんでした……

 ちなみにこのエピソードは、フォルツが書いた最後のローダン作品となりました。フォルツはこの作品(1983年)発売の翌年に急死したとのこと。


 後半エピソード … M-82銀河に戻って、オルドバン探しをしているアトランたちの話。セト=アポフィス最強の兵器「炎上軍勢」(1161話「超越知性帯の最後のゲーム」ではP84で「燃える軍勢」と訳されていた)が出てきて、これから強敵として対決するのかと思ったら、あっさり消滅してしまって拍子抜けも良い所でした。しかし、ラストでアトランが棚ぼた的に90万隻の艦隊の指揮権を手に入れるくだりはなかなか燃えました。
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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