感想:海外ドラマ「刑事コロンボ」第35話「闘牛士の栄光」

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刑事コロンボNHK BSプレミアム BS4K 海外ドラマ https://www9.nhk.or.jp/kaigai/columbo/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

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第35話 闘牛士の栄光 A MATTER OF HONOR (第5シーズン(1975~1976)・第4話)

 

あらすじ

刑事コロンボ(35)「闘牛士の栄光」
[BSプレミアム]2020年11月25日(水) 午後9:00~午後10:14(74分)


刑事コロンボ』旧シリーズ一挙放送!舞台はメキシコ。名闘牛士だった伝説的英雄が、長年の相棒を凶暴な牛に襲わせて殺害。果たしてその動機とは?


メキシコの元闘牛士で国の英雄でもあるモントーヤの牧場で、かつての相棒エクトールの息子が牛に立ち向かい負傷する事件が発生。エクトールと共に助けに向かったモントーヤは、突然、麻酔銃を彼に発砲し、荒くれ牛を放つ。その後、エクトールは牛に襲われ死亡した。果たしてモントーヤの動機とは?休暇でメキシコを訪れていたコロンボは、地元の警部に請われ、捜査に加わることに。

●序盤

 元伝説的闘牛士ルイス・モントーヤの牧場では、牧場に勤める若者クーロが、気性の荒い牛マリネロに襲われ入院するという事故が起きていた。モントーヤは、マリネロを処分するといい、親友で闘牛士時代の相棒だったエクトールを連れて闘牛場(リング)に入る。ところがモントーヤは、エクトールに麻酔銃を撃ちこんで体の自由を奪った後、マリネロを突進させてエクトールを殺してしまう。


●中盤

 コロンボは妻と共に休暇でメキシコに来ていたが、一人で自動車を運転中に追突事故を起こしてしまう。地元警察のエミリオ・サンチェス警部は、コロンボが過去に豪華客船内の殺人事件を解決したことを知っており、話を聞きたがる。その直後、モントーヤの牧場での事件の知らせが入り、サンチェスは強引にコロンボを同行させる。

 モントーヤは、警察に対し、自分が講演でアメリカに行っている間に、帳簿の確認のため牧場に残ったエクトールが一人でマリネロを殺そうとしたに違いないと説明する。エクトールは息子のクーロが退院すれば、名誉のため再度マリネロと対決するに違いないと考え、先にマリネロを殺そうとしたのだろうという。

 コロンボは、エクトールが雇い主の高価な財産を勝手に殺そうとしたという話に疑問を抱く。またモントーヤは、講演に行く際、エクトールが運転手を務める車ではなく、別の車をあらかじめ用意させていたことにも引っ掛かりを感じる。サンチェスは単純にエクトールは事故死だと考えていたが、コロンボモントーヤが事件に関係している事を示唆する。

 翌日。コロンボモントーヤの牧場を再訪するが、エクトールは生前に何故か荷造りをしており、牧場を出ていくつもりだったらしいことが解る。コロンボモントーヤが怪我で闘牛を引退した時の話を聞く。コロンボはエクトールの死体の尻に針を刺したような傷があったことを知り、検死解剖を勧める。

 コロンボモントーヤの牧場に麻酔と麻酔銃が置いてあることを確認する。また帳簿が数日前にチェックを終えており、それをモントーヤも知っていた筈と指摘する。

 コロンボは休暇が終わりロスアンゼルスに帰る日が迫っていたが、決定的証拠はなく、このまま事件がうやむやになりそうな雲行きとなる。しかし、サンチェスの息子たちが闘牛士ごっこをしていて、ケープが風で飛ばないように水でぬらすところを見てあることに気が付く。コロンボは、クーロにモントーヤがエクトール殺しの犯人だと確信していることを話し、協力を要請する。


●終盤

 コロンボを含む警察がモントーヤの屋敷に乗り込み、モントーヤがエクトールに麻酔銃を撃ったといい、モントーヤは名誉棄損だといきり立つが、そこにクーロがリングで牛と対決しようとしているという知らせが入る。モントーヤは、すぐにリングに乗り込みクーロをなだめるが、次の瞬間クーロは牛をリングにに呼び込ませる。それを見たモントーヤは、怯えて動くこともできなくなり、他の者たちがすぐさま牛を取り押さえる。

 サンチェスは部下にモントーヤを連行させ、モントーヤも黙って従う。コロンボは、先日クーロが牛に襲われた時も、モントーヤは怯えて動けなくなり、牛を取り押さえたのはエクトールだったと説明する。そしてモントーヤは自分の名誉のため、真実を知るエクトールを殺したのだった。

 コロンボはエクトールが死んだ日、強風が吹いていたのに、エクトールが使ったはずのケープには水で濡らした後が無く、水の用意も無かったため、エクトールがケープを使ったはずがないと気が付いたのだった。
 
 
監督 テッド・ポスト
脚本 ブラッド・ラドニッツ


感想

 評価は○(並)。

 コロンボが外国に行った際に事件に遭遇し、一私人として現地の警官に協力する、という普段とは違ったパターンのエピソード。内容は小粒で短編小説的なストーリーだったが、そこそこには面白かった。


 現地の警官サンチェス警部の台詞で説明されるが、本エピソードは第29話「歌声の消えた海」の後に起きた事件ということになっている。基本的にコロンボ作品はそれぞれ完全に独立しているので、こういう他のエピソードとの繋がりが描写されるのは何となく面白いかった。

 また、サンチェス警部は、事件の話を知っていて、最初からコロンボ切れ者だというスタンスで敬意を持って接してくれている、というのも何か新鮮だった。今回と同様に、やはりコロンボが外国に行き捜査を手伝った第13話「ロンドンの傘」では、最初はちっとも相手にしてもらえなかったのとはえらい違いである。


 本エピソードは、コロンボは事件の捜査責任者ではなく、あくまで旅行中の一外国人でしか無いという異色編だが、コロンボが現場で次から次へと不審点を見つけだし、関係する名士・有名人が怪しいとすぐに気が付く、というパターンはしっかり守られていたので、話としては十分楽しめた。また、コロンボが文化も違う異国の地で、さらに全く知識のない闘牛という仕事を相手にしながらも、的確に事件のポイントを掴んでいくという展開も、視聴者としては嬉しい限りだった。


 放送時間は短めの74分枠作品だったが、ほぼストーリーがモントーヤの牧場でのみ展開するので、他の作品と比較してもさらに小粒感が有り、実際よりもさらに短く感じさせられた。感覚的には、長尺の97分版が長編小説なら、今回は短編小説というイメージだった。


 コロンボは、最初にモントーヤの牧場を訪ねた時点でもうモントーヤが怪しいと睨むが、それを早々にサンチェスに伝えているのは珍しくて新鮮だった。普段はコロンボは誰を疑っているか、というのはなかなか公表せず黙って捜査をするタイプなので、コロンボが誰それが怪しい、と早々に口にするというシチュエーションは初めて見た。


 本作では、誰が犯人かは最初から明かされているが、何故殺したかは伏せられており、それについての謎解きで最後まで引っ張る、というのも異色な展開だった。結局動機は最後に劇的な形で明かされるが、その後、モントーヤが自白したわけでもないのに、サンチェスがさっさとモントーヤを連行したのにはちょっと面食らった。結局リングの中でモントーヤが戦えないと解ったとしても、それが殺人の証拠にはならないわけで、ちょっとストーリーとしては強引で、ここはどうもすっきりしなかった。

 まあモントーヤにしてみれば、人を殺してまで守ろうとした秘密が大勢にばれてしまったので、もう犯行を隠す意味もないだろうが、それを見越していたとしてもサンチェスが先走り過ぎの感は否めなかった。この辺りがもう少しスマートに展開していれば、と残念ではあった。

 しかし、まあ、傑作ではないにせよ、そこそこには楽しめたエピソードではあった。


 作品のサブタイトル「A MATTER OF HONOR」は、意訳すると「名誉の問題」となり、これはこれで悪くないのだが、日本語サブタイトル「闘牛士の栄光」の方がしゃれていると思う。


 犯人ルイス・モントーヤを演じたリカルド・モンタルバンは、「宇宙大作戦/スタートレツク」で遺伝子操作された超人カーン役を演じ、同じ役柄で映画「スタートレックII カーンの逆襲」にも出演した。


その他

 放送時間:1時間14分。
 
 

#35 闘牛士の栄光 A MATTER OF HONOR
日本初回放送:1977年


メキシコの元闘牛士、ルイス・モントーヤの長年の相棒であるエクトールの息子が、牧場で牛に立ち向かい負傷した。モントーヤは、その荒くれ牛を殺そうとエクトールと共に闘牛場に出るが、突然麻酔銃でエクトールの足を撃ち抜いた。そこへ荒くれ牛を放ち、エクトールは牛に襲われ死亡。果たしてモントーヤの犯行動機とは!?休暇でメキシコを訪れていたコロンボは、地元の警部に請われ、事件を解決に導く。


さまざまな職業の犯人が登場する『コロンボ』だが、今度はなんと闘牛士コロンボと犯人がラストの4分間、まったく言葉を交わさないという驚くべきクライマックスが用意されている。


出演
コロンボ・・・ピーター・フォーク小池朝雄
ルイス・モントーヤ・・・リカルド・モンタルバン(庄司永建
サンチェス・・・ペドロ・アルメンダリス・JR.(新克利
クーロ・・・A・マルティネス(立沢雅人)
カルロス・・・ホルヘ・リベロ(伍代達弘)


演出
テッド・ポスト


脚本
ブラッド・ラドニッツ

 

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