【特撮】感想：特撮「ウルトラQ 4Kリマスター版」第９話「クモ男爵」

ウルトラQ 4Kリマスター版 NHK　https://www4.nhk.or.jp/P5138/
放送　NHK BSプレミアム。

【※以下ネタバレ】
　

第９話　クモ男爵

あらすじ

ウルトラＱ　４Ｋリマスター版（９）クモ男爵
[BS4K] 2021年05月24日午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)

３５ｍｍフィルム原版から４Ｋリマスター。灯台で、巨大クモが職員を襲っていた。道に迷った万城目らは、洋館に着く。中はクモの巣だらけ。明かりは灯台の光ではなかった

とある灯台で、巨大なクモが職員を襲っていた。一方、夜霧で道に迷った万城目たちは、微かに見えた明かりを頼りに洋館を見つけるが、中にはクモの巣だらけで誰もいない。洋館の明かりに見えたのは近くの灯台の光のようで……。もともと３５ミリフィルムで制作されていた１９６６年放送の特撮ドラマを４Ｋリマスター。だれも見たことがなかった「ウルトラＱ」。

【出演】佐原健二，西條康彦，桜井浩子

　
登場 … 大ぐもタランチュラ

　夜。灯台の職員二人が人間サイズの巨大クモに襲撃される。

　万城目・一平・由利子と、三人の友人の葉山・竹原・今日子の六人は、車二台に分乗してパーティーから帰る途中に、濃霧で道に迷ってどことも分からない場所で立ち往生してしまう。さらに道を探しに出かけた一平と竹原は底無し沼に落ちてしまい、万城目たちに助けられたものの半死半生状態になってしまう。

　万城目はふと目にした灯りを見て、沼の向こうにある屋敷に気が付き、六人は沼を乗り越えてなんとかその屋敷にたどり着く。ところが屋敷は無人で内部は荒れ果てていた。どうやら近くの灯台の灯りが屋敷の窓に反射していたのが、この屋敷の灯りのように見えたらしかった。

　一行は一平と竹原を介抱する一方で、万城目は突然「クモ男爵」の話を持ち出す。約90年前、クモの収集が趣味で周囲から「クモ男爵」と呼ばれる人物がいた。男爵の一人娘が結婚する日、娘は男爵が飼っていた毒蜘蛛タランチュラに刺されて発作を起こし、苦しんで暴れた挙句底なし沼に転落して死んでしまった。男爵は悲しみのあまり正気を失ったが、やがて娘はタランチュラとなって現れ、男爵と二人だけで暮らしたという。

　由利子たちは万城目の作り話だと信じないが、やがて万城目は屋敷の中に人間サイズの巨大クモがいることに気が付く。万城目たちはクモに襲われるが、ナイフをふるって殺すことに成功する。ところが二匹目が現れたため、一行は慌てて屋敷を逃げ出すものの、クモは沼を渡って追跡してきた。万城目は車でクモをひき殺すと、それと同時に屋敷が炎に包まれて崩壊してしまった。

脚本：金城哲夫監督：円谷一特技監督：小泉一

感想

　評価は○（そこそこ）。

　巨大なクモが出て来るものの、ジャンルとしては「怪獣物」では無く、不気味な洋館を舞台にした「怪談」で、そこそこには面白かったです。

　パーティー帰りの六人が道に迷った挙句に不気味な洋館に迷い込み恐怖体験をする、という展開ですが、メンバーがクモにどんどん殺されていく、というわけでもないのでモンスターパニックホラーではなく、また万城目たちが他人の家に勝手に上がり込んでさらに勝手にワインを持ち出してきて一杯やったりとか、あまり素行がよろしくないところも見られますし、最後は屋敷が焼け落ちて幕、という展開からして「怪談」と分類するのがよさそうです。また雰囲気的にも、あまり子供の視聴者は意識していなさそうで、ちょっと異色な一作。

　さて、劇中で万城目は思わせぶりに「クモ男爵」の話をするのですが、劇中で二体の大クモはクモ男爵＆娘の変化した姿かどうかは語られないため、今一つ設定が生きていません。どうせなら万城目が古ぼけた日記帳を発見して「クモ男爵の話は本当だったのか……」とかいうシーンがあれば、「クモに変わってしまった悲劇の親子」という面が強調されて、また感想も変わったと思うのですが、それが無いので単なる廃墟での大クモ退治話にしかなっていないのがちょっと……

　また冒頭に灯台を大クモが襲撃するシーンがあるものの、その後の屋敷での万城目たちの話と全く繋がっておらず、不要な展開だった気がします。

　それにしてもこの話、「パーティー帰りで良い気分の若者（？）六人が、勝手に他人の屋敷に入り込み、ワインなどを勝手に物色した挙句、ろうそくの火の不始末で他人の屋敷を全焼させてしまった」という結構酷い話のような気が……、クモの犠牲者は一人もいないだけに余計に……、あとから色々と問題になりそうな気が……
　
　

　
　