【SF小説】感想「カルタン人の葛藤」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 642巻)(2021年6月2日発売)

カルタン人の葛藤 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-642 宇宙英雄ローダン・シリーズ 642)

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カルタン人の葛藤 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-642 宇宙英雄ローダン・シリーズ 642) 文庫 2021/6/2
H・G・エーヴェルス (著), クルト・マール (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
出版社:早川書房 (2021/6/2)
発売日:2021/6/2
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

カルタン人庇護者ダオ=リン・ヘイはアダムスを誘拐し故郷アルダスターに向かうが、そこでは彼らの氏族間闘争が勃発寸前だった!


過去、M‐33において、カルタン人種族とマークスを祖に持つ水素呼吸体マーカル種族は領土戦争をくりかえしていた。かつて銀河系で非常に強い宇宙震が起こったとき、恒星ヌジャラの周囲にパラ露が物質化したことで、これを用いたカルタン人は戦いを優位に進めていく。だが同時に、グレート・ファミリーと呼ばれる名家七つのあいだでパラ露の支配圏をめぐる軋轢が生じ、やがてカルタン人は内戦の危機を迎えるのだが…!?

 

あらすじ

◇1283話 カルタン人の葛藤(H・G・エーヴェルス)(訳者:渡辺 広佐)

 アダムスたちを乗せたカルタン人宇宙船は無事三角座銀河に到着したが、それを知ったストーカーの宇宙船と銀河系船団もやはり三角座銀河へと向かった。同じころ、カルタン人の宿敵マーカル種族は、秘密兵器を用いてカルタン人に攻撃を開始し、カルタン人は危機に陥る。結局銀河系種族の介入によってカルタン人は救われ、宇宙ハンザとカルタン人の間に平和協定が結ばれた。(時期:NGZ430年6月4日とその前後)

※初出キーワード=プシヴァク、プシオン性真空、小惑星ヌジャリン


◇1284話 勝利はかれらに(クルト・マール)(訳者:渡辺 広佐)

 力の集合体エスタルトゥ。惑星マルダカアンでは、ブルはパーミット/戦士のこぶしを自ら捨てたことがばれて「生命ゲーム」への参加を拒否されるが、すぐさま裏社会の住民と接触し、テラナーがいる北極のウパニシャド学校へと潜入することに成功した。一方、ロワ・ダントンとテケナーは生命ゲームの予選に参加し、仮想現実の中で展開される戦いを制し、予選に勝ち残った。(時期:不明。NGZ429~430年頃)

※初出キーワード=ウルフォ種族、ニュンド種族、ガヴロン種族


あとがきにかえて

 定年で教職を退いた後、電動アシスト自転車で走り回っている、という話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:DER KARTANIN-KONFLIKT(意訳:カルタン人紛争)

 舞台を三角座銀河に移しての、カルタン人・マーカル種族・ストーカーたち、が入り乱れてバタバタする話。なんか構成が無駄にややこしくてすっきりしない話でした。プシヴァクだのプシオン性真空だの設定がごちゃごちゃしすぎです。

 ところで、原題「DER KARTANIN-KONFLIKT」と話の内容から考えて、今回の話の正しいタイトルは「カルタン人の紛争」とか「カルタン人の対立」ではないでしょうか? 今回カルタン人が葛藤していたようには思えないんですけど?


・後半エピソード 原タイトル:AM PAs DER ICANA(意訳:イカナの峠で)

 舞台を力の集合体エスタルトゥのマルダカアンに戻してのエピソード。謎の「生命ゲーム」の内容が、仮想現実世界を舞台にした文字通りのゲームであることが明かされます。この「仮想現実世界で本来の自分とは異なる他人になってその世界であれこれする」という設定は、最近ではもうオンラインゲーム関係ですっかりおなじみになっており、なんとなく時代がローダンに追いついた感が有ります(ちょっと言い過ぎか)。

 原題は、仮想現実世界でダントンたちが巨大怪獣「イカナ」を利用して勝利する、というところから来ていますが、さすがにこれは解り辛い。しかし日本語サブタイトル「勝利はかれらに」も、これはこれでなんか意味不明です……
 
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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