ウルトラQ 4Kリマスター版 NHK https://www4.nhk.or.jp/P5138/
放送 NHK BSプレミアム。
【※以下ネタバレ】
第22話 変身
あらすじ
ウルトラQ 4Kリマスター版(22)変身
[BS4K] 2021年08月23日 午後11:15 ~ 午後11:41 (26分)
35mmフィルム原版から4Kリマスター。山中で巨大な人間の足跡が発見される。由利子の友人は婚約者が雪男だと打ち明ける。婚約者は日本にいない蝶の毒を受けていた。
山中で巨大な人間の足跡が発見され、雪男騒ぎが巻き起こる。由利子の友人、あや子は自分の婚約者・浩二が雪男だと打ち明ける。あや子の話によると、昆虫学者の浩二は日本にいないはずのモルフォ蝶(ちょう)の毒を受けてしまい……。もともと35ミリフィルムで制作されていた1966年放送の特撮ドラマを4Kリマスター。だれも見たことがなかった「ウルトラQ」。
登場 … 巨人、巨蝶モルフォ蝶
ある日、山の中で巨大な人型の足跡が発見され「雪男」騒動が巻き起こった。早速毎日新報は記者を取材に向かわせる事になったが、由利子は取材チームに加えてもらえず不満たらたらだった。直後、由利子は友人のあや子から、彼女の婚約者・浩二について恐ろしい話を打ち明けられる。
一年前。あや子は昆虫の研究者の浩二と共に山に出かけたが、浩二が日本にはいないはずのアマゾンの蝶・モルフォ蝶を発見し、後を追いかけた末に、蝶の毒りん粉を浴びて苦しみだして、水を求めて姿を消してしまう。あや子は山中を捜し歩いた末に浩二を見つけるが、浩二は沼の側で巨人と化しており、それを見たあや子は怯えて逃げ出し、もう浩二は死んだものと考えていたのだと言う。しかし最近の雪男騒動を知り、浩二の事ではないかと気になって、由利子に真実を打ち明けた次第だった。
同じころ、山の中では「巨人」が目撃されていた。万城目・一平・由利子はあや子と共に山中に向かい巨人となった浩二と出会うが、浩二はもはや話が通じる相手では無く、万城目たちは慌てて退散する。
由利子は巨人の写真を撮影したことでデスクにお褒めの言葉をもらうが、素直には喜べなかった。そしてあや子と共に一ノ谷博士を訪ね、浩二を元に戻す方法が無いかと尋ねる。直後、浩二は山から人里に降りてきて、建物を次々と破壊していき、軍隊は迎撃の準備を始めていた。
あや子は浩二の側まで近づき、山に戻るように懇願する。一ノ谷博士はその間に新開発の「熱原子X線」を浩二に照射し、その力で浩二は元のサイズに戻った。人間に戻った浩二はあや子としっかり抱き合った。
最後のナレーション「これは架空の話ではありません。あなた自身の話なのです。もしあなたの恋人がアンバランスゾーンに落ちた時、それでもあなたの愛は変わらないと言えるでしょうか? ではまた来週。」
感想
評価は○(まあまあ)。
怪獣・宇宙人が登場しない、子供向け番組にしては異色のエピソード。「巨人」が登場し村の建物を破壊するものの、基本的に怪獣物では無く、ナレーションがしきりに強調する「アンバランスゾーン」を強く意識させる方面の深い一作。
何故アマゾンのモルフォ蝶が日本にいるのか? そもそもモルフォ蝶はそんな毒鱗粉をまき散らす危険な昆虫なのか? 浩二が巨大化したのは鱗粉のせいなのか? それとも干上がっていたという泉の水のせいか? はたまた鱗粉と泉の水の複合効果なのか? 等々気になるところは多いのですが、肝心なところはそこではなく「愛する人が変わり果てても、そのまま心変わりせずにいられるか?」を問うている訳で、子供向けとはとても言い難いテーマです。
終盤、あや子が鉄塔に登って、巨人化した浩二に対し、やさしい言葉をかけるどころか、「お願い! 山へ帰って! もうこれ以上あたしを苦しめないで!」と叫ぶというのは、人間追い詰められれば何よりわが身がかわいいよな、というリアル志向の描写で、下手に変わらぬ愛を叫ぶよりよほどらしいです。ひどい話ではありますけどね……
それだけに、浩二が一ノ谷博士の超発明「熱原子X線」とやらで元のサイズに戻ってしまうオチは拍子抜けというか、イマイチ釈然としませんでした。まあ、巨人のまま山の奥に帰っていく、という結末では、あまりにも救いが無さ過ぎてあんまりすぎる、という作り手の判断だったのかもしれませんが、そこは冒険してほしかったなと。あと、あや子は浩二に山に帰れとか言っていたのに、元のサイズに戻った途端、ひしと抱き合うというのも調子良すぎの気もします…… やはり戻れない結末の方が味があったのでは……
ところで、デスクが由利子に対して、「冗談じゃない、相手は雪男だよ、君みたいなお嬢さんは一ひねりで ≪ザ≫・エンドだ」と言ったのが気になって気になって仕方ないです。そこは「ジ」だろうと(笑)
巨人
他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ
perry-r.hatenablog.com
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Vol.4
Vol.5
Vol.6
Vol.7