【映画】感想:映画「ピエロがお前を嘲笑う」(2014年:ドイツ)

ピエロがお前を嘲笑う [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2022年9月5日(月)

【※以下ネタバレ】
 

警察に出頭した天才ハッカー。ところが、その自白に捜査は翻弄される。一体真実は…。全編に仕掛けられたトリック、予測不能な展開で話題となったドイツの犯罪サスペンス。


全編に仕掛けられたトリック、予測不能な展開が話題となり、ドイツで大ヒットとなった犯罪サスペンス。天才ハッカーベンヤミンが警察に出頭、告白を始める。仲間とハッカー集団を結成し、遊び半分でハッキングを繰り返していたが、自分が盗んだ情報がきっかけで殺人事件が発生、命を狙われているというのだ。捜査官のハンネはベンヤミンの身辺調査を始めるが、つじつまの合わない事実が次々明らかになる。一体真実は…。

 

あらすじ

 ある日警察に「WHO AM I」と名乗る若者が現れ、捜査官ハンネ・リンドベルクを名指しし、保護を求めてきた。ハンネはこの若者の供述を聞く。



 ベンヤミン・エンゲルは、子供の頃に、父は失踪、母も自殺し、祖母に育てられた。そして周囲にもなじめないまま成長し、コンピューターに出合ったことで才能を開花させハッキングに没頭する。ある時、好意を抱く女子学生マリのために試験の問題を手に入れようと大学のサーバをハッキングしようとするものの、すぐさま見つかってつかまり実刑の代わりに社会奉仕活動を言い渡される。

 奉仕活動中、ベンヤミンはマックスという男と出会い、性格が全く逆にも関わらず二人は仲良くなる。やがて、ベンヤミンは、マックスの仲間シュテファン、パウルと共にハッキングチーム「CLAY(クレイ/ピエロがお前を嘲笑う、の略)を結成し、様々なハッキングで社会を騒がせ、クレイは有名になっていった。

 マックスは、ネットのアンダーグラウンドの大物「MRX」に認められたいと熱望していたが、いくらクレイが活動しても、MRXからは無視されたままで、アングラネットではロシアのサイバー集団「FR13NDS(フレンズ)」こそが本物と見なされていた。思い余ったベンヤミンたちは、格を上げようと、連邦情報局ビルに侵入し、イタズラ騒ぎを起こして引き上げる。

 ところがそのあと、ベンヤミンはマックスがマリに手を出しているのを見てしまってヤケになり、自分の力を見せつけようと、連邦情報局から盗んできた機密情報をMRXに渡す。直後、フレンズのメンバーの一人で連邦情報局と内通していた男が殺され、しかもクレイが犯行声明を出したことになっていた。おそらくMRXこそフレンズの一人で、ベンヤミンからの情報を元に、身内の裏切り者を消し、その罪をクレイになすりつけたと思われた。

 ベンヤミンたちは、生き延びるためMRXの正体を暴こうと、あえてネットでMRXに接触し、MRXからはユーロポールをハッキングするように指示される。ベンヤミンは苦労してなんとかユーロボールのネットワークに潜入しつつ、MRXに情報を渡すふりをして正体を暴こうとするが、全ては見抜かれており、ベンヤミンはMRXの差し向けた殺し屋に追われる羽目になる。慌てて逃げ出したベンヤミンだったが、ホテルでマックス、シュテファン、パウルは殺されており、観念して警察に駆け込んだのだった。



 ベンヤミンはハンネに保護を求め、ハンネはベンヤミンの能力を利用してMRXを逮捕することに成功する。しかしハンネがベンヤミンの証言の裏取りをしてみると、マリは最近ベンヤミンと会ったことはないと言い、またホテルでマックスたちの死体は見つからなかった。さらにベンヤミンの母親は統合失調症を患って自殺しており、子供にもその症状が遺伝している可能性があった。

 ハンネは、ベンヤミンに、マックス・シュテファン・パウルは存在せず、ベンヤミンの多重人格に過ぎないという。そしてベンヤミンは心を病んでいるので証人として保護は出来ないと宣告し、ベンヤミンは泣き崩れる。しかし同情したハンネは、ベンヤミンにサーバに侵入する隙を与え、ベンヤミンは自分自身に証人保護プログラムを設定すると姿を消した。



 最後。船に乗っているベンヤミンの前に、マリ、マックス、シュテファン、パウルが現れる。全ては、ベンヤミンがMRXに追い詰められた後、土壇場で五人が仕組んだ一大トリックだった。ベンヤミンはわざと隙のある証言をしてハンネにベンヤミンに対して疑いを抱かせ、結果的に五人が立てた計画通りに彼女をコントロールしたのだった。


感想

 評価は○(まあまあ)。

 一度見始めると最後まで目が離せない疾走展開の面白サスペンス映画でした。評価はまずまず。


 ただ「犯罪者が官憲に対して自分の犯罪について過去語りを始める」「最後にどんでん返し」という構成が、もろに「ユージュアル・サスペクツ」なのがね……、もうオマージュというか、インスパイアされました、というか、感がめちゃくちゃ強く、独創性という点ではちょっとねぇ~。

 あと、オチのどんでん返しも、そこまで強烈ではないので、本家(?)「ユージュアル・サスペクツ」には勝ててないなと。しかしまあ、それなりに面白い映画だったので、それなりには評価しており、損したとは思わないです。
 
 

シネマ「ピエロがお前を嘲笑う」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2022年09月05日 午後9:00 ~ 午後10:48 (108分)


【製作】
クイリン・ベルク、マックス・ヴィーデマン
【監督・脚本】
バラン・ボー・オダー
【脚本】
ヤンチェ・フリーセ
【撮影】
ニコラウス・スメラー
【音楽】
ミヒャエル・カム
【出演】
トム・シリング、エリアス・ムバレク、ハンナー・ヘルツシュプルンク、トリーヌ・ディルホム ほか


製作国:
ドイツ
製作年:
2014
原題:
WHO AM I
備考:
ドイツ語(※一部英語)/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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