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感想:ゲーム本「アドベンチャーゲームサイド Vol.0/同Vol.1/同Vol.2」

 2015年10月に休刊したゲームサイド http://gameside.jp/ シリーズの「アドベンチャーゲームサイド」3冊を一気読みしたので、感想を書いておく。


■Vol.0 (2013/03/30)

http://www.amazon.co.jp/dp/4896374266
わが青春のサンソフト デッド・ゾーン編 & リップルアイランド編【※2008年寄稿とインタビューの再録です】
アイドル八犬伝 制作者インタビュー【※2007年インタビューの再録です】
美少女ノベルゲーム読解講座
アドベンチャーゲーム名作選
竹本泉ゲーム特集/竹本泉インタビュー【※2008年寄稿とインタビューの再録です】

 創刊準備号。過去に他誌に掲載したAVG関係の記事を加筆修正して一冊にまとめたもの。冒頭記事がファミコン時代のゲームの「デッド・ゾーン」だの「アイドル八犬伝」だののマイナータイトルでいささかたじろいだが、続く「美少女ノベルゲーム読解講座」は、シュタインズ・ゲートクラナドクロスチャンネル、といった定番ではあるものの手堅い作品の紹介でそこそこ読ませてくれた。

 「アドベンチャーゲーム名作選」は、紹介一作目がスタジオWINGの「白と黒の伝説 百鬼編」というとんでもないマイナーかつクラシックなタイトルで仰天したが(笑)、それ以降は、ウィッシュルーム、THE爆弾処理班、といった常識的タイトルで安心した。

 「竹本泉ゲーム特集」は、メガCDの「ゆみみみっくす」とかが取り上げられていて懐かしい事しきりだった。


■Vol.1 (2013/08/09)

http://www.amazon.co.jp/dp/4896374363

 表紙絵は、当時完全版が発売されたばかりの「ミッシングハーツ」のイラスト。シャープなアニメ絵が凄くカッコイイ。

 巻頭特集「アドベンチャーゲームの歴史」は超力作。ゲームジャンルの名前にもなった超々古典「コロッサル・ケーブ・アドベンチャー」から歴史を紐解き、ゾーク、シエラオンライン版ミステリーハウス、オホーツクに消ゆスナッチャー弟切草、同級生、YU-NOEver17シュタインズゲート、etcetc、アドベンチャーとノベルに該当する物をほぼ包括的に取り扱っており、そのボリュームには唸らされた。「エロゲ」として良くも悪くも特別視されるゲーム群も、きちんとゲームの歴史の中で他の作品と区別することなく取り扱っているのも好感が持てた。

 「シュタインズ・ゲートシリーズ入門」は、2009年に発売されアニメ化もされた大人気ゲーム「シュタインズ・ゲート」をファンディスクも含めて解説。派生作品が多すぎて何がなんだか分からなくなっていたシュタゲを理解するのに役立った。デジタル8色CG風のシュタゲ「変異空間のオクテット」は絵を見た途端爆笑した。

 「話題作」では、本誌発売当時(2013年前半期)の新作の紹介。特殊報道部、流行り神シリーズ、白衣性恋愛症候群、スーパーダンガンロンパ2、カオスヘッドノア、ルートダブル、など、今となっては懐かしいタイトルが並ぶが、1980年代とは違って今時は数年で陳腐化してしまう、という事も無いので、今でもそれなりに楽しめそうである。

 「幻のゲームを追え! メガCD未発売作『銀河鉄道999』」は、日本テレネット銀河鉄道999のゲームを作ろうとしていたという裏話。既にオリジナルキャストによるアフレコも終了していたらしいが、諸々の事情でお蔵入りに。制作サイドのぐだぐだっぷりに苦笑しきりだった。



■Vol.2 (2014/01/18)

http://www.amazon.co.jp/dp/4896374509
シリーズ小論『ファミコン探偵倶楽部
5pb./MAGES 志倉千代丸インタビュー
『ルートダブル』中澤工インタビュー
システムサコム ノベルウェア史 鈴木幸一インタビュー
『@SIMPLE DLシリーズ』+α ダウンロードアドベンチャー大全
RPGツクール』から生まれたアドベンチャーゲームたち
ゲームブック特集(1)「ファミコン冒険ゲームブック」を中心に振り返る“あの頃”のゲームブックのこと
ゲームブック特集(2)スマホでよみがえるゲームブック「iGameBook」の魅力

 巻頭特集は伝説の「ファミコン探偵倶楽部」。シリーズ作品紹介の他に、ライター8人がそれぞれ思いいれたっぷりに作品について語っており、「どれだけ好きなんだよ!」と突っ込みを入れたくなる熱量である。当時パソコンゲームの方にばかり目が向いており、ファミコンゲームなどガン無視状態だったことが惜しまれる。テレビCMは今でも憶えているのに全くプレイしなかったのは痛恨のミスだったか。

 「5pb./MAGES 志倉千代丸インタビュー」。子供の頃MZ-2000を買ってもらってプログラミングを憶えて、といういかにも業界人らしい経歴から、何故今の世の中にAVG(というかノベルゲーム)を作るのか、という理由の説明まで。作った物語を受け手に予定通りに体験してもらうには、一番アドベンチャーが向いているから、とのこと。またメディアミックスは最初から予定して作っている模様。

 「ダウンロードアドベンチャー大全」。SINPLEシリーズの『THE 密室からの脱出』シリーズをこれでもかと紹介。ページをめくってもめくっても延々と「THE 密室からの脱出 XX編」といったタイトルが終わらないので、一体全部で何作あるんだよ!と突っ込みを入れたくなること請け合い。

 「『ルートダブル』中澤工インタビュー」。Ever17とかの話題作(※評判が酷いのも有りますが)を次から次へと作るクリエイターのインタビュー。しかし最近シナリオを書いたパンチラインというアニメのクオリティから考えて、信用していいのか確信が持てない。

 「『RPGツクール』から生まれたアドベンチャーゲームたち」。コープスパーティー、青鬼、など、最近になって頻繁に漫画化されている作品の原作が、実は1990年代半ばに作られていた同人ゲームだった事には心底驚いた。何故21世紀になってコープスパーテイーとかが戻ってきたのか理解できない。本来RPGを制作するRPGツクールで「レベル上げのないPRG風AVG」を作ったという工夫は興味深かった。

 「ゲームブック特集」。1980年代半ばに一時的に大ブームになったゲームブックについて、当時の状況、作者による作り方の説明、スマホゲームブック(iGameBook)作品紹介、など。この後、iGameBookが潰れてしまった事を思うと、やはりゲームブックは消えゆく文化でしかないのだな、と痛感させられた。


■総括

 永久保存必至の三冊。最新のゲームを追っておらず、またビジュアルも少なめだが、その代わりに読み物として深みがあった。「ファミコン探偵倶楽部」総力特集など、あの当時の状況を全く知らないこちらとしては非常に興味深かった。素晴らしいクオリティだっただけに休刊してしまったのが惜しまれる。VOL.2に掲載されていた「システムサコム ノベルウェア史 鈴木幸一インタビュー」など、前編だけで終わってしまったし。