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感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第37話「猫にヒスイ」

ドラマ

スパイ大作戦 シーズン2<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第37話 猫にヒスイ The Seal (シーズン2・第9話)

 

あらすじ

古代から伝わるひヒスイの印璽を手に入れた実業家。彼から印璽を奪い返すべく、IMFチームが用意したのは訓練を受けたネコだった。


東南アジアの小国に古代から伝わるヒスイの印璽が何者かに奪われ、これが美術品コレクターで有名なアメリカの実業家、タガートの手に渡る。米政府からの返還要請を断ったタガートに、IMFは印璽をこの国に返すため、堅固な警備を誇るタガート航空ビル内、美術保管室への潜入計画を立てる。計画を成功させるためバーニー(グレッグ・モリス)が用意したのは、訓練を受けたネコだった。

※DVD版のタイトルは「ヒスイの印璽(いんじ)」。


【今回の指令】
 アジアの小国「クワラ・ルカート(Kuala Rokat)」は、中国・インド国境近くに位置しており、アメリカは戦略上の観点から過去25年間友好関係を結んできた。しかし、先日、クワラ・ルカートの皇帝が二千年間所持してきたヒスイの印璽(いんじ)が盗まれ、しかもそれをアメリカ人実業家リチャード・タガートが購入したことが判明した。政府はダガートに印璽のクワラ・ルカートへの返還を要求したが、ダガートはこれを拒否した。もしこの状況を放置すれば、アメリカとクワラ・ルカートとの友好関係が破たんし、クワラ・ルカートが東側につきかねない。IMFはヒスイの印璽を盗み出し、クワラ・ルカートに返還しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ラスティ(猫)


【作戦の舞台】
 アメリカのどこか


【作戦】
 シナモンはテレビレポーター役で、ダガートが住んでいるダガート航空ビルに入り、印璽についてダガートにインタビューする。そしてダガートに、ヒスイの印璽を手にしたものは二週間以内に必ず死ぬ運命で、ダガートの余命は残り6時間だ、と作り話をする。そして呪いについて知りたがるダガートに、専門家だと言ってクワラ・ルカートから来たというローランを引き合わせる。

 一方、フェルプスとバーニーは別途ビルに潜入し、印璽の保管されているコレクションルームの壁の裏でひそかに待ち構える。

 ローランはダガートたちに、西洋文明では説明できない超自然の力が存在する、といった作り話を開陳する。さらにダガートたちが半信半疑なのを見て、奇跡を見せると言って手品を次々と行い、ダガートたちを目くらましした後、コレクションルーム前に飛び込み警備装置の高圧電流で感電したふりをする。

 ダガートたちが慌てて電流を止めたスキを狙い、フェルプスたちはコレクションルームの壁に穴を開けて、そこから金属の橋を差し込み、特別に訓練した猫を送り込んで印璽を取ってこさせる。ダガートたちはローランが印璽を狙いに来た泥棒だと推測するが、意識不明なのでとりあえず救急車を呼ぶ。

 そして救急隊員がローランを運び出すためにやってくるが、フェルプス・ローラン・バーニーは彼らと入れ替わり、無事にビルを抜け出す。ダガートはシナモンに呪いの期限が来ても生きていると誇るが、シナモンからまだ印璽を持っているのかと聞かれ、慌ててコレクションルームを調べる。そして印璽が無いことに驚き、警報を鳴らすが、それをしり目にシナモンは悠々とビルを後にする。そしてIMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 今回は悪辣な犯罪者を懲らしめるとか、国家機密を回収するといったおなじみの任務ではなく、IMFが怪盗チームとなって、厳重な警備をかいくぐり宝物を盗み出す、というエピソードで、いつもとは趣が違うが、これはこれで面白かった。


 今回のミッションのゲストメンバーというか、秘密兵器というか、が、「猫」のラスティである。ラスティはバーニーが特別な訓練を施した猫らしく、なんと人間の言葉を理解でき、バーニーの無線での指示に従い物を盗んでくるのである。冒頭で、バーニーがデモンストレーションとして、シナモンの真珠のネックレスを持ってくるように命じると、ラスティは器用にハンドバッグの口を開き、口にネックレスを加えて戻って来てみせる。猫が人の言葉を完ぺきに理解して、しかもそれに応じて行動できるなど、もう訓練でどうにかなる話ではなく、この時点でリアリティも何も無くなってしまっている。

 という事で、話の冒頭でおとぎ話のような茶番を見せられてかなり失望したが、その後の展開がかなり面白い怪盗話だったので、意外にも総合的には印象は悪くなかった。


 今回もIMFチームの計略が秀逸で、

1)フェルプスダガート航空の下請け会社の人間のふりをしてビルを訪問し、「支払金額が契約の10倍になっている。コンピューターがおかしいのではないか?」という

2)コンピューターにフェルプスの持ってきたパンチカード(何か仕掛けがある)を読ませると、途端にコンピューターが狂ってしまう

3)会社がすぐさまサポートセンターに連絡すると、その相手はバーニーで「修理には時間がかかるので、とりあえず代替機を持っていきます」という

4)運び込まれた「代替機」の中にはバーニーが潜んでいて、無事潜入成功

といった具合である。


 また受付では訪問客の出入りをチェックするために、来社と退社の時にサインをさせるのだが、フェルプスが退社していないのをごまかすため、ウィリーがフェルプスのサインを押せる特製のハンコを隠し持ち、自分がサインする際に、ついでにこっそり紙にスタンプするシーンなど芸が細かかった。

 その他にも、ローランが奇跡を見せてやるといって椅子に座った自分に大きな布をかぶせさせると、なんと布がフワフワと宙に浮かび上がる。視聴者も訳が分からず驚いていると、実は巨大な風船を膨らませて浮かばせていて、その間にローランはどこかに消えていた、とか、ローランに透視能力があると信じ込ませるため、シナモンが微かなゼスチャーで知らせて来る内容を基に、いかにも透視したようにしゃべる、など、面白いシーンが目白押しだった。

 クライマックスは、バーニーがコレクションルームの壁に穴を開けてから金属の橋を作り、猫のラスティにヒスイの印璽を盗みに行かせるのだが、動物のやることなので、途中で止まったり、うっかり印璽を落としそうになったり、とハラハラシーンの連続である。そして、それをバーニーとフェルプスがやきもきしながら見守っているのである。このあたり、いつもは計算ずくの緻密な作戦を遂行するIMFが、動物に頼るという不確実な作戦で冷や冷やしている、というのが何か新鮮だった。

 劇中では、「コンピューターが狂った」という描写として、スロットの中からパンチカードが滝のように流れ出してくる、というシーンがあり、いかにも1960年代だな、という感じで微笑ましくなった。まあ確かにコンピューターの異常というのはなかなか絵にはしずらいので、こういう風にするのが一番良いのかもしれない。

 あと面白かったのは、パンチカードが電話にも使われていることで、カードを差し込むと特定の番号にかかるようになっていた。電話にメモリ機能が無いころは、こういう風に紙カードで記憶させていたのかと、結構興味深かった。

 とまあ、猫の設定はともかく、その他の部分では娯楽要素満載の面白ドラマになっていたので、満足度はかなりのものだった。

 今回は、フェルプスへの指令が、今までのオープンリール式テープではなく、カセットテープ(正式名は「コンパクトカセット」)で行われる。このコンパクトカセットは開発元のフィリップスが1965年に特許を無償公開してから普及し始めたそうで、このエピソードの放送時期(1967年11月)には最新の旬のメディアだったと思われる。21世紀の視聴者からすると「懐かしい」以上のものではないが、当時の視聴者からすれば劇中に最新のハイテクメディアが登場した、という感じだったのかもしれない。


 今回ダガートを演じたのは、「事件記者コルチャック」のコルチャック役が有名なダーレン・マクギャビンでした。またラスティ役の猫は、なんと合計12匹用意され、それぞれがシーン毎に使う芸を仕込まれたそうです。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが物置小屋のような場所に入り、放置されているカンバスの裏側に張り付けている大型の封筒をはがす。そして封筒の中からカセットテープと写真を取り出し、持参のテープレコーダーでテープを再生して指令を確認する。指令は最後に「なおこのテープはただちに処分すること」といい、フェルプスがそばの液体入りのバケツの中にカセットを放り込むと、テープが煙を吹く。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。過去25年間、わが国は、小国ではあるが戦略的に重要なクワラ・ルカートとの友好関係を結んできた。それは、そのクワラ・ルカートの皇帝の印璽で、二千年を経たヒスイの像であるが、これが二週間前、美術品のコレクションで有名なアメリカ人実業家リチャード・タガートの手に入ったのだ。そこで昨日わが国政府は、クワラ・ルカートに代わってその盗まれたヒスイの印璽を返還するよう求めたところ、タガートはこれを拒否してきた。しかしこのまま放っておけば、長年続いてきたわが国との友好関係にヒビが入り、クワラ・ルカートを東側陣営に追いやらぬとも限らない。

 そこで君の使命だが、このヒスイの印璽を手に入れ、それをクワラ・ルカートに返還することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは直ちに処分すること。成功を祈る。

シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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