【ゲームブック】感想:ゲームブック「恐竜探検」(デイヴィッド・ビショッフ/1985年)【クリア済】

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恐竜探検―アドベンチャー・ゲーム (サラ・ブックス―タイムマシン・アドベンチャー) 新書 1985/4
デイヴィッド・ビショッフ (著), 田村 源二 (翻訳)
新書: 198ページ
出版社: 二見書房 (1985/04)
発売日: 1985/04

【※以下ネタバレ】
 

タイムマシンを操作して──
1億5000万年前の太古へ旅立ち
きみは恐竜時代へタイム・トラベルして、与えられた使命を遂行できるか!?
それとも、時の流れのなかをあてどもなくさまようことになるか……

 

概要

 1985年に二見書房から発売された新書サイズのゲームブック。「タイムマシン・アドベンチャー」シリーズの第一弾。


あらすじ

 君は「中央時間管理局」(Central Time Administration)の特別捜査官である。今回の君の使命は始祖鳥(アーケオプテリクス)と呼ばれる鳥の祖先の写真を撮影してくることである。始祖鳥は化石しか発見されておらず、研究が行き詰ってしまっているためだ。


ゲームシステムなど

 パラグラフ数は50前後(※)。「パラメーター」「サイコロ振り」といった概念は無く、選択肢を辿るだけで進めることができる分岐小説タイプ。

※各パラグラフには番号は無く、選択肢は「○○する … XXページへ」の様にページで飛び先を指定しているため正確なパラグラフ数は不明。パラグラフのボリュームと総ページ数から推定して50程度だと思われる。


感想

 評価は○(並)。プレイ時間:約1時間。

 子供向けだが、ジュブナイル小説ノリでそこそこには楽しめた作品。


 二見書房の小説でおなじみの新書サイズで、見た目は大人向けだが、内容は完全に児童書で、文章のレベルから見て小学生高学年程度を対象にしていると思われ、外見と対象とするターゲットの間に齟齬が見受けられる。

 ストーリーは「始祖鳥の写真を撮ってくる」というのんびりした目的からも分かる通り、命を懸けたシリアスなタイムトラベルSFではなく、観光客気分で恐竜の時代を見て回る少年の冒険物語になっている。命を落とすようなデッドエンドは存在せず、危機に陥った場合も「最初からやり直せ」と言われるだけである。ちなみに最終ページに「中央時間管理局」によるテストが有り、やり直した回数等が少ないほど優秀な捜査官ということになっている。


 この作品はゲームブックであるにも関わらず、選択できる行動は非常に限定されている。まず主人公は特に理由も無く過去のどこかの時代にタイムトラベルし、その時代の生物と接触するなどちょっとイベントをこなした後、「ここに始祖鳥はいなさそうだ」→「XX万年未来へジャンプする … ○ページへ」「◇◇万年過去へジャンプする … △ページへ」で別の時代へ移動し、また最初から同じことを繰り返して……、とひたすら時間旅行をしているだけである、というか基本的に選択肢は時間移動ばかりで、その他の選択肢は殆ど無いと言ってよい。

 また時間ジャンプも、結構頻繁に「○年後へジャンプ … □ページへ」という一本道で移動させられるため、思うがままに時間を飛び回るわけにもいかず、意外と冒険は制限されている。

 という事で、ゲーム中の自由度は低いものの、プレイ自体はそれなりには面白い。というのは、一つのパラグラフの文章量がかなり多く、最低でも1ページ分、多い時には7~8ページ分もあるので、各パラグラフだけで小説のひとつの章くらいの分量が有り、起きたイベントを読んでいるだけでもそれなりに楽しいのである。

 粗悪なゲームブックの中には、無意味に迷路を登場させ、主人公をさまよわせてページ稼ぎするような作品も見受けられるが、そういった作品に比べれば余程良心的であると言えよう。

 パラグラフの文章量が多く、選択肢は少ない、ということで、難易度は低く、割と簡単に結末までたどり着くことが出来た。しかしうっかりすると文字通りの時間ループに突入してしまい、延々と同じパラグラフの組み合わせを周回する羽目に陥ってしまうので、一応フローチャートは書いておいた方がプレイの効率は良さそうである。

 選択肢の数は少なく、またどの選択肢を選んでも大してゲームの展開が変わるわけでもないので、ゲームブックとしての質はそれほど高いとは言えないが、児童向けSF小説のちょっと変わった物、という風に考えると悪くない作品だと言えよう。


余談

 作品の冒頭で、主人公は「時間管理局の捜査官」だと言われるが、この作品のどこにも「時間管理局」についての描写は無く、この組織が一体どのようなものなのか全く不明である。というか、そもそもこの作品の主人公「きみ」は、捜査官どころか、ただの少年が過去に移動しただけの様にしか見えないのだが……

 また主人公は作品中で自由自在に時間と空間を移動するにも拘わらず、別にタイムマシンに乗り込んだり、またはそれに該当するような機器を操作している描写はない。そしてその謎は「P102→P64」のパラグラフで明かされるのだが、驚くことに、主人公が使用しているタイムマシンとは、普通に本屋で売っている「恐竜探検」という本(つまりこのゲームブックそのもの)だった、というオチがつく。

 確かに本の冒頭を読むと「この本はタイム・マシンである」と書かれているのだが、この文章は当然読者向けの比喩だと思っていたのだが、実際(?)には言葉通り本当に本がタイムマシンだったのである(笑) いわゆるメタフィクションという訳であるが、このあたりはさすが二見書房の本だと思わずにはいられなかった(笑)
 
 

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