【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『あなたの知らない童話の闇 夢か悪夢か本当か?』


本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

あなたの知らない童話の闇 夢か悪夢か本当か? (2019年5月23日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-05-23/10/4422/2292004/
5月23日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
ダークサイドミステリー「あなたの知らない童話の闇 夢か悪夢か本当か?」


「シンデレラ」は金銀遺産・婚活サスペンス?グレーテルがかまどで焼いた魔女の正体は?ハーメルンで子どもはどこに消えた?夢の童話の裏に隠された歴史の闇事件に迫る。


あなたが好きな童話には「えっ!」と驚く闇のドキドキ事件が!《金銀遺産闘争&婚活サスペンス?(シンデレラ)》《幼い兄妹が犯罪隠蔽?(ヘンゼルとグレーテル)》《児童130人失踪ミステリー(ハーメルンの笛吹き男)》童話・伝説の多くは、世の中に大きな衝撃を与えたホントの事件。なぜ、どんな出来事が発生し、後世に伝わったのか?童話に隠された、不思議で笑えて希望と残酷のディープで悲しい世界へご案内します。


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】森義信,中野京子,【語り】中田譲治,【朗読】能登麻美子,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「グリム童話


ハーメルンの笛吹き

 グリム童話に収録されている「ハーメルンの笛吹き男」は、謎の男の笛に連れられて町の子供が消え去ってしまったという不気味な結末の童話である。そしてこの話は実話であることが解っている。1284年に130人の子供たちが消え去ったことが複数の記録に残されている。

 子供たちは一体何故、そしてどこに消えたのか? 有力なのが「子供たちは死亡した」という説で、戦死、野獣にくわれた、舞踏病で死亡、ペストで死亡、等の色々な説が挙げられている。また以下の様な説も唱えられている。


◆領主が殺害説
 子供たちは町の近くのイート山にある洞窟「悪魔のキッチン」で殺された。イート山は土着の古代信仰の聖地的な場所であり、笛吹き男は子供たちを誘い出して、古の神を讃える祭りを行った。しかしそのような宗教はカトリックからすれば邪教であり、子供たちは笛吹男もろとも生き埋めにされて殺された。


◆異端審問説
 町が何らかの理由で異端だと疑われ、大人たちは疑いを晴らすため自ら子供たちを処刑した。そして後から笛吹男の話をでっち上げた。


◆東方移民説
 子供たちは国の東にある植民地を開拓するために連れていかれた。ハーメルンの側に「ハーメルシュプリンゲ」という町が有るが、遥かドイツ東部にも「ハンメルシュブリング」という町がある。同様に、エベルシュタイン、シュピーゲルベルク、ヒンデンブルク、という町がドイツ東部やポーランドに存在する。

 当時のハーメルンは周りを壁に囲まれた城郭都市であり、一定の人口しか住むことが出来ず、長男以外は町を出ていくしか無かった。また当時は「ロカトール」という移民請負人が存在した。笛吹男は実はロカトールであり、子供たちは騙されて遥か東にある植民地に連れていかれた。

 当時は聖地エルサレムへ向かう「少年十字軍」という物が存在しており、子供たちはロカトールにエルサレムに行くと言われて信じていた可能性がある。


 結局何が真実なのかは未だ不明。しかし正確に起きた年などが解っているため、世界中の研究者の興味を引いている事件である。



グリム童話とは

 グリム童話は、二人とも言語学者だったグリム兄弟によって、ドイツに口伝で伝えられていた伝承をまとめた本で、正式には「子どもと家庭のためのメルヒェン集」といい、1812年に発行された。ちなみにメルヒェン(メルヘン)とは「ちょっとした知らせ」「うわさ話」という意味で、日本人が考えるような甘い意味合いは無い。

 当時「ドイツ」という統一国家は存在せず、ドイツ民族は小国に分裂した状態で、しかもナポレオンに支配されていた。グリム兄弟が本を出したのは、民族共通の伝承を意識させることで、祖国統一・独立を促進する、という狙いがあった。

 童話集といいながらえげつない話も多く、「継母が前妻の子供を殺して鍋にして夫に食わせた」とか「子どもが豚の解体ごっこをしているうち、本当に遊び相手を殺した」とか、猟奇的な事件・未曽有の出来事、が収録されている。

 「本当は怖いメルヘン」などという言い回しが有るが、発想が逆。「怖い話を伝えているものをメルヘンと呼ぶ」のが正しい。



ヘンゼルとグレーテル

 ヘンゼル・グレーテル兄妹が森で悪い魔女を殺して金銀財宝を持ち帰りハッピーエンド……という話だが、真実はそんないい話では無い。

 そももそヘンゼルとグレーテルが森をさまよう羽目になったのは、「口減らしのため親に捨てられた」からである。当時のヨーロッパは何度も飢饉に襲われ、生産力の無い子供や老人は口減らしのため森に捨てられていた。

 さらに、ヘンゼル・グレーテルは「悪い魔女を殺して」財産を持って帰ったと言っているが、それを裏付ける証拠は何もない。当事者の二人がそう証言しているだけである。二人は森の中で出会った人物を殺害してから盗みを働き、そして「殺した相手は悪い魔女だったので罪にはならない」と言っている可能性もある。二人が殺したのは、やはり森に捨てられた老人だったのか、森の中で薬草を集めて薬を作っていたような人物だったのか……

 実際のところ、当時の人も、二人の言い分に異様さを感じたから、奇怪な事件として後世に語り伝えたわけである。グリム童話の中で人物名がはっきりしている話は珍しいが、それだけ当時としてもインパクトがあった事件だったのかもしれない。



●シンデレラ

 我々が良く知るシンデレラの話は、フランスの宮廷詩人ペローが考えたもの。その百年後にグリム童話に収録された話は、ペロー版とはまるっきり違う。

 シンデレラが継母とその娘にいじめられる展開は一緒だが、シンデレラは父親に「ハシバミの枝」を求め、その枝を実母の墓に刺すと、枝はたちまち成長する。そのあと、シンデレラが枝にドレスを希望すると、ハトが現れて豪華なドレスと金の靴を持ってきてくれる。妖精に頼ったりする展開は無い。

 ハシバミの枝とは当時の不動産譲渡に使われるもので、この一幕は、シンデレラが父親から財産分与を受け、それを活用して増やし、ドレスと靴を手に入れた、という事を現している。


 つづいてシンデレラは王子の舞踏会に乗り込むが、最終的になんと三日連続で踊っている。そのうち初日と二日目は名前も告げずに別れ、王子たちの追跡を全力疾走で振り切っている。当時偉い人と結婚するには子孫を残すため健康で有ることが必須だったが、シンデレラはそれを見事に証明して見せたわけである。


 舞踏会三日目もやはりシンデレラは逃走を計るものの、王子の方もさすがに準備をしており、階段にタールを流していたのでシンデレラは片方の靴がタールにくっついてしまい、靴を置いて逃げざるを得なくなる。そして翌日王子はシンデレラが住んでいると思しき家を訪問する。そして継母の娘たちは靴のサイズが合わなかったものの、そこでシンデレラは名乗りを上げ、当然靴のサイズがピッタリだったので、王子と結婚できました。

 当時結婚相手は親が決めるものだったので、自分の意思でその慣習を打破した、という痛快ストーリーがインパクトがあり、後世に語り伝えられたと思われる。


 本の発売当時ドイツはフランスに支配されており、グリム兄弟は悲願の祖国独立を、「苦難を己の力で乗り越えて勝利を掴んだ」シンデレラの話に託した、と思われる。


感想

 私たちが無邪気に読んでいる童話(と思っていたもの)が実話ベースの、ドイツの痛快エピソードとか猟奇事件の詰め合わせだった、とは、なかなかためになりましたな。しかしドイツの子供はこんな猟奇事件簿を愛読していたのか……

 今回「一般向けの美しい童話」のパートで語りを担当したのが、我らが「のとまみ」こと能登麻美子。久しぶりに声を聴きました。クラシカロイド二期以来かな?
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)