感想:映画「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001年:日本)(2014年7月25日(金) 放送)

(※以下、結末まで書いてありますのでご注意ください)

■プレミアムシネマ
http://www.nhk.or.jp/bs/t_cinema/

 NHK BSプレミアムでの視聴です。


■概要

7月25日(金)
午後1:00〜2:46  BSプレミアム
プレミアムシネマ  「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」
2001年・ 日本

グアム島沖で一隻の原子力潜水艦が巨大な生物と遭遇し消息を絶つ。防衛軍准将の立花は、半世紀前に日本に上陸したゴジラではないかと推察し、その出現を警戒する。同じ頃、日本各地で次々と奇妙な事件が勃発。立花の娘で、BS放送局のリポーターとして日本各地の超常現象を追っている由里は、怪獣にまつわる“護国聖獣伝記”を知り調査を開始する。やがてついにゴジラが日本に上陸し…。本作でのゴジラは冷酷な白目が特徴。

〔製作〕富山省吾
〔プロデューサー〕本間英行
〔監督・脚本〕金子修介
〔脚本〕長谷川圭一、横谷昌宏
〔撮影〕岸本正広
〔特殊技術〕神谷誠
〔音楽〕大谷幸
〔出演〕新山千春、宇崎竜童、佐野史郎南果歩大和田伸也津川雅彦 ほか
〔カラー/レターボックス・サイズ〕

■あらすじ

 ゴジラの襲撃(1954年)から50年後。太平洋でアメリカの原潜が沈没し、救助隊に巨大な生物が目撃された事から、「防衛軍」の立花准将(宇崎竜童)は、伝説の怪獣ゴジラの日本再襲撃を危惧する。一方、立花の娘で、BSチャンネルのヤラセオカルト番組のリポーター由里は、怪しげな老人・伊佐山(天本英世)から、ゴジラはただの生物では無く太平洋戦争で死んだ人間の怨霊の塊だという怪しげな説を聞く。さらに、大和朝廷に倒され後に神とされた三体の『護国聖獣』「バラゴン」「モスラ」「ギドラ」の伝説も知る。やがてゴジラが日本に上陸し、破壊の限りを尽くす。蘇ったバラゴン、モスラ、ギドラは次々とゴジラに挑むが、ゴジラの力の前に敗北する。しかしギドラはモスラのエネルギー的な物を吸収してパワーアップして再生し、海中で死闘を繰り広げる。立花は魚雷を積んだ潜航艇で攻撃に向かい、ゴジラに飲まれるものの、内部から魚雷を打ち込んで脱出する。ゴジラは内部からの破壊で大ダメージを負い、爆死した。立花たち防衛軍が勝利に沸く中、海底でゴジラの心臓が脈打っているシーンで〆。



■感想

 ナニ、この面白愉快なゴジラ映画。いやー、今までこれを知らなかったとはちょっと不覚です。特にバラゴンが出てくるなんて知らなかったぞ。タイトルに書いておけと言いたい。


 さてこの映画、オシャレにいえば「リブート」、ぶっちゃけて言えば「ゴジラを出しておけば、あとはどうでもいいんだろ!?」的感覚で作っている映画で、それまでのゴジラ作品のノリとはまるで別物。近いところを探すなら「ハリウッドのB級ホラーとか怪獣映画」系です。


 ます悪趣味くらいに人を殺すシーンを描いており、主要登場人物以外はこれでもかというくらいにバタバタ殺される。向こうのホラーではアホな若者が自分から怖い目に会いに行って自業自得で死んでしまうという流れがまま見られますが、こちらもそれと同じようなもんで

1)ヤンキー暴走族=序盤に暴走中、トンネル内に出現したバラゴンのせいで落石で圧死
2)湖畔の店で強盗を働くバカヤンキーたち=序盤にモスラ幼虫が殺害
3)海に遊びに来ていたバカ丸出しの若者たち=ゴジラに踏み潰されて死亡
4) 3)で唯一助かって病院に担ぎこまれた女=ゴジラが病院のそばを通り過ぎて「助かったー」と喜んだ瞬間、しっぽが病室を直撃して死亡
5)バラゴン接近を面白半分に見ていたバカ観光客=背後からゴジラが接近しているのに気が付かず、ゴジラによる落石で潰されて死亡
6)ゴジラ対バラゴンを中継していた民放のヘリ=バトル中のバラゴンがヘリにぶつかって死亡

 と愉快なくらいに人が死んでいきます。基本的に「怪獣による被害者」という視点は無く、ホラー映画の殺人鬼の犠牲者に対する「まあ、これじゃぁ死んでも仕方ないよね」という醒めた扱いでしかありません。それまでにこんなゴジラ映画無かったよね。


 次にゴジラが極悪非道。1980〜1990年代のゴジラも日本を襲う凶悪なもの、という扱いではありましたが、その中にも何かしら荘厳さが漂うというかリスペクトというか、まあそーいうものがあったわけですが(と思っている)、この映画のゴジラはホントにただの凶暴生物。「戦争被害者の怨霊」とかいう何か心霊的な設定はありますが、はっきり言って「隕石に乗って宇宙から来た怪生物」でも差し支えありません。白目しかない凶悪なトカゲが火を吹きまくって街を破壊する、それだけの存在です。まさにヒール。

 ヒールは憎まれてナンボ、とばかりに、バラゴンもモスラもギドラも一蹴です。「護国の聖獣」なる肩書きで善玉に転向したキングギドラなど敵ではありません。防衛軍がゴジラに魚雷を撃ち込もうとしたら、それを見てさっと身を翻しギドラに誤射させるシーンなんかしびれましたわ。

 で、爆死しても、「実は心臓は生き残っていました」という、「お前は『13日の金曜日』のジェイソンかっ!?」とみんなが突っ込みそうなオチを用意していたりして、もうこれハリウッドスプラッタ映画の殺人鬼そのまんま。愉快すぎるぜ。


 ということで、既存のゴジラ映画のフォーマットをまったく無視して、やりたいようにやった映画ですが、序盤一時間ほどがタルいものの、ゴジラと聖獣たちのバトルが始まったら俄然面白くなります。王道ではないものの、クセ球としてこれはこれで一応見ておいても良い作品じゃないかな。