感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第1話(シーズン1 第1話)「核弾頭を奪え」

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放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】

実行不可能な指令を受け、頭脳と体力の限りを尽くしてこれを遂行するプロフェッショナル達の秘密機関の活躍を描き、アメリCBSネットワークで1966年から7シーズン、8年間に渡り放送され、高視聴率をマーク。日本でも1967年4月からフジテレビ系列で放送され、最高視聴率 25%を記録するなど大ヒットしたスパイ・アクション。


シナモン役のバーバラ・ベイン(ローラン役のマーティン・ ランドーと夫婦)は、67年から3年連続でエミー賞主演女優賞を受賞、フェルプス役のピーター・グレイブスは 71年のゴールデン・グローブ賞でTVドラマ部門主演男優賞を受賞するなど、個性的な俳優たちの競演に加え、TVシリーズを代表する名テーマ曲とオープニング、エミー賞受賞の優れた脚本からなる傑作シリーズである。


IMFとは?
「Impossible Missions Force」の略。アメリカ政府が直接手を下せない内外のあらゆる極秘任務を受け持つスパイ組織。メンバーはいずれも特殊技能のエキスパートである。

 

第1話 核弾頭を奪え Pilot

 

あらすじ

IMFのリーダー、ダン・ブリッグス(スティーブン・ヒル)はエリートスパイを集め、軍事独裁国に潜入。核弾頭を奪い出すため、侵入不可能と言われる金庫へと挑む。

【今回の指令】
 カリブ海の小国サンタ・コスタの独裁者リオ・ドミンゲス将軍の下に、反対陣営からニ発の核弾頭が持ち込まれた。この弾頭が使用されるのも時間の問題である。将軍はナショナルホテルに司令部を構え、核弾頭はホテルの金庫室に保管されている。IMFはこの弾頭が使用される前に奪取しなければならない。


【作戦】
 IMFメンバーはそれぞれ外国からの旅行客としてホテルに宿泊。将軍を拉致して、ローランが将軍に変装し時間稼ぎをしている間に、ブリックスは本物の将軍を連れて金庫室に忍び込み、強引に核弾頭を収納している箱のロックの組み合わせを聞き出す。そして他の荷物に爆弾を移し変え爆弾の持ち出しに成功する。最後は軍に追跡されるものの、ジェット機で無事に逃走する。


感想

 評価は○。

 1960年代の大ヒットドラマが、かつてテレビ放送でカットされていた部分も別声優にアフレコさせた完璧版となって登場。おそらく40年ぶりの視聴となるが、昔見た時に感じていた面白さは今見直しても全く損なわれておらず、改めて名作ぶりに感嘆した。冒頭、あの超有名なテーマ曲が流れながら、画面の真ん中を「火の付いた導火線」がシューッと進んでいくオープニングは今見てもゾクゾクさせられた。

 今回のエピソードは、原題が「Pilot」で、つまり「パイロット版」(本放送前の試作版)であることを示しているが、いきなり完成度が高く、最初から良く出来ていた番組なのだと実感させられた。

 ストーリーは、唐突に姿なき上司からの指令シーンから始まり、メンバーのキャラクター紹介無しにいきなり現地に乗り込んで任務がスタートするなど、初見ならば面食らうこと必至の展開だが、スピーディーに話を進めていくので、不満を感じることも無く話に引き込まれていった。途中、メンバーがさまざまに準備/工作をしているシーンが、その際には意味が解らないものの、後から「そういうことだったのか!」と解る、という展開は実に楽しい。

 さて、メンバーの一人で力自慢のウィリー・アーミテージは、今回ほぼ台詞が無いのだが、これは一体どういう訳なのだろうか。冒頭にブリックスから声をかけられて「ええ」と答えるシーン以外、台詞が一つも無いのだが……、当時は新米俳優だったのだろうか。しかしその割には第7シーズンまで全て参加した皆勤賞キャラだったりするので、当時の立ち位置が良く解らない。

 作戦に参加したIMFメンバーの一人に、見覚えの無いキャラクターが一人いて、ちょっと驚いた。金庫破りのテリーという眼鏡の小男で、トランクの中に隠れて金庫室の中に入り、中から金庫を破るという仕掛けを実行した。もっとも、ミッションの途中でドアに手を挟まれて指が使えなくなり、その後事実上戦力外となってしまう。多分最初からパイロット版限りのゲスト参加キャラだったと思われるが、アクシデントとは言え、プロとしてはちょっと情けない有様だった。

 ドミンゲス将軍は、変装名人ハンド役のマーティン・ランドーが実際に変装(というかメイク)して二役で演じている。メイクでも結構顔かたちが変わるものだと感心させられた。

 指令の中で「反対陣営から核爆弾を入手した」というくだりが有る。最初「反対陣営」とは独裁に反対する地下勢力のことかと誤解して、ゲリラが核爆弾を持っているのかと首をひねってしまった。冷静に考えれば、これは「アメリカの反対の陣営→東側→ソ連」の事なわけだが、聞きなれない用語にちょっと戸惑ってしまった。1960年代はこういう言い回しをしていたのだろうか。

 冒頭、ブリックスがレコードをプレイヤーに掛けると、音楽では無く上司からの指令が流れる。おなじみのテープでは無く、こんな優雅な(?)伝達手段を使っていたのかとちょっと驚いた。もっとも、21世紀の若き視聴者の中には、ブリックスが何をして何を聞いているのか解らない人も多々居るのでは無かろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 ブリックスが古物商(?)を訪れ、あるレコードを求めると店主がそれを差し出して、部屋の外に出て行く。ブリックスは事務室の中でレコードを再生すると、その中には指令が録音されている。レコードの封を破ってから一分経過すると、自動的にレコードは変質する仕組みとなっており、指令を聞き終えたタイミングでレコードから白煙が立ち上る。


他のエピソードのあらすじ・感想

perry-r.hatenablog.com

キャスト

ダン・ブリックス スティーブン・ヒル若山弦蔵
冷静沈着なIMF初代リーダー。


ローラン・ハンド マーティン・ランドー納谷悟朗
変装と手品の名人。(※シーズン1ではゲスト扱い)


シナモン・カーター バーバラ・ベイン(山東昭子/弥永和子 ※追加収録部分のみ)
元モデル。その美貌で敵を虜にする。


バーニー・コリアー グレッグ・モリス(田中信夫/丸山壮史 ※追加収録部分のみ)
電子工学の天才。コンピューターに精通している。


ウィリー・アーミテージ ピーター・ルーパス小林修/高瀬右光 ※追加収録部分のみ)
元重量挙げ選手。怪力を誇る。


指令の声 ボブ・ジョンソン(大平透
IMFのリーダーに指令を伝える。テープに残された音声のみの登場で、その正体は誰にも分からない。