感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第11話(シーズン1 第11話)「疑惑の降霊会」

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【※以下ネタバレ】
 

第11話 疑惑の降霊会 Zubrovnik's Ghost

 

あらすじ

電気のプロ、バーニー・コリアー(グレッグ・モリス)と霊媒師とともに、女性科学者が鉄のカーテンの向こう側で働くのを阻止するのがローラン(マーティン・ランドー)の任務。その任務のために、彼女の死別した夫の霊を呼び出すのだった…。

※DVD版のタイトルは「幽霊を呼べ!!」。


【今回の指令】
 アメリカ人科学者マーサ・リチャーズ博士は、二年前オーストリアでカート・ズブロニック博士と結婚し、以後共同で研究を行っていた。一年前、カートは研究室で焼死したが、その後もマーサは現地で研究を続行していた。ところが最近マーサが鉄のカーテンの向こう側に行く準備をしていることが判明した。マーサのそばに現れた自称霊媒師のシグマン・ポルジャックが、夫カートの霊の言葉だと言って彼女に東側行きを勧めているからである。IMFはマーサの東側行きを思いとどまらせなくてはならない。


【作戦】
 ローラン、バーニー、霊媒師のアリアナ・ドミの三人は、心霊現象の研究者との触れ込みでマーサの家を訪れ、降霊会に参加させてもらう。ところがポルジャックはカートの霊から聞いたといって、カートしか知らないことを口にする。アリアナは、自分の霊力でこの家で殺された怒った人間の霊がいることをつかむが、それはカートではないという。ローランは、一年前にポルジャックがカートをどこかに拉致したあと、別人を焼き殺し、今はカートから情報を得ているのではと推測する。アリアナたちは霊能力でカートを探そうとするが、その直後カートが死んだことを感じ取る。

 やがて、マーサは翌朝家を引き払うと言い出す。ローランたちは慌てて再度降霊会を開かせ、偽のカートの映像を上映してマーサを思いとどまらせようとするが、その途端に停電して映写機が使えなくなる。ところがアリアナが突然カートの霊を呼び出し、カートの声でポルジャックの言っていることは嘘だという。さらにアリアナはこの家で蜂を飼っていた男が死んだと口にする。次の瞬間ポルジャックに謎の煙がまとわりつき、さらに大量の蜂に襲われて死んでしまう。

 マーサは東側行きを取りやめ、IMFのメンバーは家を立ち去った。最後、アリアナは大芝居をうったと言って笑う。


感想

 評価は△。

 トリックではなく本物の心霊現象がふんだんに登場する異色エピソードで、どこがスパイ大作戦なのか、と言わざるを得ない展開だった。

 最初にバーニーが特別な映写機でカートの顔写真を空中に映し出すデモンストレーションがあるので、IMFが偽霊媒を立てて、東側の霊媒のインチキを粉砕する展開かと思っていたのだが、全く違った。それどころか本物の心霊現象が次々と発生するのだから驚きというより呆れてしまった。

 IMFはいつもは抜群のチームワークでミッションをクリアするが、今回は全く様子が違うのにも驚かされた。ゲストキャラクターのアリアナは、「霊媒役」ではなく本物の霊能力者だと言い張り、ローランたちに対して霊関係で嘘をついたり芝居をしたりはできない、と非協力的なことを言うのである。ローランがムカッ腹を立てるのも当然だといえよう。しかも、霊を呼び出して「この家には怒った霊がいる」とか「カートが食肉工場に監禁されているのが見えた」とか口にし、ローランたちもそれを手掛かりに行動するのである。本物の霊能力者が活躍する時点で、これはもはやスパイ大作戦というより、心霊ホラー系のドラマといったほうが良い内容だった。

 さらに、ポルジャックの助手はポルターガイスト的な物に襲われて窓から落ちて死ぬし、ポルジャック自身も謎の煙にまとわりつかれた挙句、蜂の大群に襲われて死んでしまうのである。犯人(?)はポルジャックたちに殺された、蜂を飼っていた男の霊、というオチが付くが、敵が霊によって殺されてしまうという結末に、もうこれはスパイ大作戦という番組のシナリオではないと思ってしまった。

 しかし、こうなったらすべてが霊の仕業とオチをつけておけばいいのに、最後の最後にアリアナが「カートの声は芝居だった」とか言い出したおかげでつじつまが合わなくなってしまい、視聴者としては「はぁ?」であった。アリアナの言ったことが嘘八百なら、ポルジャックが蜂に殺されたのは何だったというのか。もう訳が分からない。

 ということであまりにも異色すぎるエピソードだった。

 ちなみに、ポルジャックもアリアナも霊能力を使う際「支配霊」を呼び出していた。調べてみると、降霊関係における支配霊とは、霊界側のことを取り仕切る高級霊で、その霊の力で他の霊を呼び出してもらう、というような位置づけであるらしい。適当なことを言っているのかと思ったのだが、少なくとも降霊関係の描写はそれなりにまともだったようである。

 今回の冒頭、ブリッグスはレコードで指令を受け取るが、その際に使用したプレイヤーがちょっと変わっていて、スロット(?)にレコードを差し込むと再生されるようになっていた。レコードプレイヤーというとターンテーブルの上にのせて針を落とすタイプしか知らなかったので、ちょっとカッコいいと思ってしまった。


参考:今回の指令の入手方法

 ブリッグスが病院に行き、鍵のかかった部屋に入り、金庫を開けて書類の入った封筒とレコードを取り出す。ブリッグスがレコードを再生し指令を確認する。最後「このレコードはただちに処分してくれたまえ。」と言われるので、洗面所に持っていき謎の液体を振りかけると、煙が立ち上る。


他のエピソードのあらすじ・感想

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