感想:科学番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿スペシャル」『欲望のユートピア』

科学を学ぶ者の倫理―東京水産大学公開シンポジウム

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 http://www4.nhk.or.jp/P3442/
放送 NHK BSプレミアム(毎月最終木曜日 22:00~23:00 放送)。

【※以下ネタバレ】
 
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「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 

スペシャル回 欲望のユートピア (2017年12月28日(木)放送)

 

内容

12月28日木曜
NHKBSプレミアム 午後10時00分~ 午後11時30分
フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 スペシャル「欲望のユートピア


フランケンシュタインの誘惑」拡大スペシャル第2弾!今回も第一線で活躍する科学者が分野を超えて集結!科学史に埋もれた“闇の事件”をもとに“科学の正体”に迫る!


科学史に埋もれた闇の事件に光を当てる知的エンターテインメント「フランケンシュタインの誘惑」拡大スペシャル第2弾!今回も第一線で活躍する現役の科学者が分野を超えて集結! 知性とは、感情とは何か? 科学はユートピアを創造できるのか? 科学が強大な権力と結びついた時、何が起きるのか? 番組で取り上げてきた驚がくの“科学史の事件”をもとに徹底的に語り合い、“科学の正体”に迫る! 驚きと発見に満ちた90分!


出演者ほか
【ナビゲーター/ナレーション】吉川晃司,【ゲスト】池内了,栗原聡,佐々木敏,平孝臣,肥山詠美子,【司会】武内陶子

 
 年末90分スペシャル回。内容は総集編+座談会で、まず過去回の内容のダイジェストを放送し、続いてそれを見たゲストたち(各分野のトップ研究者たち)が意見を述べあう、という構成。


 扱われたエピソードは

強制終了 人工知能を予言した男 数学者アラン・チューリング
人を操る 恐怖の脳チップ 脳科学者ホセ・デルガード
いのちの優劣 ナチス 知られざる科学者 人類遺伝学者 オトマール・フォン・フェアシュアー
宇宙に魂を売った男 ロケット工学者ヴェルナー・フォン・ブラウン


 トーク内容は

チューリングの話のあと

・物の機能は形に現れる。例えばコップを見れば液体を入れるものだと解る。ところがコンピューターはその機能が見た目では全く分からない。不気味ではある。
チューリングはコンピューターで脳を再現できると主張したが、人の脳はそんな単純な物ではない。
etc


◆デルガードの話のあと

・デルガードは何故「大衆が権力者の脳をコントロールする」ではなく、「独裁者が大衆の脳をコントロールする」という、余程有りそうな可能性の方を思いつかなかったのか。良い方しか見ていない、または見ようとしなかった。

・成果を求めてサルとか猫の実験の後、(患者本人に承諾も得ずに)一足飛びに人体実験をやっているのはダメ。牛の脳の実験も見せ物以上のものではない。etc


◆フェアシュアーの話のあと

・ドイツ人が優秀でユダヤ人は劣っている、というのは科学ではなく単なるフェアシュアーの思い込みに過ぎない。フェアシュアーがやったことは疫学の手法だが、自分の調査結果を好きなように結論づけているのはアウト。etc


◆ブラウンの話のあと

・結局ブラウンの行動は全部は金のため。でもお金が無くて研究が出来ないのもつらい。自分たちはスポンサーの都合の良い研究結果だけを発表していないか。etc


感想

 2016年に続いての年末座談会形式の回。今回も一流研究者たちが「この人の研究の進め方は完璧にアウト」「でも自分がその当事者だったらどうしただろうか」といった内容を語り合っていて見ごたえありました。
 
 

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