【映画】感想:映画「遊星からの物体X」(1982年:アメリカ)

遊星からの物体X [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2022年2月7日(月)

【※以下ネタバレ】
 

鬼才ジョン・カーペンター監督が、SFホラーの古典「遊星よりの物体X」をリメーク。南極基地を舞台に恐怖の宇宙生物と隊員たちの死闘を描く。主演はカート・ラッセル


推定10万年前に地球に墜落し、氷の下で眠っていた宇宙生物を発見した南極基地の隊員たち。生命体は、接触した生物に同化し、次々と形態を変えながら隊員たちに襲いかかる…。鬼才ジョン・カーペンター監督が、敬愛するハワード・ホークスが製作した古典的名作「遊星よりの物体X」(51年)をリメーク。特殊メークと視覚効果で作りあげられた生命体は迫力満点。人類とエイリアンの壮絶な闘いをスリリングに描く傑作SFホラー。

 

あらすじ

 1982年。南極。ヘリに乗った男が、銃や手りゅう弾を使って雪原を走る犬を殺そうとするが、犬はアメリカ国立科学研究所第四観測所にたどり着く。男はヘリから降りて銃を乱射したため、観測所の所長ギャリーが男を射殺する。男はヘリの記載からノルウェー基地の人間と解る。

 ヘリ操縦士のマクレディたちは状況を確認するためノルウェー基地に飛ぶが、基地の内部は荒れ果てており、さらに何かを取り出したと思しき四角い氷塊や、異様に変形したうえに焼け焦げた死体、などを見つけ困惑する。

 外からやって来た犬は檻に入れられるが、夜、突然異常な姿に変形して他の犬を襲い始めた。隊員たちは騒ぎを聞いて駆け付け、マクレディがこの怪生物を火炎放射器で焼き殺した。この生物の死体を解剖した結果、この未知生物は他の生物に寄生して体を乗っ取ったあとその生物そっくりに擬態することが判明する。

 ノルウェー基地から持ち出した資料により、ノルウェー基地の隊員たちは、基地近くの氷原で何かを発見し、基地に持ち帰った事が解る。マクレディたちは改めて調査に向かい、およそ10万年前に墜落したと思しき宇宙船と、氷を四角く切り出した跡を発見する。ノルウェー基地の隊員たちは、氷の中で眠っていた地球外生物を目覚めさせた挙句、この生物に寄生・同化されて全滅したと思われた。

 やがて、ノルウェー基地から持ち帰った「焼死体」が動き始め、隊員を襲って同化するが、すぐさま他の隊員たちに焼き殺される。隊員の一人ブレアは、この生物が人類社会に到達すれば2万7000時間で全人類がこの生物に寄生同化されてしまうと計算、さらにこの生物は既に基地内の誰かに寄生同化していると推測する。

 ブレアは生物をこの基地から外に出さないため、ヘリや雪上車・無線機器を破壊するが、その狂気じみた行動は他の隊員には理解されず、半ば狂人として別の建物に監禁される。やがてドクターが、保存してある血液を利用して寄生同化されたものを発見するアイデアを出すが、保存血液は何者かによって破棄されていた。隊員たちは既に誰かが寄生同化されていることを悟って疑心暗鬼に陥り、一触即発の状況となる。

 マクレディは寄生同化されていると疑われるが、ダイナマイトを手に他の隊員をけん制して対立する。その騒ぎの中、隊員の一人ノリスが倒れ、ドクターが電気ショックで蘇生させようとするが、ノリスは怪物としての正体を現してドクターを食い殺したあと、焼き殺される。

 マクレディは、各人から血液を採り、それに熱を加えれば、寄生生物の血液は反応するはずと言って検査を行うが、隊員パーマーからとった血液が暴れ出し、またパーマーもすぐさま怪物化して、隊員ウインドウズを殺した末に焼却される。

 マクレディたちがブレアの様子を見に行くと、ブレアは姿を消しており、小屋の下からはヘリの部品を使って作られた小型円盤が見つかる。しかも基地の灯りが消え、誰かが発電機を破壊したと解る。マクレディたち四人は、もはやこのままでは凍死する運命と悟り、怪物を道連れにするため、基地をダイナマイトで破壊することを決意する。しかし作業中にも隊員たちは次々と襲われて姿を消し、唯一残ったマクレディは、なんとか基地もろとも怪物を爆破する。

 爆発をなんとか生き延びたマクレディは、もう一人の生存者チャイルズと出会う。凍死が目前に迫る中、マクレディとチャイルズは互いを疑い合ったまま、ただ座り込んでいた<完>

感想

 評価は◎(めちゃくちゃ面白かった)。

 1982年公開ですから、もう40年前の映画となるわけですが、今見ても全く古びていない、メチャクチャ面白い映画でした。( ´∀`)b 


 既に約40年前に一度見ているのですが、内容を忘れ切っていたので新作同然の感覚で視聴できました。しかし、公開当時に「顔のところがベロンと変形する犬」とか「人間の頭が逆さになって目と足が生えてくる」とかのクリーチャー描写が大いに話題になったものですから、映画の内容はほぼ忘れていたのに、その怪物のデザインだけはビックリするくらいよく覚えていました(笑)


 主演は「ジョン・カーベンター映画の主演と言えばこの人だろ!」の、お馴染みカート・ラッセル。酒瓶を抱えてやたらラッパ飲みしているとか、パソコン相手のチェスに負けたら怒って機械の中に酒を流し込んでショートさせるシーンとか、実にらしいというかでした。


 さて、この映画、ストーリーそのものはわりと単純ですし、舞台はほぼ南極の基地の中に限定されているのですが、にも拘らず全く退屈しない、それどころか、一度見始めると作品世界に引き込まれてしまって、比喩ではなく、本気で時間が経つのを忘れる程でした。こんな感覚はなかなか味わえるものではありません。ストーリーの進め方がまさに絶品の一言。


 劇中の怪生物は、正体を現すと速攻で火炎放射で始末されてしまうので、意外にも「怪物に襲われる恐怖」というのはさほどではありません。それよりも、この映画の肝は「一体誰が寄生同化されているのか分からない、寄生されているのは誰だ?」というミステリー要素で、「大雪で山荘に閉じ込められたところに殺人事件が発生、犯人は誰だ」的クローズドサークル物のような雰囲気があります。

 そして、ドクターが血液で検査しようと言い出すと既に犯人(怪生物)が先回りして血液パックを破棄しているとか、マクレディが各人から血液をシャーレに採取して、順に熱した金属線を当てて正体調べをしていくあたりとか、あたかも犯人当てミステリーを見ているようで、ホントに面白かった。

 また怪生物を殺しても殺しても、後から後から寄生同化された人間が現れてきてキリがなく、最後に主人公のマクレディが凍死しかけているのに、まだ怪物は生きているかもしれないという、なんとも救われない結末がまた良かったしね。


 怪生物の描写は、40年前の作品ですから、CGで何でもできる昨今の映画と比較するとさすがに見劣りしますが、そこはメインでは無いので、さほどは気になりませんでした。

 しかしまあ、ドクターが倒れたノリスの胸に電気ショックの電極を当てようとしたら、胸から腹にかけてがガバっと開いて、そこにおもむろに両手を突っ込んでしまって手首を食いちぎられて絶叫する場面は、凄惨というより、「そうくるか」となんか苦笑いしてしまいました(笑) あとノリスの頭が胴体からちぎれて、細長い脚と飛び出した目を生やしてこっそり逃げ出していくシーンも、怖いと言うより悪い冗談ぽくってここもちょっと笑いました(笑) もっと震え上がるような場面だと思っていたんですけどね(笑)


 とまあ、ストーリーも特撮部分も良い感じで、最初から最後まで隙無く楽しめた一作でありました。

おまけ

 「作品自体」には古さは感じませんが、劇中の「パソコン」と「ビデオデッキ」の描写については「昔の映画だな」と痛感させられましたなぁ。くそ粗い映像のパソコンとか、カセットをガチャガチャ入れて映像を再生するとか、もうね(笑) 逆にヘリのデザインとかはまるっきり今と同じで、航空業界は40年経ってもほぼ変化していないことも良~く解りました。
 
 

シネマ「遊星からの物体X」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2022年02月07日 午後1:00 ~ 午後2:50 (110分)


【製作】
デビッド・フォスターローレンス・ターマン
【監督】
ジョン・カーペンター
【原作】
ジョン・W・キャンベル・ジュニア
【脚本】
ビル・ランカスター
【撮影】
ディーン・カンディ
【音楽】
エンニオ・モリコーネ
【出演】
カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ダイサート ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1982
原題:
THE THING
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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