【映画】感想:映画「トゥルーマン・ショー」(1998年:アメリカ)

トゥルーマン・ショー [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2022年1月1日(土)

【※以下ネタバレ】
 

主演ジム・キャリー。海に囲まれた小島の町を舞台に、メディアによって人生をつくられた男の苦悩と葛藤を描くSFタッチの傑作ブラック・コメディー。共演はエド・ハリス


海に囲まれた小さな町で平和に暮らす青年トゥルーマン。実は、生まれたときから生活すべてがテレビ中継され、全世界の視聴者が、トゥルーマンの暮らしを見ていたのだ。島全体は巨大なセット、住民は番組制作者クリストフの指示で動く俳優だった。何かがおかしいと感じたトゥルーマンは秘密に気付きはじめるが…。主演はジム・キャリー。人生をつくられた男を通して、メディアを鋭く風刺したSFタッチの傑作ブラック・コメディー。

 

あらすじ

 トゥルーマン・バーバンクは、小さな島シーヘブンで、妻のメリルと暮らす平凡な人物だった。しかし、トゥルーマンは海に近づくと恐怖を感じるというトラウマを抱えていた。彼が幼い頃に父親とヨットに乗っていた際、嵐に巻き込まれて父を亡くしたことが原因だった。

 ある日、トゥルーマンが出勤中にホームレスのような姿の男に声をかけられるが、その相手は死んだはずの父親だった。混乱するトゥルーマンだったが、父親は通行人にバスに押し込まれて姿を消してしまう。トゥルーマンは母親や妻メリルにその話をするが全く取り合ってもらえない。

 トゥルーマンは、日ごろフィジーへと旅することを夢見ていた。その理由は、彼が大学時代に好意を抱いた女性ローレンがそこに住んでいるはずだったからだった。ローレンは、彼に対し「自分の本名はシルビアで、この世界は作りものだ」と不可思議な事を口走るが、すぐに父親に連れていかれ、そのあと一家でフィジーに引っ越してしまったのだった。

 トゥルーマンが出勤中、車のラジオが混線し、彼の行動を逐一放送する内容に切り替わるが、すぐに元に戻ってしまう。妙に感じたトゥルーマンは普段は入らない建物に入り、エレベーターに乗ろうとすると、実はそれはエレベーターではなくただのセットだった。驚くトゥルーマンは警備員に建物の外に放り出されてしまう。

 トゥルーマンは幼馴染みのマーロンに、世界が作り物のように感じると打ち明けるが一笑に付される。トゥルーマンは妻のメリルも疑い、彼女が勤務する病院までこっそり尾行し、手術室を覗くと、中にいた医者は格好だけの素人だった。

 トゥルーマンは町を出ようとするが、飛行機を予約しようとすれば一か月満席だと言われ、バスに乗り込むと故障してしまう。さらにトゥルーマンは家の前の通行人を観察し、同じ人間たちが定期的に何度も現れていることに気が付く。

 トゥルーマンは妻のメリルを乗せて車で町を飛び出すが、すぐに山火事で通行止めと表示され道路が炎に包まれる。トゥルーマンが強引に炎を突破すると、次は原子力発電所の事故で通行止めだと制止されるが、警官が知らない筈の彼のことを「トゥルーマン」と呼んだことに気が付き、一人で車を飛び出す。しかし彼はつかまって自宅に連れ戻される。

 トゥルーマンはメリルもグルだろうと問い詰めるが、メリルは突然ココアの銘柄の宣伝文句を並べ立て始める。トゥルーマンはメリルが自分以外の誰かに話しかけているといい、真実を話すように強要するが、そこにマーロンがやって来る。マーロンはトゥルーマンの父親を探し出しており、彼は死んでおらず記憶喪失だったと説明し、父子は感動の再会を果たす。


 その再会シーンに、テレビ番組「トゥルーマン・ショー」の視聴者たちは大感激していた。実はトゥルーマンの人生は生まれた時から30年間全てが、テレビ番組制作者クリストフが制作する番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていた。シーヘブンはハリウッドに作られた史上空前の規模の巨大セットで、トゥルーマンはテレビ会社が親となった養子で、生まれた時から全ての人生はクリストフにコントロールされ隠し撮りされており、知らないのはトゥルーマン自身だけだった。かつての出演者ローレンことシルビアは、このショーを非人道的な物だと激しく憤っていた。


 ある夜、トゥルーマンは物置を整理していたが、番組スタッフが気が付くとトゥルーマンは隠しカメラをかいくぐり、こっそり姿を消していた。番組スタッフは初めてカメラがトゥルーマンを見失ったことでパニックに陥り、番組を中断すると、セットにいる全員がトゥルーマンの大捜索を開始するが、どこにも見つからなかった。

 クリストフはトゥルーマンがヨットで海に乗り出したのに気が付き、嵐を起こして引き返させようとするが、真実を求めるトゥルーマンは殺せるなら殺してみろと叫ぶ。クリストフは諦めて嵐を止め、トゥルーマンのヨットはセットの果てにある壁に到着する。

 トゥルーマンは壁にある入り口のドアを開くが、クリストフはマイクで呼びかけ、トゥルーマンの人生がテレビ番組だった事を打ち明け、セットの世界の方が外より良い世界だと言い、引き返すように促す。しかしトゥルーマンはその言葉を無視してドアの中に入り、テレビ画面から消えてしまう。そのシーンを見たテレビの視聴者は感動の結末に拍手喝采し、シルビアは喜色満面でどこかに飛び出していった。

 しかし、テレビ放送が中断すると、視聴者たちは途端に興味を失い次の番組を探し始めた。<完>


感想

 評価は○(まあまあ)。

 自分の周りの世界が全て作り物で、生活の全てが監視されている、という、ある意味悪夢的な内容のSF風味映画。面白さはまあまあ。

 視聴率のために何でもやらかすメディアの体質を批判した風刺映画とでも言えるのでしょうか。でも、最後に視聴者たちが、トゥルーマンがセットから出ていくラストに熱狂した後、すぐ醒めて次の番組を探し出すオチを見るに、作り手だけでなく「面白ければ悪趣味な番組でも大喜び」という視聴者に対する嫌味も含めているのかもしれません。

 トゥルーマンが姿を消すシーンで〆ではなく、視聴者が番組に興味をなくして次の番組を探すところでおしまい、というのがハッピーエンドとはあまり思えなくて、しかしまあそれが印象的だったので、成功したラストだったと言えましょうか。


おまけ

 この映画の元ネタというかアイデア元は、かの有名なSFドラマ「トワイライトゾーン」の1989年に放送されたエピソード「Special Service」という話だったとのこと。そちらも「一般人が自分のプライベートをテレビ局が勝手に撮影して放送していた」という話だった模様。
 
 

シネマ「トゥルーマン・ショー」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2022年01月01日 午前3:53 ~ 午前5:38 (105分)


【製作】
スコット・ルーディンエドワード・S・フェルドマン、アダム・シュローダー
【製作・脚本】
アンドリュー・ニコル
【監督】
ピーター・ウィアー
【撮影】
ピーター・ビジウ
【音楽】
バークハード・ダールウィッツ
【出演】
ジム・キャリーエド・ハリスローラ・リニー ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1998
原題:
THE TRUMAN SHOW
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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