【歴史】感想:NHK番組「ふたりのウルトラマン 沖縄本土復帰50年 ドキュメンタリードラマ」(2022年5月2日(月)放送)

ウルトラマンを創った男―金城哲夫の生涯 (朝日文庫)

ふたりのウルトラマン NHK https://www.nhk.jp/p/ts/PN3P16XW6Y/?cid=jp-timetable-modal-programofficial
放送 NHK BSプレミアム。2022年5月2日(月)

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【※以下ネタバレ】
 

ふたりのウルトラマン
怪獣だって泣きたいんだよ!ウルトラマンを創った男たちのヒューマンドラマ


ウルトラマンを創った沖縄出身の男たち。金城哲夫上原正三の知られざる生涯に迫る人間ドラマ。ヒーロー誕生の舞台裏や本土復帰前後の沖縄の光と影、夢と挫折を見つめる。


1972年の沖縄本土復帰直前、日本全国で大ヒットした特撮ドラマ「ウルトラマンシリーズ」。そこには金城哲夫上原正三という沖縄出身の若き脚本家が参加していた。アメリカの統治下、沖縄からパスポートを持って上京。20代で円谷プロのメインライターとして活躍、子どもたちが夢中になる人気番組を創り上げた。当時のことを知る人々の証言を交えながら、ヒーロー誕生の舞台裏を描く。沖縄復帰50年のドキュメンタリードラマ

 

内容

 史実を元にしたフィクションドラマと、実在の人物のインタビューを組み合わせた番組。


 1965年夏。沖縄出身の上原正三(27歳)は、同郷の金城(きんじょう)哲夫(26歳)を頼り、東京の円谷プロを訪ねる。当時の円谷は特撮番組「ウルトラQ」を制作中で、金城は脚本の発注とりまとめ、さらに自分でも脚本を書く、などの仕事に携わっていた。上原は金城のつてでウルトラQで脚本家としてデビューする。

 円谷プロは、ウルトラQの後番組「ウルトラマン」の製作に取り掛かり、情熱に燃える若手が集まってきた。金城が大物脚本家に頼んだ脚本を手直しし、円谷英二の息子・円谷一が監督した第一話は大評判。そしてウルトラマンは視聴率40パーセントの大ヒット番組となった。

 しかし次の作品「ウルトラセブン」では、難しい話が多くウルトラマン程の爆発的なヒットにはならなかった。また金城や一は「ただ怪獣を倒すだけでいいのか」と迷い始めていた。さらに途中から参加したプロデューサーは話にテーマ性を求め、そういった方向性が苦手な金城は脚本に苦しみ始める。

 さらに円谷プロが別の局向けに制作し、金城が脚本を書いた大人向け特撮ドラマ「マイティジャック」は視聴率で惨敗してしまう。このため円谷プロは赤字となり、金城は責任を取らされ脚本家から企画を書くプロデューサーに降格されてしまう。結局金城は1969年に故郷の沖縄へと帰っていった。


 その後、金城は沖縄で沖縄を舞台とする芝居の脚本を書いたりした。その間に、円谷英二は1970年に死亡、金城が兄とも慕った円谷一も1973年に43歳の若さで亡くなる。


 1972年に沖縄は本土に復帰し、沖縄県民の反対をよそに1975年に沖縄海洋博が開催されることになった。金城は沖縄と本土の懸け橋になるという使命感から、海洋博に積極的に関わるが、県民の反発の前に精神的に追い込まれていく。そして1976年に37歳の若さで事故で亡くなった。

感想

 「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の脚本で伝説的な存在・金城哲夫上原正三の視点から描いたドラマ(あくまで事実がベースのフィクション)、の合間に、当時の円谷の関係者で存命の人たちや、金城の奥さん・妹さんのインタビューを挟み込んだ、ドキュメンタリーとフィクションの狭間の番組。


 前半は円谷プロ時代の話なので特撮オタなら割と知っている内容でしたが、後半は沖縄の日本復帰や海洋博の開催といった歴史と金城を絡めた展開となっており、このあたりは知らない話ばかりだったので新鮮に視聴できました。
 
 まあまあ面白かったです。
 
 

ふたりのウルトラマン 沖縄本土復帰50年 ドキュメンタリードラマ
[BSプレミアム] 2022年05月02日 午後9:00 ~ 午後10:30 (90分)


【出演】満島真之介,佐久本宝,青木崇高,玉置玲央,蔵下穂波,大橋直樹,伊藤静流,川畑和雄,川崎勇人,平岡亮,平良太宣,佐々木修二,長友郁真,宮城茂雄,山内昌太,正垣湊都,河村理人,村田みゆ,綾田俊樹平田満

https://www.nhk.jp/p/ts/PN3P16XW6Y/?cid=jp-timetable-modal-programofficial
1965年、「円谷特技プロダクション」を沖縄出身の上原正三が訪れる。待っていたのは脚本家であり、故郷の同胞・金城哲夫だ。金城は、天才的発想で『ウルトラQ』の脚本を執筆していた。やがて円谷一らを中心に、若い監督たちが集結し、『ウルトラマン』を創りだす。沖縄の日本復帰が近づくなか、金城と上原は二人が交わした「ヤマトゥーンカイ、マキティナイミ!(日本人に負けるな)」の言葉を胸に、それぞれの道を歩みだす。


脚本・演出は、沖縄在住の映画監督・中江裕司
出演者・キャストほか
金城哲夫 (満島真之介)
上原正三 (佐久本 宝)
円谷 一 (青木崇高)
実相寺昭雄 (玉置玲央)
金城裕子 (蔵下穂波)
円谷英二 (綾田俊樹)
上原正三(60歳) (平田 満)

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=34008
【新事実が続々】ウルトラマンを創った男たちのヒューマンドラマ 脚本・演出 中江裕司インタビュー

ふたりのウルトラマン
4月29日(金・祝)[総合]後7:30~8:42 <九州沖縄ブロック>(鹿児島を除く)【72分版】
5月2日(月)[BSプレミアム]後9:00~10:29 ※BS4K同時放送【89分版】



1972年の沖縄本土復帰直前、日本全国で大ヒットした特撮ドラマ「ウルトラマンシリーズ」。そこに脚本家として参加していたのが、沖縄出身の金城哲夫上原正三でした。

沖縄復帰50年のことし、当時のことを知る人々の証言を交えながら、ヒーロー誕生の舞台裏を描いたドキュメンタリードラマをお送りします。

脚本・演出は、沖縄在住の映画監督・中江裕司さん。満島真之介さん、佐久本 宝さんら沖縄出身俳優とともに、金城、上原、2人の人生を丁寧に描きます。



<主な登場人物>
金城哲夫満島真之介
“特撮の神様”と呼ばれた円谷英二の愛弟子で沖縄出身の天才脚本家。その沖縄人らしい発想と優しさは、のちに金城自身を苦しめることに。


上原正三(佐久本 宝)
ウルトラQ」で脚本家デビューをした沖縄出身の脚本家。リアリズムやテーマ性を得意とする。やがて金城とは道を分かつことに。


円谷 一(青木崇高
円谷英二の長男で、テレビ局の監督。熱気の塊のような男で、脚本作りでは、金城を叱咤する一方で、ときには兄弟のような愛情を示す。


上原正三(60歳)(平田 満)
60歳になった上原は、金城の帰郷後の足跡を知るために沖縄へ向かった。そこで知ったのは、金城の沖縄に対するあふれるばかりの愛情だった。



番組では、金城さんと上原さんの活動をそばで見つめてきた人々が当時の様子を鮮明に語ります。2人の仕事に対する考え方や生活の様子、また挫折や悲しみなどが明らかになります。時代を作りあげた方々の名言もお見逃しなく!

【当時を語る証言者たち】
・「ウルトラQ」の助監督、監督・満田かずほさん
※かずほさんの名は正しくは「禾(のぎへん)」に「斉」
円谷英二の三男で当時の助監督・円谷 粲さん
・「ウルトラマン」の監督のひとり・樋口祐三さん
・「ウルトラセブン」の助監督、「帰ってきたウルトラマン」の脚本家・田口成光さん(89分版のみ)
・「ウルトラマンシリーズ」に多く携わった元テレビプロデューサー・橋本洋二さん(89分版のみ)
・「ウルトラマンシリーズ」の脚本家、作家・藤川桂介さん(89分版のみ)
・金城さんの妻・金城裕子さん
・金城さんの妹で染織家・上原美智子さん

 

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