【SF小説】感想「皇帝の帰還」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 678巻)(2022年12月6日発売)

皇帝の帰還 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-678)

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皇帝の帰還 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-678) 文庫 2022/12/6
アルント・エルマー (著), クルト・マール (著), 工藤 稜 (イラスト), 渡辺 広佐 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/12/6)
発売日:2022/12/6
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

アーガイリスが率いる10万名のハンザ・キャラバンは、ティグ・イアンの巨大艦隊によって、惑星オニキスに封じこめられていたが!?


新銀河暦430年、オリンプの皇帝アンソン・アーガイリスひきいる70隻のハンザ・キャラバンは、エスタルトゥ銀河へと向かう途上、ソト=ティグ・イアンの巨大艦隊により、白色恒星リラの第二惑星オニキスに封じこめられた。惑星全体を包む強力なバリアは破壊不能、180度から600度に変化する地表温度、吹きすさぶハリケーン地殻変動でできた亀裂へと滑落する宇宙船…10万名のキャラバン隊員は地獄の日々を送ることに!

 

あらすじ

◇1355話 皇帝の帰還(アルント・エルマー)(訳者:渡辺 広佐)

 NGZ430年。皇帝アーガイリス率いる船団「ハンザ・キャラバン」は、力の集合体エスタルトゥへの旅の途中、ヴィラメシュ銀河でスティギアンの艦隊に遭遇し、不毛の惑星「オニキス」にバリアによって閉じ込められてしまった。以後、キャラバンの乗員10万人は、オニキスで絶望の日々を過ごすことになった。

 NGZ447年7月。銀河間空間には、1月末に続き4月2日にも新たな恒星群が出現していたが、ギャラクティカーは未だ正確な状況を把握していなかった。やがてテラに17年前に死んだはずのアーガイリスが帰還し、1月末にバリアが崩壊し脱出できたことを伝え、ティフラーは恒星群の出現でバリアが消滅したと推測した。アーガイリスは、さらにヴィラメシュ銀河にハウリ人が出没し、また500万の恒星が消滅したことも報告した。またニッキ・フリッケルもテラに到着し、ハンガイ銀河について報告した。(時期:NGZ430~NGZ447年7月末)

※初出キーワード=恒星リラ/惑星オニキス。



◇1356話 ネットウォーカーの終焉(クルト・マール)(訳者:渡辺 広佐)

 NGZ447年2月。力の集合体エスタルトゥでは、プシ定数の低下によりプシオン・ネットが次々と消滅し始め、大混乱に陥っていた。クエリオン種族は、ドリフェルの危機は継続しているものの、プシオン・ネットが無ければネットウォーカーの組織は存続できないとして、組織を解散してしまった。アトランは、12銀河の種族を救済する事を提案し、元ネットウォーカーたちは賛同した。同じころ、突如ゲシールが失踪し、コスモクラートの使者はアトランに「最後の六日間の軍団(最後の日々の軍団)」が局部銀河群に攻撃をしかけてくると警告した。(時期:NGZ447年2月17日~3月22日とその前後)

※初出キーワード=恒星オプラ/惑星トンク。トナク種族。最後の六日間の軍団(最後の日々の軍団)。


あとがきにかえて

・最近は耳鳴りがしてきた、という話


感想

・前半エピソード 原タイトル:DER KAISER KEHRT ZURUCK(意訳:皇帝の帰還)

 皇帝アーガイリスたちの惑星オニキスでの17年に渡る苦労話と、現代のテラでの話。

 メインの、惑星オニキスでのアーガイリス側の話は、もう苦労の連続で読んでいてひたすら辛いとしか言いようがなし。テラニア側の話は、大して進展なしというのが何とも。ティフラーたちは出現した恒星群の対応に右往左往しているだけという……

 ところでP126「ヴァリオ=500はメルマトルの姿をしていた」云々の「メルマトル」って何?



・後半エピソード 原タイトル:DIE BOTSCHAFT DER LETZTEN TAGE(意訳:最後の日のメッセージ)

 舞台を力の集合体エトタルトゥに移して、プシオンネット崩壊で揺れる12銀河の状況を描く話。前のサイクルでは殆ど出番のなかったアトランが、久々に主役級で活躍。

 しかし、今回の話はどうにも過去の展開とつじつまが合っていません。元々ネットウォーカーという組織は、ドリフェルを正常化させ、プシ定数を引き下げ、その結果プシオン・ネットが使えなくなる様になることを目指して活動していたわけです。だとすれば、ネットが消滅して12銀河が混乱することは見越していた筈なのでは? 今更慌ててクエリオンに文句を言う筋合いでも無いのでは……

 今回の原題「DIE BOTSCHAFT DER LETZTEN TAGE」は意訳で「最後の日のメッセージ」としてみましたが、何を指しているのかピンときません。コスモクラートの使者はハウリ人の事を「最後の日々の軍団」と説明していたので、それと関係があるのでしょうか? 遠回しすぎてよくわからない。
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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