【SF小説】感想「カリュドンの狩り」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 658巻)(2022年2月2日発売)

カリュドンの狩り (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-658 宇宙英雄ローダン・シリーズ 658)

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カリュドンの狩り (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-658 宇宙英雄ローダン・シリーズ 658) 文庫 2022/2/2
ペーター・グリーゼ (著), エルンスト・ヴルチェク (著), 若松 宣子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/2/2)
発売日:2022/2/2
文庫: 280ページ

【※以下ネタバレ】
 

異物体"丸太"を並行宇宙からきたものだと推測するワリンジャーは、ネットウォーカー3名が丸太に接近する任務に協力するが……


コスモヌクレオチド・ドリフェル近傍の虚無空間に出現した人工物“丸太”は、ネットウォーカーたちにとって恐怖の存在となっていた。非常に強力なハイパー放射源であるため、周囲のプシオン・ネットが機能しなくなってしまうのだ。その正体はいったいなんなのか?謎を解明しようと、ネットウォーカー三名が、ジェフリー・ワリンジャーの開発した特殊機器ストレンジネス・シールドとともに“丸太”に接近したのだが…

 

あらすじ

◇1315話 ロボットと“丸太”(ペーター・グリーゼ)(訳者:若松 宣子)

 NGZ446年2月。力の集合体エスタルトゥ。ワリンジャーは、コスモヌクレオチド・ドリフェル近傍に出現した巨大物体「丸太」は、異宇宙から来た物体と考え、調査隊を送るものの、行方不明になってしまう。ワリンジャーが救助に送り込んだロボットは、調査隊の三人を救出し、さらに意志を持つ植物「フアカッガチュア」を持ち帰った。ロボットは、丸太の中には生物がいることや、テラ製のブーツをはいた何者か、キュウリのような物体、等がいることを報告した。(時期:NGZ446年2月3日~)

※初出キーワード=ストレンジネス値/定数、ストレンジネス・シールド、迷宮ダイヴァー


◇1316話 カリュドンの狩り(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:若松 宣子)

 五段階の衆のリーダー・ライニシュは、トロヴェヌール銀河の惑星ヤグザンにある奇跡「オルフェウス迷宮」で、ロワ・ダントンとロナルド・テケナーを捕えようとしていた。オルフェウス迷宮で開催される「カリュドンの狩り」の時期が近付き、ヤグザンにはライニシュに同行してきたアラスカや、ヴェト・レブリアンとスリの夫妻、そしてローダンたちが次々と集まっていた。(時期:NGZ446年3月3日~3月7日)

※初出キーワード=ヘルドル星系


あとがきにかえて

 子供に昔話を語ってみたという話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:DER ROBOTER UND DER KLOTZ(意訳:ロボットと“丸太”)

 舞台は力の集合体エスタルトゥに戻りました。今回のお題は、1300話に意味ありげに登場したのに、その後完全に放置状態だった「丸太」。「ストレンジネス」の説明はなかなか面白かったのですが、その値は「宇宙毎の物理定数の差異」の値を指すのか、はたまた「ストレンジネス定数」という確固たる値があるのか、どうも書き方が微妙なので上手く読み取れませんでした……、うーん?

 ワリンジャーの助手ロボット・ダニエルが今回の話の準主役でしたが、複数の人格(?)があるとか、緊急支援プログラムがどうとか、正直唐突に盛り込まれた設定がまるで理解できない……、どうせ一発キャラでしかないのに、こんなややこしい設定が必要か!? と愚痴りたくなりましたよ。

 丸太の中にいる「テラ製ブーツをはいた生物」と「キュウリ」という伏線が、なんかワクワクするなぁ。



・後半エピソード 原タイトル:DIE KALYDONISCHE JAGD(意訳:カリュドンの狩り)

 久しぶりのアラスカたちのお話。一番インパクトがあったのは表紙裏の登場人物紹介でスリマヴォが「ヴェト・レブリアンの妻」になっていたことですね。スリはNGZ430年に銀河系に帰った時に意識不明になって医療惑星タフンに担ぎ込まれて、その後物語的に放置状態だったと思いましたが…… いつの間にか覚醒して、ヴェトに会いたくて力の集合体エスタルトゥに帰って来たように書かれていますが、プシオン・ネットは封鎖されてなかったの……? 説明がさらっとしすぎていて良く解らない……

 その他は「カリュドンの狩り」の前夜祭的な雰囲気を堪能する回でした。アラスカもローダンもスリも、もうすっかりこの異世界に馴染んじゃっていますね。まあ15年もありましたからね。
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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