【映画】感想:アニメ映画「風が吹くとき」(1986年:英)

風が吹くとき デジタルリマスター版 [レンタル落ち]

 本日(2009年8月14日)、NHK-BS2の「BS夏休みアニメ特選」で放送した映画。


■概要

 イギリスのアニメ映画。冷戦時代に童話風の絵で核戦争の恐怖を描き、公開当時話題になりました。


■あらすじ

 ジェームズさんと奥さんは、イギリスの田舎に住んでのどかな暮しを送っていましたが、国際情勢は日に日に悪化を辿っており、ロシアとの戦争が始まろうとしていました。そのため、ジェームズさんは、政府が配布したパンフレットを元に、爆弾が落ちたときのため色々な準備を始めますが、その最中に遂に戦争が始まり、近くに核爆弾が落とされてしまいます。

 二人はシェルターのおかげでなんとか助かり、政府の助けが来る事を待ちながら頑張りますが、誰もやっては来ませんでした。二人の体は徐々に放射線にむしばまれていき、最後はジェームズさんが眠りにつく(そして二度と目覚めないだろう)シーンで終わります。


■感想

 ほのぼのした絵柄と、その見かけを裏切る思いっきりダークなストーリーで有名な映画。

 核爆弾が落ちた後の寒々とした風景をバックに、主人公の老夫婦が、第二次大戦の体験を元に、ある意味のんきな会話をしながら政府の救援を待ちつづけ、最後には死の灰の影響で衰弱しきった挙句死んでいくという、小学生くらいまでに見せたらトラウマになりそうなストーリーです。

 政府のパンフレットの指示する「シェルター」はお粗末なものなので(壁にドアを何枚か立てかけて爆風を防ぐだけ)、夫妻の運命は最初からわかっていますが、死の灰が何か理解しておらず、屋外を歩き回って日光浴をしたり、雨水を飲んだり、と、見ていて痛々しいシーンが続きます。

 最後には口や下から出血し、体中に斑点ができて、髪の毛が抜け、衰弱しきった体で、なお救援を待ちながら眠りにつくラスト(おそらく二度と目覚めない)は、作り手の狙い通りですが、暗〜い気持ちにさせられます。

 まあ、冷戦は終わり、米ソの全面核戦争はもう過去のおとぎ話になってしまいましたが、だから夏休みの朝にこんなアニメを流せるんでしょうかね(何せ、1980年代は内容が内容なので映画館で公開できなかったらしい)。今でもソ連があってアメリカとにらみ合っていたら、身近すぎて放送は出来んでしょうな。

 しかし、まっ、今の時代の子供は、例え見たとしても、内容のブラックさに戸惑いつつ「何故ロシアとイギリスが戦争するの?」とか思うんじゃないか、とその程度だと思います。
 
 
風が吹くとき