感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第29話(シーズン2 第1話)「強欲の代償」

スパイ大作戦 シーズン2<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

登場人物

ジム・フェルプス(ピーター・グレイブス)(声:若山弦蔵/麦人 ※追加収録部分のみ)
 IMF2代目リーダー。初登場は第29話(シーズン2・第1話)「強欲の代償」。


●ローラン・ハンド(マーティン・ランドー)(声:納谷悟朗
 変装と手品の名人。


●シナモン・カーター(バーバラ・ベイン)(声:山東昭子/弥永和子 ※追加収録部分のみ)
 元モデルの美女。


●バーニー・コリアー(グレッグ・モリス)(声:田中信夫/丸山壮史 ※追加収録部分のみ)
 メカニックや小道具の担当。


●ウィリー・アーミテージ(ピーター・ルーパス)(声:小林修/高瀬右光 ※追加収録部分のみ)
 元重量挙げ選手。怪力。後方支援担当。


●指令の声(ボブ・ジョンソン)(声:大平透
 IMFリーダーに指令を与える謎の人物。声だけの登場で正体は一切不明。
 

第29話 強欲の代償 The Widow (シーズン2・第1話)

 

あらすじ

ヘロイン市場を独占する2人の大物を再起不能にするため、エレベーターを使ったトリックを仕掛けるIMFチーム。作戦をリードするのは大物の妻に扮したシナモン。


ヘロイン市場を独占する2人の大物、密売業者クレズニックと銀行家ウォルターを再起不能にするためマルセイユに乗り込んだIMFチーム。エレベーターを使ったトリックでウォルターを死んだことに見せかけ、その妻に扮したシナモン(バーバラ・ベイン)が共同事業者の座に納まる。一方、ローラン(マーティン・ランドー)が別の密売組織になりすまし、クレズニックの顧客切り崩しにかかる。

※DVD版のタイトルは「未亡人は二度生まれる」。


【今回の指令】
 世界的なヘロイン密売業者アレックス・クレズニックは、大量のヘロインを買い占めて独占しており、近々それを大手バイヤーに販売する予定である。クレズニックは資金を確保するため、現在はアメリカの銀行の支配人マーク・ウォルターと手を組んでいる。IMFはこのヘロインの取引を阻止し、またクレズニックとウォルターを再起不能にしなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:プレメル(医者)


【作戦】
 IMFはまずウォルターを薬で仮死状態にしておいて、クレズニックにはウォルターがエレベーター事故で死んだと思い込ませる。直後、クレズニックの前にシナモンがウォルターの妻と名乗って現れ、「亡き夫」の代わりにクレズニックと仕事をすることになった。また、ウォルターはIMFによって病院に隔離され、絶対安静だと言い含められる。

 ローランは、新興のヘロイン密売組織を名乗ってクレズニックに挑戦状をたたきつける。クレズニックは、ローランたちの組織が、ヘロインを浴用香料に偽装して出荷しているという事を知る。クレズニックはすぐさまローランたちの組織の基地を襲い、ヘロインを奪い、さらに薬剤師(フェルプス)を拉致する。クレズニックはフェルプスに自分の麻薬も浴用香料に偽装するように命じるが、フェルプスは隠し持っていた機械でヘロインを吸い取り、偽ヘロインと入れ替えてしまう。

 バーニーはクレズニックの屋敷の金庫の底に穴を開け、地下室から中身が取り出せるようにする。またローランは声帯模写でクレズニックのふりをして、ウォルターに何か指示を与える。

 やがて、クレズニックはヘロイン(のつもりの偽物)をバイヤーに売りさばき、代金を金庫にしまう。そこにローランたちが乗り込んできて、今購入したヘロインは偽物だと告発する。バイヤーが調べてみると、ヘロインのはずが粉ミルクだったので怒り狂い、クレズニックに返金を要求する。慌ててクレズニックが金庫を開けるが金庫は空っぽで、地下室には金を持ち出そうとするウォルターがいた。すぐさまウォルターはバイヤーに撃ち殺される。

 バイヤーたちは、ヘロインは偽物で、その上死んだはずのウォルターが生きていて金を持ち逃げしようとしていたため、クレズニックが自分たちをだまそうとした、と、取りかこんで責め立てる。最後、IMFメンバーが屋敷から逃げ出そうとしていると、屋敷内からは銃声が聞こえる。


監督: リー・H・カッツィン
脚本: バーニー・スレイター


感想

 評価は◎。

 この回からシーズン2に突入するが、いきなりの傑作回で興奮してしまった。まさに、「これぞスパイ大作戦」と言いたくなる好エピソードだった。


 今回からIMFのリーダーとして、あまりにも有名な、ジム・フェルプス(ピーター・グレイブス)が登場する。21世紀の視聴者とすれば「ようやく登場してくれた」というところだが、リアルタイムで視聴していた人たちからすると、先代リーダーのダン・ブリッグスはどうなったのか、このフェルプスはどこから出てきたのか、と首をかしげたのではないだろうか。

 今回のエピソードでは、シリーズ初回からIMFの大掛かりな芝居が展開され、実に見ごたえがあった。各人が未亡人、麻薬密売組織のメンバー、薬剤師、に扮して、それぞれの役割をこなして、ターゲットのクレズニックを嵌めていくのだが、展開が先が読めず、IMFの企みがなかなか見えなくてもどかしく、同時にワクワクさせられた。そして最終盤、全てのピースが合わさってIMFの計画が見えた時は快哉を叫びたくなった。まさに、こんな話が見たかった、という展開で大満足である。

 ちなみに、「強欲の代償」というサブタイトルはBSジャパン独自の命名で、元々は「未亡人は二度生まれる」というものだった。このサブタイトルは、「冒頭、シナモンがウォルターの未亡人と名乗る」「最後、本当にウォルターが死に、シナモンは本物の『未亡人』となる」という事を表していて、実にしゃれた命名をしたものだと感心させられた。

 ところで、序盤、IMFはホテルのエレベーターに仕掛けをしておいて、それに乗ったウォルターに「エレベーターが故障して落下している」と思い込ませるシーンがある。実際は階と階の途中で止まっているだけなのだが、バーニーの操作で「ガタガタ揺れる」「落下音がする」「階数ランプがどんどん下に下がっていく」という仕掛けが働き、ウォルターを見事にだますのである。しかし現実には落下したら、例のふわっと浮き上がる感覚が襲ってくるはずなので、結構簡単に偽装がバレるのではないだろうか。面白い話だったのだが、ここの描写だけはちょっと気になってしまった。

 あと、指令の中でウォルターは「ナンバー銀行の支配人」と紹介されるが、ナンバー銀行とは何だろうか? 日本になら「ナンバー銀行」という物はかつて存在していたのだが……


一言メモ

 オープニング曲がシーズン1と何か変わったと思っていたが、聞き比べてみてようやく違いが判明。シーズン1は曲のラストで「銃の連射音、続いて爆発音」が効果音として入っているが、シーズン2ではそれが無くなっている。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で小高い場所にある建物の側に乗り付け、有料の望遠鏡にコインを入れる。さらにキーで望遠鏡の横の扉を開け、収納されていたオープンリールテープレコーダーのスイッチを入れつつ、望遠鏡をのぞく。すると指令を録音したテープの再生に合わせて、望遠鏡内にターゲットの顔写真が映し出される。最後「なおこの録音は自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。これは、アレックス・クレズニックといって世界屈指のヘロイン密売業者である。クレズニックは小アジア諸国のヘロインの全生産量を買い占め、これをフランスのマルセイユに密輸して大手筋のバイヤーに卸すという、彼としては最大の取引を近く行う予定であり、このため資金面を助ける人物を仲間に入れた。名前をマーク・ウォルターといい、マイアミのあるナンバー銀行の支配人である。

 そこで君の使命だが、このヘロインの取引をくい止め、クレズニックとウォルターの二人を再起不能にすることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動的に消滅する。成功を祈る。


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