感想:科学番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」第14回『ビタミン×戦争×森鴎外』

脚気の歴史―ビタミンの発見

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 http://www4.nhk.or.jp/P3442/
放送 NHK BSプレミアム(毎月最終木曜日 22:00~23:00 放送)。

【※以下ネタバレ】
 
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「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 

第14回 『Case14 ビタミン×戦争×森鴎外』 (2017年6月29日(木)放送)

 

内容

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿「ビタミン×戦争×森鴎外


科学史に埋もれた闇の事件簿。今回取り上げるのは、ビタミン発見にいたる知られざる物語。生命を維持するために不可欠な栄養素「ビタミン」。20世紀初頭まで未知の存在だったビタミンに、日本の科学者たちが世界に先駆けて肉薄していた! きっかけは、当時、結核と並んで恐れられていた原因不明の国民病「かっけ」。中でも苦しめられていたのが軍隊だ。ところが陸軍軍医だった森林太郎森鴎外)ら科学界のエリートたちが…。

●恐怖の国民病「脚気

 明治日本では「脚気」が結核と並ぶ国民病で、年間三万人が死亡していた。特に軍隊では脚気の被害が深刻で、兵士の半分が脚気にかかっていた。脚気の原因はビタミンB1の不足だが、当時ビタミンという概念は知られておらず、原因不明の謎の病気だった。

 当時の東大医学部では、ドイツ人ベルツの唱えた「脚気は細菌が原因」という説が信じられていた。もっともベルツは根拠もなく、適当に思い付きで主張していただけだった。1880年代頃は細菌学が急発展している時期で、今まで発生原因が不明だったコレラ他の病気の原因が最近であることが次々と明らかになっていた。つまり未知の病気の原因は全て細菌、というノリである。


●海軍の対策

 海軍の医学者・高木兼寛(たかぎ・かねひろ)は、「疫学」の方面から脚気について研究した。疫学とは、病気の発生分布などを調べて対策を考える学問である。高木は、最終的に脚気の原因は栄養の偏りにあると考え、ある船の航海中の食事を西洋風のパンと肉だけにした。すると脚気は全く発生しなかった。高木は食事を兵士たちが食べやすい麦飯に変えたが、以後海軍では脚気にかかる兵士はほぼいなくなった。


●超エリート森林太郎

 文豪森鴎外として知られる森林太郎は、幼いころから神童で、そのまま成長して超エリートとして陸軍に入った。そしてドイツに医学留学して最先端の学問を身につけて帰国した。彼は海軍の「脚気は栄養の偏り」という説を否定するため、比較試験をして白米でも十分栄養が取れるとした。そして高木兼寛を徹底攻撃した。

森は白米を食べていれば副食などは不要と主張した。日清戦争(1894~1895)では、陸軍は戦死450人に対し、脚気で死亡したのは4000人だった。

 このため、海軍と陸軍の間で脚気について論争がおこり、海軍は「陸軍も麦飯にすれば脚気が無くなる」と主張したが、陸軍は「原理も解らないのに麦飯にするとかありえない」と反論した。

 陸軍兵士からも麦飯を求める声が上がったが、軍の大物だった森はそれを黙殺。日露戦争(1904~1905)では25万人が脚気にかかり、27,000人が死亡した。あまりの惨状に国民から非難の声が上がり、陸軍の軍医のトップは辞職したが、その後継者となったのは森だった。


●米ぬかの中の未知の栄養

 1908年、コッホが来日し、森に東南アジア・オランダ領ジャカルタ脚気によく似た病気「ベリベリ」が流行っていることを教えた。森たちは調査に人を送るが、既にオランダ人医師が病気を鎮圧していた。医師たちは高木兼寛の研究を発展させ、患者に玄米を食べさせて回復させていた。そして白米になく玄米にある米ぬかに未知の栄養があると考えた。しかし、この結果は「脚気最近原因説」を取る東大の医学者たちに無視された。


オリザニンの発見、しかし……

 農学者・鈴木梅太郎は米ぬかの中から未知の栄養素を取り出すことに成功し、「オリザニン」と名付けた。オリザとはラテン語で米のこと。しかし、東大の医学者たちは畑違いの鈴木の研究を嘲笑しただけだった。鈴木は1912年に自分の研究を論文にして発表するが、既に1911年にフンクが脚気の原因は米ぬかの中の未知物質の不足だと発表しており、フンクはそれを「生命」を意味するラテン語・バイタルから「ビタミン」と命名していた。


●森、死す

 森は1922年に60歳で死亡したが、最後まで脚気の原因は細菌だと考えていた。1924年、日本医学界は脚気がビタミンの不足による病気だと発表した。


感想

 はい、来ました、「歴史上の有名人が裏ではロクでもないことをしていた」話。こういう黒い歴史を引っ張り出してくるのはこの番組の得意技ですが、今回は森鴎外こと森林太郎の罪状を徹底攻撃しておりました。いや文豪も本職では色々やらかしてくれていたんですなぁ。
 

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「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 
 
ビタミンってなに? (科学発見シリーズ 6)