感想:アニメ「宝石の国」第12話(最終回)「新しい仕事」

鏡面の波(アニメ盤)TVアニメ『宝石の国』オープニングテーマ

TVアニメ『宝石の国』公式サイト http://land-of-the-lustrous.com/
放送 BS11。全12話。

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) 新しい仕事 (2017年12月23日(土)放送)

 

あらすじ

 フォスは200余年ぶりに目覚めたパパラチアを相談があると連れ出し、月人と話したいと打ち明ける。パパラチアは慎重に事を運ぶようにとアドバイスすると、また倒れて眠りについてしまった。

 やがてフォスは久々の月人の攻撃に遭遇し、月人の一人を捕え会話を試みるが、そこに助っ人に駆け付けたシンシャが月人を全滅させてしまった。

 夜、フォスはシンシャを訪問し、以前シンシャに約束した「新しい仕事」を提案する。それは、フォスと共に金剛先生と月人の関係を調べるという物だった。フォスは全てを疑い出すとキリがなく、自分に自信が持てないため、冷静なシンシャに側で審判してほしいと頼む。シンシャはフォスの決意が足りないと指摘して提案を拒絶するが、フォスは再訪を約束して去る。

 最後、フォスが金剛先生に呼び出されるシーンで〆。


■脚本:ふでやすかずゆき
■絵コンテ/演出:京極尚彦
■CGディレクター:茂木邦夫


感想

 話にどう決着を付けるのか着地点がまるで見えなかったのですが、なるほど、完璧に忘れていた「シンシャの仕事を見つける」というあの約束を果たして〆ときましたか。

 謎は全部積み残したまま終わってしまいましたが、序盤に提示したシンシャとの関係構築について、一応けりを付けたので、まあそれなりの満足度ではありました。

 これは数年後でも良いから続編が見たいですよねぇ。
 
 

総括

 評価は○(まずまず面白かった)。

 原作を一切知らず、全くノーマークで見始めた作品でしたが、結果的にはこの秋クールのトップクラスの当たりアニメとなりました。大満足ですよ。



 遥か未来の地球。周囲を海に囲まれた孤島には生きた「宝石」たちが暮らし、「学校」で共同生活を送っていた。宝石たちは月から飛来する正体不明の存在「月人」につけ狙われており、定期的に襲来する月人たちと激しい戦いを繰り広げていた。

 宝石の一人「フォスフォフィライト(フォス)」は、硬度が低く戦闘に向かず、他の仕事をやらせてもどれも適性が無いにも関わらず、口だけは一丁前。宝石たちの指導者「金剛先生」は、そんなフォスに博物誌を編纂するという仕事を与えるが……



 まあ、この作品は厳しい事を言えば「雰囲気アニメ」でしたよね。作品世界についての詳しい説明はなく、明確などこかに向かって話が進んでいくわけでもなく、たたひたすら「宝石」という設定のキャラクターたちと、謎の敵「月人」の戦いが描かれるのみでしたし。宝石たちというキャラクターからしてよく解らないし、敵の月人に至っては何ひとつ説明なしだし。

 という事で、普通ならついていけない駄目作品になるはずなのですが、このアニメについては、その「雰囲気」が最高というか、妙に引き付けて離さないものが有りました。人間そっくりなものの、実のところ鉱物なので手足がちぎれようと全身が破壊されようと平気という宝石たちの設定がなんだか異質すぎて、目が離せない感じでしたし、何を考えているのか全く分からずただひたすら宝石たちになぎ倒されるだけの月人たちも、これはこれで謎めいて面白い。

 またキャラクターの魅力だけでもなかなかの見ごたえで、宝石たちは性別は無いことになっていますが、アニメではほぼ女性扱いとなっていたため、ここ5年間のあいだに「売れている」と認識した女性声優たちを総動員したようなキャスティングで耳に豪華すぎて素晴らしかった。

 また宝石たちの指導者・金剛先生(中田譲治)も、月人をフィンガースナップ一発で消し飛ばす豪のキャラクターでありながら、その反面、瞑想という名目で昼寝するなど妙にお茶目なところがあったりするのも楽しかった。

 さらに特筆すべきはビジュアル面で、セルルックのフルCGアニメのため、宝石たちの肉体の透明感を絶妙な雰囲気で表現していましたし、またとんでもない動きのアクションシーンなどが何度も披露され、感心することしきりでした。

 原作が絶賛連載中のためか、アニメは実に中途半端なところで終わることになってしまいましたが、それでも一応のそれらしい区切りはつけていたので不満という程でもなかったし。

 という事で、なかなかに満足できた作品でありました。願わくば、4~5年後でも良いのでどうか続編を見せてほしいものです。
 
 

宝石の国

今から遠い未来、
僕らは「宝石」になった


講談社アフタヌーン」で連載中、市川春子原作、累計発行部数140万部突破の人気コミック「宝石の国」。


今から遠い未来、かつて存在した生物が、不死の身体をもつ「宝石」になった世界で、月から飛来する謎の敵“月人”と宝石たちとの激しい戦いを描く、強くてもろくて美しいアクションファンタジーコミック。 連載当初より、その独創的な世界観と、個性的で美しい宝石たちの魅力、そして謎に包まれた物語が人気を博し、注目を受けている。


そしてついに本作待望のTVアニメ化が決定!!2017年10月7日よりTOKYO MX,MBS,BS11,AT-Xにて放送がスタート!!


TVアニメシリーズのメインスタッフは監督に京極尚彦(『ラブライブ!』『GATE自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 』)、シリーズ構成に大野敏哉(『青の祓魔師 京都不浄王篇』)、そしてキャラクターデザインに西田亜沙子(『ラブライブ!』)ら豪華スタッフが参加!また、アニメーション制作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』や『劇場版 マクロスF』のCGパートを手掛けたオレンジが担当。美しい宝石たちの煌きや、月人との独創的でダイナミックなバトルアクションシーンなど、3DCGで眩い世界観を表現する!




これは、成長の物語
宝石たちの中で最年少のフォスフォフィライトは、硬度三半とひときわ脆く、靭性も弱くて戦闘に向かない。また、他の仕事の適性もない。そのくせ口だけは一丁前という、まさに正真正銘の落ちこぼれだった。そんなフォスに、三百歳を目前にしてやっと初めての仕事が与えられる。それは、博物誌編纂という仕事。地味な仕事に不満なフォスだったが、彼はその目で世界を見、様々なことを経験する中で、しだいに大きなうねりに飲み込まれてゆく。そしてついに、彼は望まぬかたちで、欲しかった“強さ”を手にするのだが──。


これは、友情の物語
フォス以上の特異体質をもつのが、シンシャ。ただそこにいるだけで体から毒液を撒き散らしてしまうシンシャは、周りに迷惑を掛けまいと、独り夜に引きこもり心を閉ざしていた。ある日、月人に攫われそうになったところをシンシャに助けられたフォスは、「次は自分が君を救ってみせる」と約束する。博物誌の編纂に奔走しながら、シンシャが明るい世界に出てこられるよう、彼向けの仕事を探そうとするフォス。果たしてフォスの想いはシンシャに届くのか? そして、二人の約束が果たされる日は来るのか──?


これは、戦いの物語
月から飛来する謎の敵“月人”。彼らは宝石たちを装飾品にしようと、特に美しい宝石を好み、一人また一人と宝石を攫っていくが、その正体は不明。しかも攫われた宝石は加工されて武器となり、宝石たちを苦しめる。さらに月人はどんどん改良され、強力になってゆく。次々と現れる月人に、二十八体の宝石たちは勝利することができるのか? 彼らの真の目的とは何なのか? この終わりのない戦いに、終止符は打たれるのか?


制作会社
オレンジ


スタッフ情報
【原作】市川春子講談社アフタヌーン』連載)
【監督】京極尚彦
【シリーズ構成】大野敏哉
【キャラクターデザイン】西田亜沙子
【CGチーフディレクター】井野元英二
【コンセプトアート】西川洋一
色彩設計】三笠修
【撮影監督】藤田賢治
【編集】今井大介
【音楽】藤澤慶昌
【音響監督】長崎行男



音楽
【主題歌】YURiKA「鏡面の波」


キャスト
フォスフォフィライト(フォス):黒沢ともよ
シンシャ:小松未可子
ダイヤモンド(ダイヤ):茅野愛衣
ボルツ:佐倉綾音
モルガナイト:田村睦心
ゴーシェナイト:早見沙織
ルチル:内山夕実
ジェード:高垣彩陽
レッドベリル:内田真礼
アメシスト伊藤かな恵
ベニトアイト:小澤亜李
ネプチュナイト:種﨑敦美
ジルコン:茜屋日海夏
オブシディアン:広橋涼
イエローダイヤモンド:皆川純子
ユークレース:能登麻美子
アレキサンドライト:釘宮理恵
ウォーターメロントルマリン原田彩楓
ヘミモルファイト:上田麗奈
スフェン:生天目仁美
ペリドット桑島法子
金剛先生:中田譲治

 
 
CGWORLD (シージーワールド) 2017年 11月号 vol.231 (特集:UnityとUE4、ノンゲームにおける活用動向、TVアニメ『宝石の国』)
宝石の国(1) (アフタヌーンKC)