コズミックフロント☆NEXT http://www4.nhk.or.jp/cosmic/
放送 NHK BSプレミアム(毎週木曜 22:00～23:00)。
【※以下ネタバレ】
天狼星 シリウスのミステリー (2018年2月8日(木)放送)
今回の内容
http://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2018-02-08/10/21385/2120207/
2月8日木曜
コズミック フロント☆NEXT「天狼星 シリウスのミステリー」
オリオン座の近くで青白く輝く“シリウス”。実は多くの謎に包まれた星だ。最大の謎が「赤いシリウス」。２千年ほど前の記録では、なんと赤いと記されている。謎に迫る！
オリオン座の近くで青白く輝く「冬の大三角形」の１つ“シリウス”。実はシリウスは多くの謎に包まれた星だ。１９世紀にはシリウスが謎の蛇行をしていることが判明。暗くて謎めいた星「シリウスＢ」が見つかり、一般相対性理論の正しさが実証された。そして最大の謎が「赤いシリウス」。古代ローマなど２千年ほど前の記録では、シリウスはなんと「赤い」と記されているのだ。一体何が起こったのか？シリウスの謎に迫る！
【語り】永作博美，
●シリウス
シリウスはオリオン座の近くに輝く一等星で、とても目立つので古代から知られていた。しかしその割に謎の多い星でもある。
●揺れ動くシリウス
19世紀のドイツの天文学者フリードリッヒ・ベッセルは、シリウスが一万分の一度単位という極めて小さな角度で、50年単位で東西に揺れ動いていることを発見した。そしてベッセルは、シリウスは実は双子星で、目に見えない星がそばに有り、互いに重力を及ぼし合ってこのような動きをしていると予測した。
その後の観測で、ベッセルの考えた通り、シリウスの側に小さな星がもう一つ見つかり、今までシリウスと呼んでいた方は「シリウスA」、新しく見つかった方を「シリウスB」と呼ぶことにした。シリウスBはサイズは地球ほどなのに、重さは太陽並み、一立方センチ当たりの重さは1トン以上というとてつもない重さだった。
その後の研究で、シリウスBは、白色矮星（はくしょくわいせい）と呼ばれる特殊な天体だと解った。白色矮星は恒星が寿命を終えた後の燃えかすの星だったのである。
古代エジプト人はシリウスを暦として利用した。シリウスは季節によって見える方角が違い、5-6月には見えなくなる。そして7月になると再び見えるようになり、この日が一年の始まりとされた。7月はナイルの氾濫がおきる時期で、ナイルの氾濫は大地を潤す重要なイベントのため、古代エジプト人はシリウスを特別視し、シリウスの動きで暦を作った。
●赤いシリウスの謎
シリウスは青白く輝く星である。ところが、3000年前の古代メソポタミアや、2000年前の古代ローマの記録では、「シリウスは赤い」と書かれている。たかが数千年で星の色が変わるはずがないので、これは謎である。
これを説明する説の一つがガス雲説。地球とシリウスの間にガス雲が通りかかり、そのために光が赤く見えたのでは？という考えである。ところがそのようなガス雲は見つからなかった。
そこで、実はシリウスは双子星ではなく三つ子星で、三番目の「シリウスC」が数千年前にシリウスAに接近してガスを噴き出し、そのためにシリウスAが赤く見えたのでは、というアイデアが提示されている。しかしシリウスCは今のところ見つかっていない。
●ドゴン族の謎
1930年代、フランスの人類学者マルセル・グリオールは、西アフリカにすむドゴン族を訪ね、彼らの宇宙創成神話で「宇宙の中心の重い星ポ・トロの側に明るい星シギを作った」と伝えられていると知ったと言う。そしてシギとはシリウスのことだった。つまり見えるはずの無いシリウスBの事を知っていたことになる。
グリオールのでっち上げ？ 宇宙人がドゴン族に伝えた？ 肉眼でシリウスBが見えた？ 未だ真相は明らかではない。
●赤いシリウスの謎 其の二
シリウスが赤いことについて別の説もある。シリウスBがその昔は赤く輝いていたという考え。白色矮星になる前にシリウスBは「赤色巨星」という巨大で赤い星だったので、昔の人はそれを見たというのである。問題は赤色巨星から白色矮星への変化が千年単位という短い時間では起きないこと。
ところがそれに対する反証が1996年に発見された。燃え尽きたはずの白色矮星が、燃え残りのヘリウムを輝かせて再度明るくなる「ファイナル・ヘリウム・フラッシュ」が確認されたのである。これでシリウスBが数千年前に明るくなった可能性も出てきたのである。
