感想：小説「失われた深海都市に迫れ(上・下)」(NUMAファイル5作目)（クライブ・カッスラー＆ポール・ケンプレコス）

　小説「失われた深海都市に迫れ(上・下)」（クライブ・カッスラー＆ポール・ケンプレコス）の感想です。

-------------------------------------------------

■データ（公式）
http://www.amazon.co.jp/dp/410217043X/
失われた深海都市に迫れ〈上〉 (新潮文庫) [文庫]
クライブカッスラー (著), ポールケンプレコス (著), Clive Cussler (原著), Paul Kemprecos (原著), 土屋晃 (翻訳)
文庫: 313ページ
出版社: 新潮社 (2010/7/28)
ISBN-10: 410217043X
ISBN-13: 978-4102170434

http://www.amazon.co.jp/dp/4102170448/
失われた深海都市に迫れ〈下〉 (新潮文庫) [文庫]
クライブカッスラー (著), ポールケンプレコス (著), Clive Cussler (原著), Paul Kemprecos (原著), 土屋晃 (翻訳)
文庫: 319ページ
出版社: 新潮社 (2010/7/28)
ISBN-10: 4102170448
ISBN-13: 978-4102170441

-------------------------------------------------
■データ（個人的補足）

　「ダーク・ピット・シリーズ」からの派生作品「NUMA(ヌーマ)ファイル」シリーズ5作目。前作から4年ぶりの新刊。

-------------------------------------------------
■あらすじ

　アルプスの氷河で約100年前の飛行士の死体が発見された。その素性を調べようとした研究者達は謎の男に襲撃され危機に陥る｡偶然近くの氷河湖で調査の最中だったカート・オースチンは生存者の救助に向かうが・・・、一方、大西洋では、周辺の生物を全て死に至らしめる新種の海草が爆発的な勢いで増殖していた・・・

-------------------------------------------------
■感想

　NUMAシリーズ5作目で、前作から4年ぶりの新刊です｡本国では一年毎に発売されているらしいのですが、日本では何か事情が有ったらしく随分空いてしまいました。

　さて、内容ですが、実にノリの良いアクション物。場面をサクサク切り替えつつテンポ良く進むので、このまま映画のシナリオに出来そうな感じです｡

　罪も無い研究者がいきなり謎の悪漢によって酷い目に合わされ、たまたま近くにいたカートが救出に駆けつける、というシリーズのいつもの展開で幕が上がり、フランスの武器商人一族とカート＆相棒”ジョー”・ザバーラが対決し、カーアクションとか銃撃戦とかを色々取り混ぜて、最後は悪漢を倒してめでたしめでたし、という勧善懲悪の実にライトな内容です。肩が凝らずにすいすい読めます｡

　相変わらず人物描写とか展開とかはお手軽で淡白。本家の「ダーク・ピット・シリーズ」の場合、悪漢は徹底的に悪辣な人物として描かれ、主人公たちは死ぬ一歩手前まで酷い目に合わされ、最後に主人公達が大逆転で悪党を徹底的に酷くやっつける、という事でカタルシスを得ますが、こっちは悪党の描写は通り一遍、ピンチもあまりたいした事は無く、軽い調子で展開します｡ダーク・ピット・シリーズが大人向けなら、こちらはジュブナイルみたいな感じですかね｡しかし、ノリのよさは絶妙で、「時間を忘れて読みふける」という言葉がぴったりです。

　本家のダーク・ピット・シリーズが全盛期の重厚さを失って、ただのスカスカ小説と化してしまったため、同シリーズの劣化コピーの様な立場で始まった本「NUMAファイル」シリーズが、本家より面白い、という逆転現象が起きてしまいました。今後はこっちのシリーズの方に期待したほうが良いかなぁ。とにかく、ハリウッド風アクション映画の感覚で楽しめます｡これオススメ。

★追記

　この小説に「失われた深海都市」というものは登場しません｡原題は「Lost City」ですが、これは深海都市とやらとは全く別のものです・・・、この明らかにウソとわかってつけているタイトルってどうよ？　小説は面白いけどさぁ〜。

-------------------------------------------------
■評価

（5段階評価の）4点。

-------------------------------------------------