【映画】感想:劇場アニメ「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza」(2015年:日本)

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TVアニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」公式HP http://www.aokihagane.com/
放送 AT-X。2018年12月16日(日)

【※以下ネタバレ】
 

父・千早翔像は生きていた――。


「霧の生徒会」会長・大戦艦ヒエイとの戦いの最中、霧の艦隊・総旗艦代理を名乗る超戦艦ムサシのメンタルモデルと共に姿を現し、世界に向けて降伏勧告を行った、父。


イ401の艦長・千早群像は、霧による海洋封鎖の「理由」を問い質すために霧の総旗艦・ヤマトを求める航路に父との再会という新たな目的を重ね、北極海へ向かう。


一方イオナは、補給に立ち寄ったウラジオストックで自らの出自を告げられる。メンタルモデルとして成長し「未来」に思いを馳せ始めたイオナを、「過去」が苦しめる――


総旗艦代理・ムサシの命を受け、イ401の北極海進出を阻まんと立ちふさがる「霧の生徒会」。大戦艦ヒエイとミョウコウ型重巡洋艦4隻が率いる大艦隊による封鎖線を突破し、ムサシと翔像の待つ北極海へ辿り着くことはできるのか?封鎖線の先に、群像とイオナを待ち受けているものは何か――

 

あらすじ

 霧の代弁者を務める千早翔像は、人類は地球にとって有害なので、霧に全面降伏して統制下にはいるべき、と勧告し、一週間の猶予を与える。

 401は『霧の生徒会』の重巡ナチ・アシガラの攻撃を受けるものの、なんとか振り切って逃走に成功した。そしてヒュウガから最後のナノマテリアルの備蓄を受け取って船体を修理すると、霧の総旗艦ヤマトとの交渉のため北極海に向けて旅立った。

 途中401は補給のためウラジオストックに寄港するが、街でイオナは超戦艦ムサシのメンタルモデルと遭遇する。ムサシはイオナに自らの過去を見せ、イオナはそれまで知らなかった自分の出自を知る。

 過去、千早翔像は霧とのコンタクトを求め、ヤマトとムサシはその目的のため、少女の形をした「メンタルモデル」を作り出した。翔像とヤマト・ムサシは友好的な関係を築き、やがてヤマト・ムサシは翔像を「父」と慕うようになった。

 しかし、その後、翔像は自分の部下たちに殺されてしまい、これをきっかけにムサシは人類を見限り、あくまで人類との友好関係を求めるヤマトを撃沈してしまった。今いる翔像は、ムサシがナノマテリアルから作り上げた人形に過ぎなかった。そしてイオナは撃沈されたヤマトの一種のバックアップ的な存在だった。

 ムサシはイオナの中のヤマトを挑発して姿を消した。イオナは自分がヤマトの影に過ぎない事にショックを受け、能力をフルに発揮できなくなる。

 「霧の生徒会」は、401のベーリング海峡を突破を防ぐため、万全の準備をして待ち構えていた。性能をフルに出せない401は、その警戒網に発見され包囲される。しかしそこに、タカオ、ハルナ、さらに失踪していたコンゴウまでが応援に現れ、401を援護する。イオナコンゴウの言葉に自信を取り戻し、性能をフルに発揮できるようになった401は北極海へと突入した。

 そして401は北極海で、海底に沈むヤマトの残骸を発見するが、直後にムサシの猛攻撃を受ける。イオナはここでメンタルモデル・ヤマトと融合した存在となり、同時に401もまたヤマトの残骸からナノマテリアルを取り込み、超戦艦の姿となって激闘の末ムサシを破壊した。

 イオナは総旗艦の名のもとに、霧の全艦艇に、作戦行動の中止、そして今後は各艦が自由意志で生きること、を命じて、群像の目の前で消滅した。

 ラスト。群像が日本に帰って母親の墓参りをしていると、ウラジオストックイオナにプレゼントしたブローチが有ることに気が付き、画面のこちらに「おかえり」というシーンで〆。

感想

 評価は○。

 2013年10月~12月に放送されたTVアニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」の劇場版二部作の後編。評価はまあまあ。

 前編「DC」は、前半部はテレビアニメのダイジェストになっており、それがもう凄い早回し構成だったため、、見ていて精神的に疲弊してしまい、結果として評価は辛かったのですが……

 後編のこちらは余裕の有る作りで、VSナチ・アシガラ戦、ウラジオストックベーリング海峡の大海戦、北極海でのラストバトル、といったストーリーをゆったり堪能できました。

 原作漫画は流し読み程度なのですが、その中に「霧の生徒会」とか、霧の巡洋艦がそのまま海中に突っ込んでくるエピソードとか、タカオが学生のふりをして地上をうろうろする展開とか、が有ったことは覚えていたので、このアニメがどれくらい原作に寄り添っているのかわからず、途中ちょっと困惑したりしたのですが……

 まあ多分基本はオリジナル展開で、そこに原作のシーンをちょこちょこと組み込んでいるという事なんでしょうかね……?

 ベーリング海峡で大苦戦しているところに、かつての敵が続々応援に参上する展開は燃え燃えでした。かつて錯乱して挙句に401に負けてしまったコンゴウが、今度は妹のヒエイに偉そうに説教するシーンはちょっと笑った。しかしまあ、さすがゆかなの偉そうな声で言われると説得力あるわぁ(笑)

 原作漫画最初からの疑問「何故イオナは群像のいう事を聞くの?」とか「翔像は何がどうなったの?」とかの疑問に上手く答えが出ており、アニメのオリジナル展開の筈なのに、実にうまくまとまっていて感心しました。結果として、なかなかに評価できる作品でしたな。良かった良かった。
 
 

https://www.at-x.com/program/detail/10387
劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza
2018年12月16日(日)19:10~21:00



<スタッフ>
原作:Ark Performance「蒼き鋼のアルペジオ」(少年画報社/月刊「ヤングキングアワーズ」連載)
監督:岸 誠二
助監督:柿本広大
3DCGアニメーションディレクター:鈴木大介
構成:上江洲 誠
SF考証:森田 繁(スタジオぬえ
脚本:上江洲 誠、森田 繁、中村浩二郎
キャラクターデザイン:森田和明
メカデザイン:松本剛彦、足立博志、鈴木大介
美術デザイン:チーム・ティルドーン、泉 寛
美術監督:大久保錦一、福留嘉一
色彩設計:伊東さき子
撮影監督:奥村大輔
編集:廣瀬清志(eDiTz)
音響監督:飯田里樹
音響効果:奥田維城
音楽:甲田雅人
アニメーション制作:サンジゲン
製作:アルペジオ・パートナーズ
配給:ショウゲート



<キャスト>
千早群像:興津和幸
イオナ渕上舞
タカオ:沼倉愛美
ハルナ:山村響
キリシマ:内山夕実
ヒュウガ:藤田咲
コンゴウ:ゆかな
ヒエイ:M・A・O
ミョウコウ:福原綾香
ナチ:佐藤聡美
アシガラ:三森すずこ
ハグロ:五十嵐裕美
織部 僧:松本忍
橿原杏平:宮下栄治
四月一日いおり:津田美波
八月一日 静:東山奈央
刑部蒔絵:原紗友里
上陰龍二郎:置鮎龍太郎
ヤマト:中原麻衣
ムサシ:釘宮理恵
千早翔像:中田譲治


2015年劇場公開作品

 
 

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