感想:オカルト検証番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーE+(プラス)」『検証!魔のトンネル伝説2本立て!』(2020年10月5日(月)放送)

霊怪スポット 戦慄の最新ファイル (KAWADE夢文庫)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーE+(プラス) https://www.nhk.jp/p/ts/R88ZYP985X/
放送 NHK Eテレ。毎週月曜午後7:25~午後7:50(25分)

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

超常現象の謎を楽しみながら、その正体を徹底検証!
BSプレミアムで大好評を博したシリーズが、地上波・Eテレの夜に出現!
2014年に放送した総合テレビ版から名作をセレクト。最新情報などを加え再構成。
みなさんの心に引っかかっている謎と神秘と不思議の真相に迫ります!

 

検証!魔のトンネル伝説2本立て! (2020年10月5日(月)放送)

 

内容

幻解!超常ファイルE+(プラス)「検証!魔のトンネル伝説2本立て!」
[Eテレ]2020年10月5日(月) 午後7:25~午後7:50(25分)


「そのトンネルには近づくな!」…とウワサの2大心霊スポットに、実際に行って現場検証!すると出てくる驚きの真相の数々!幽霊が苦手な人も大丈夫!優しく謎に迫ります。


日本全国「心霊スポット」の代表格、トンネル。白い服の女幽霊が!走る老婆が!落ち武者が!人魂が!では、有名な2大スポットで実際に現場検証してみると…!?(1)文豪も恐れた歴史的トンネル…ノーベル文学賞作家・川端康成が幽霊話を書くほど、古くからのウワサ。ところが現代、心霊現象はどんどん過激に!そこには驚きの歴史が!(2)ネットで日本最“恐”と名高いトンネル。でも現地の人々に話を聞くと意外で悲しい真相が


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 
 心霊スポットの定番が「トンネル」。日本各地のトンネルで、落ち武者が出る、墓の下を通るトンネルを走っていると老婆が追いかけてくる、等々の怪奇現象が起きるとされる。今回はその中から二つを取り上げる。


■トンネル其の一

 神奈川県の某トンネルでは、以下のような怪談がある。

・現代バージョン
 トンネル内で車がいきなり止まる。そのあと上から血が、さらに続いて人間のバラバラの体が落ちてくる。

 実は、このトンネルには、過去に有名女性タレントが恐怖体験をしたと有名になっていた。

・昭和50年(1975年)バージョン
 某女性タレントが仲間とともに、幽霊話に興味を持って面白半分に出かけると、車の窓にいきなり手の平のあとがつき、さらに車の屋根に何かが落ちてきた。

 明らかに「現代バージョン」は、この女性タレントが体験したエピソードに尾ひれがついたものである。ところで、女性タレントが怪奇体験のためトンネルに行ったということは、既に昭和50年の時点でトンネルの幽霊の話が有った事になる。実はその幽霊話は昭和20年代には既に存在しており、文豪・川端康成がその噂を元に「無言」という小説を書いている。


・昭和20年代バージョン
 昭和28年の小説「無言」の内容。火葬場の近くのトンネルで幽霊が出ると聞き、主人公が面白半分にタクシーに乗る。すると運転手が怯えながら、後部座席の主人公の隣に女の幽霊がいると言う。


 実は自動車が登場するはるか以前から、日本人は「空の席には幽霊が座る」という考えを持っていた。例えば、お盆のお供え物・ナスとキュウリの精霊馬(しょうりょううま)は、まさしく空の馬の背にご先祖の霊が座る、という考えを示している。

 しかし昭和20年代の「車の座席に例が座る」という話と、昭和50年代の「窓に手形、上から何かが落下」では、内容がかけ離れ過ぎている。この間に何があったのか?

 この手のミステリースポットを調べている作家によれば、昭和41年にトンネルが増えたことがその理由とのこと。問題のトンネルといわれるものは、実は「一つのトンネル」ではなく、3つのトンネルが連続している。元々は、火葬場近くのトンネルともう一つのトンネルの二本だったが、昭和41年にこのトンネルの間に三本目のトンネルが作られた。

 問題のトンネルの有る道を走っていると、実際は一本目と二本目の間、二本目と三本目の間、はトンネルの外を走っている訳だが、夜間だとおそらくそれに気が付かず、ずっとトンネルの中を走っていると誤解してしまう。

 そして、例えば、一つ目のトンネルを出て二つ目のトンネルの入り口にさしかかったところで、上から泥水か油が落ちてきてフロントガラスに当たって広がったとしたら、車内の人間はずっとトンネル内を走っているつもりなので、『トンネル内でいきなり手のひらの痕が付いた』と勘違いするかもしれない。もし三つ目のトンネルの入り口が老朽化していて、そこからレンガか何かが落下して車の屋根にぶつかったとすれば、やはり「ずっとトンネルを走っているのにいきなり屋根に何かが!」と驚いてしまうだろう。

 幽霊話の真相は、おそらくこういうことだと推測される。



■トンネル其の二

 日本の心霊スポットの中でもネットで「最凶」と評判なのがA県B峠。ここについては、女の亡霊がいる、人魂を見た、等の無数のエピソードが語られている。

 この場所は元々トンネルが有ったが、昭和50年(1975年)に新しいトンネルと道が作られたため、旧道とトンネルは殆ど使用されなくなっており、取材時点ではトンネルは閉鎖され、またトンネルに続く道も門で封鎖されていて、監視カメラで厳重に見張られていた。

 地元の人に聞いてみると、心霊現象については全く知らないとのこと。ただし、そのような噂が発生するようになった原因は心当たりがあるとのことだった。昭和50年に新トンネルができ、旧トンネルが使用されなくなると、地元の人に変わって暴走族などがたむろするようになり、無責任に「人魂を見た」「女の幽霊を見た」とか噂をまき散らするようになった。

 しかし、おそらく「人魂」の正体は野生のシカ。トンネルの周囲には野生のシカがたくさん暮らしており、シカの目は光を良く反射するので、まるで人魂のように見える。また峠には「女岩」という女性の姿のような模様がある岩が存在しているが、それを幽霊と見間違えた、と思われる。

 しかし、1990年末からは、インターネットで無責任に噂が拡散され、それを見た若者が興味本位で押しかけてくるようになった。そういった若者たちは、近所の民家の窓に石を投げ、畑を荒らし、農機具を盗み、と、迷惑行為を繰り返した。そのため、たまりかねた地元住民は旧トンネルとそこに続く道を封鎖したのである。

 「最凶の心霊スポット」とは、地元の人がよそ者たちのせいで怖い思いをさせられている場所の事だったのである。


感想

 過去に放送された心霊スポットネタ二本をワンセットに組み合わせた回。心霊話の真相とはこういうものだ、という解明の過程が面白い。あと、迷惑行為はダメ!ゼッタイ!
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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HONKOWA霊障ファイル恐怖の心霊スポット特集
HONKOWA霊障ファイル恐怖の心霊スポット特集 (ASスペシャル)