【SF小説】感想「叛逆の騎士たち」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 636巻)(2021年3月3日発売)

叛逆の騎士たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-636 宇宙英雄ローダン・シリーズ 636)

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叛逆の騎士たち (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-636 宇宙英雄ローダン・シリーズ 636) 文庫 2021/3/3
クルト・マール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社 : 早川書房 (2021/3/3)
発売日 : 2021/3/3
文庫 : 254ページ

【※以下ネタバレ】
 

タウレクとヴィシュナが待ちうけていた《バ ジス》に帰還したローダンは、この宇宙の究極の謎の答えを知ることを拒否したと告げる


遂にトリイクル9の帰還が果たされ、タクヌ星系が誕生した。このミッションを完遂したローダンたちも“バジス”に帰着した。ローダンをはじめとする深淵の騎士4名はコスモクラートのタウレクとヴィシュナに、任務が終了したので深淵の騎士の地位を放棄し、コスモクラートへの奉仕を終了すると宣言した。しかし、任務の終了を認めないタウレクらは深淵の騎士たちの翻意を促すため、かれらに数々の幻覚を見せるのだった!

 

あらすじ

◇1271話 深淵のフィナーレ(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 《バジス》はフロストルービン/トリイクル9と共に、一瞬で二億光年を跳躍し、ベハイニーン銀河近傍に到着した。タウレクたちはローダンにトリイクル9の最終調整の任務を与え、深淵に送り込んだ。ローダンは、深淵で謎の存在「無の勢力スィ・キトゥ」の妨害を受けつつも任務を達成した。直後、ローダンに対して第三の究極の謎の答えが接近してくるが、ローダンは内容を知れば精神が破壊されることを察し、答えを知ることを拒絶した。(時期:不明:NGZ429年9月頃)

※初出キーワード=スィ・キトゥ、恒星タクヌ


◇1272話 叛逆の騎士たち(クルト・マール)(訳者:嶋田 洋一)

 深淵を脱した15万の島々は、時空エンジニアの作った人工恒星の周囲に安定した。タウレクたちはローダンが第三の究極の謎の答えを持ち帰らなかったことを責めるが、逆にローダンやアトランたちはコスモクラートが深淵の地の住人の命を顧みなかったことを非難し、両者は対立する。タウレクはローダンたちの精神を攻撃し従属を迫ると同時に、《バジス》を加速させ三週間で故郷銀河へと帰還させた。最終的にタウレクは、深淵の騎士たちは、コスモクラートに従わない限り、“それ”の力の集合体で意識が麻痺するという措置を取る。ローダンは宇宙の彼方からの謎の声を頼り、友人たちと共に最後のヴィールス船で地球を離れる決心をした。(時期:~NGZ429年12月24日)

※初出キーワード=無し


あとがきにかえて

・新型コロナのせいで「ガタコン」で利用していた旅館がつぶれてしまった話。
・新型コロナのmRNAワクチンの話


感想

 前半エピソード … 原タイトル:FINALE IN DER TIEFE(意訳:深淵のフィナーレ)

 ローダンがアトランたちと再会して、トリイクル9も本来の位置に復帰する話。話の概要だけ見るとクライマックスなのですが、大半がローダンが深淵でうろうろして、謎の相手に翻弄されて死にかける、みたいな内容で、退屈で寝落ちしそうでした……、ここにきてそれはないのでは……、ちなみに無限アルマダサイクル以来ご無沙汰だったアンブッシュ・サトーが再登場します。

 終盤の、「第三の究極の謎の答え」が大波のように迫ってくる、という描写を見て、ローダン・シリーズも随分ファンタジー寄りになったものだ、としみじみしました。第三勢力の頃は遠くなったよね……

 今回唐突に、コスモクラート・カオタークに匹敵する存在として「無の勢力/熱力学第二法則の守護者スィ・キトゥ」が登場して、ローダンにちょっかいを出します。熱力学第二法則は色々難しいのですが、要するにエントロピーの事を言っているらしい。世の中は秩序から混沌に向かう、という理解で間違っていないと思いますが、そういう自然な流れを守る秩序でも混沌でもない勢力、という理解で良いのでしょうか。


 後半エピソード … 原タイトル:REVOLTE DER RITTER(意訳:騎士の反乱)

 1000話から始まった大きなストーリーの事実上の最終回。深淵の騎士、フロストルービン/トリイクル9、無限アルマダ、深淵、といった設定に一斉に区切りがつく展開で、サイクルの最終回並みの総決算回でしたが、それがこういう後味の悪い〆かたとなるとは……、うーん。この時点でフォルツが健在だったら、1000話以降の展開にどういう風に幕を下ろしたのかと考えずにはいられません。

 P149~151のあたりで、深淵の地でアトランたちと共に活躍したキャラがずらーっと登場するのですが、アバカー種族のボンシンが出てこなくて、どうやら完全に忘れられていたらしいのに苦笑い(笑)
 
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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