【SF小説】感想「ハイブリッド植物強奪」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 665巻)(2022年5月24日発売)

ハイブリッド植物強奪 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-665)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150123667
ハイブリッド植物強奪 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-665) 文庫 2022/5/24
エルンスト・ヴルチェク (著), K・H・シェール (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2022/5/24)
発売日:2022/5/24
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

アラスカは行方不明になったプシオン共生体のテスタレを捜すが、ダントンとテケナーの妻の探索を優先するようメッセージを受ける


アラスカ・シェーデレーアがタルサモン湖底の保養所に帰ると、そこにプシオン共生体のテスタレはいなかった。必死にその行方を捜すが、手がかりは“タルサモン”に残されていた「ロワとロンの妻たちの救出を最優先してほしい」というメッセージだけ。アラスカは、ライニシュに囚われているロワとロンの妻―“エスタルトゥの両性予知者”となったハイブリッドを盗みだすため、五段階の衆の本拠地タロズへと向かうが…。

 

あらすじ

◇1329話 ハイブリッド植物強奪(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田 洋一)

 アラスカのプシオン共生体テスタレは、新たな生き方を求め旅立った。ネットウォーカーの組織内では、戦争崇拝打倒を目指すローダンたちと、ドリフェル保護を第一に考えるクエリオン種族との考えの違いが表面化していた。アラスカは五段階の衆の長ライニシュの元から、デメテルやジェニファー・ティロンを取り込んでいるハイブリッド植物の奪取に成功した。ライニシュは、ロワやテケナーが担当する生命ゲームを失敗させようと策略をめぐらすが、それは却ってロワたちを利する行動となっていた。(時期:NGZ446年3月頃~6月30日~)

※初出キーワード=エメット星系



◇1330話 忘却からの脱出(K・H・シェール)(訳者:嶋田 洋一)

 ローダンたちは巨大宇宙船「丸太」内のラトバー・トスタンたちに対し連絡を付けるため、爆弾の爆発を使ったUSOの発光信号を送信した。さらにワリンジャーは丸太内に無人ゾンデを送り込み、直接トスタンたちに状況を説明した。トスタンたちは丸太内に格納されていた《ツナミ32》に乗り込み、丸太からの脱出に成功した。(時期:NGZ446年6月3日~)

※初出キーワード=プロジェクト調整者。トラアヴ種族。


あとがきにかえて

 元編集者で翻訳も担当されていた五十嵐洋氏が亡くなったという話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:DER RAUB DER HYBRIDE(意訳:ハイブリッド強奪)

 一体何があったのか? とビックリするくらいの密度。

・アラスカがハイブリッド植物を強奪
・ライニシュが生命ゲームに対して裏工作

という本筋以外に

・ローダンたちとクエリオン種族がネットウォーカー組織の活動方針で対立
・テスタレが失踪し、(何故か)エルンスト・エラートと合流
・ジェン・サリクがノルガン・テュア銀河に出発
・イホ・トロトが数か月前からM-87へ遠征中との記述
・ワリンジャーが丸太の調査をしているという記述
・グッキーがカルタン人の調査中

 と、今まで個別にちまちま進めていた全ての要素に対してまとめて一気に進展させてきました。いやホントにこの展開はどうしたことなんでしょうか? さすがにサイクルが半分終わったのに目に見える進捗が無いことに気が付いて、尺が足りなくなりそうなことに焦りだしたのでしょうか?



・後半エピソード 原タイトル:FLUCHT AUS DEM VERGESSEN(意訳:忘却からの脱出)

 古参作家シェールの担当作品ということで、トスタンはやたらと銃をぶっ放し、(懐かしい)トランスフォーム砲の弾頭は爆発し、今は亡きUSOの信号は登場し、と、このエピソードだけ「ん? 今は25世紀の太陽系帝国時代で銀河系で作戦を行っているのだっけ?」とかうっかり思い違いをしそうな、なんとも懐かしい雰囲気になっております。昔のローダン・シリーズはこうだったよね~。

 あと、思わせぶりな「プロジェクト調整者」なる存在が登場。そうそう、こんな風の「島の王たち」とか「中枢部の設計者たち」とかの謎の存在こそローダン・シリーズの醍醐味と申せましょう。
 
 
 

650巻~675巻(「ネットウォーカー」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com

ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

perry-r.hatenablog.com