【ドラマ】感想:NHK番組「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」『箱舟はいっぱい』(2023年6月4日(日)放送)

藤子・F・不二雄SF短編ドラマ

藤子・F・不二雄SF短編ドラマ NHK https://www.nhk.jp/p/fujiko-sf/ts/N93R8JJ329/
放送 NHK BSプレミアム

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

国民的漫画「ドラえもん」の生みの親 藤子・F・不二雄が描いた刺激的でシュールなSF短編漫画を実写化!

 

「箱舟はいっぱい」(2023年6月4日(日)放送)

  

あらすじ

箱舟はいっぱい
https://www.nhk.jp/p/fujiko-sf/ts/N93R8JJ329/episode/te/V9W36X3KWQ/
初回放送日: 2023年6月4日


大山(永山絢斗)は隣人の細川(袴田吉彦)から破格の値段で新築の一軒家を譲ってもらえることになり舞い上がるが、妻(さとうほなみ)はいぶかしがる。突然ノア機構を名乗る男(古田新太)がやってきて、ロケットが完成間近なので約束の金を支払ってくれと要求する。さらにある友人によって彗(すい)星衝突の危機から人類を密かに救出する計画があると告げられ、大山の中である疑念が頭をもたげることに。彗星衝突は本当なのか?

 
 平凡な勤め人の大山は、ある日、向かいに住む細川から合計で数千万はする家と土地を僅か500万円で売りたいと持ち掛けられ、念願のマイホームを持てると大喜びする。

 直後、家に「ノア機構」から来たという男が現れ、ロケットに乗るための代金500万円を支払えとまくしたてられる。大山と妻は意味が解らず困惑するが、男は細川の家と間違って訪問したことに気が付き、慌てて出て行ってしまう。

 大山は友人から、3年前に話題になったカレー彗星についての怪しい噂話を聞かされる。彗星は本当は地球に衝突するが、その事が明らかになれば世界がパニックに陥るので、天文学者に嘘の発表をさせたのだという。しかも一部の人間だけはロケットで宇宙に逃げる予定だというのだった。

 やがてテレビのトーク番組で、突然出演者が、富士のふもとで秘密裏に地球脱出用ロケットが作られており、地球は破滅するとわめき立て番組は中断してしまう。大山はようやく事の関連に気が付き、細川の家に乗り込んで殴りつける。


 世間は地球滅亡を前に大パニックに陥り、各地で大騒乱が起きていた。総理大臣は必死で彗星衝突を否定するが何の効果も無かった。大山は地球滅亡を前に家族を救えない無力さに打ちひしがれる。

 ところが「ノア機構」を名乗っていた詐欺グループが逮捕され、地球滅亡云々は途方もない詐欺話だったと判明し、騒ぎは一気に沈静化した。詐欺師たちは、地球滅亡の恐怖を煽ってから、地球脱出ロケットに乗せてやると言って、被害者たちから大金をだまし取っていたのだった。大山は地球滅亡が嘘だったと知り歓喜する。


 同じころ、総理大臣のもとに、地下シェルターについての報告が届けられていた。カレー彗星は尾は地球をかすめるため、その際に大暴風・大津波が発生して、地球は壊滅的打撃を受けると予想されていた。そしてごくわずかな人々だけが避難用のシェルターに移住できる事になっており、「ノア機構」はこのシェルターから目をそらせるためのダミーだった。


 休日。大山は妻・息子を連れて、細川一家と一緒に遠足に出かけることにした。そこに知り合いの一家が通りかかり、向こうは意味ありげな別れの挨拶をして立ち去っていった。そして風が強くなるなか、大山たちは遠足に出発した。<完>

感想

 評価は○。これは良かった。

 わずか15分でしたが、災害パニック物のエッセンスがギュッと詰まっていたし、最後はそういう結末に着地させますかぁぁぁ(ビックリ)だったし。最後のシーンがクラシック曲的な音楽で彩られるのも良しでした。これは良作でしたね。
 
 

藤子・F・不二雄SF短編ドラマ 箱舟はいっぱい
[BS4K] 2023年06月04日 午後10:50 ~ 午後11:05 (15分)


出演者ほか
【出演】永山絢斗袴田吉彦さとうほなみ神尾佑福徳秀介後藤淳平,岩川晴,上野なつひ,中西美帆,加納有沙佐藤貴史東野幸治清水ミチコ小野武彦古田新太

“僕にとっての「SF」はサイエンス・フィクションではなく「少し不思議な物語」のSとFなのです。”(藤子・F・不二雄


国民的漫画家、藤子・F・不二雄は、「ドラえもん」「オバケのQ太郎(共著)」「パーマン」「キテレツ大百科」など児童漫画の名作の数々を送り出してきました。そんな藤子には、もう一つのライフワークがありました。「ドラえもん」の連載が始まる前年の1969年、大人向けコミック誌にSF「ミノタウロスの皿」を発表。その衝撃的な内容が評判となり、その後、生涯にわたり、刺激的でシュールな味わいのあるSF短編を多く執筆していたのです。その作品数は110以上に上り、未知のウイルスによる未曽有の災厄、核戦争の脅威、食糧危機と超高齢化、神の領域まで浸食する生命科学技術など、まるで21世紀の世界を藤子が予見していたかのような物語が描かれています。藤子ファンにとっては、どれも傑作ぞろいと言われ、長年本格的なドラマ化が待ち望まれていたシリーズです。


2023年、藤子・F・不二雄生誕90周年の年に、満を持して10作品を実写ドラマとして放送する運びとなりました。4月9日からBSプレミアム/BS4Kにて毎週日曜日、よる10時50分から放送(15分×2話連続)です。