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三角座銀河の物質シーソー (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-693) 文庫 2023/7/19
クルト・マール (著), ペーター・グリーゼ (著), 赤根 洋子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/7/19)
発売日:2023/7/19
文庫:288ページ
【※以下ネタバレ】
ヴァリオ=500の解析で物質シーソーが球状星団マルティ‐5の惑星アシュカルにあると分かるが、その正確な位置は不明だった。
ヴァリオ=500が“九月の朝”作戦で入手した敵のデータを解析した結果、物質シーソーが球状星団マルティ‐5の惑星アシュカルにあることがわかった。だがわかったのはそこまでで、その惑星の正確な座標は不明。レジナルド・ブルは、二十万個の恒星系のなかからたったひとつの惑星を探しだし、敵の本拠地に潜入するため、ハウリ人が手に入れたがっているハイパートロップ吸引装置を使ったおとり作戦を立案するが…!?
あらすじ
◇1385話 三角座銀河の物質シーソー(クルト・マール)(訳者:赤根 洋子)
NGZ447年10月。通常宇宙。M-33(三角座銀河)。ヴァリオ=500がハウリ人基地から持ち帰った情報から、物質シーソーが球状星団「マルティ-5」内の惑星「アシュカル」に存在することが判明したが、アシュカルの正確な位置は不明だった。ブルたちは、ハウリ人が欲しているハイパートロップ吸引装置の中に潜み、装置をわざと盗ませることでアシュカルへとたどり着いた。ブルたちは物質シーソー破壊の準備を進めるが、タルカン宇宙側の対となる物質シーソーが消滅したことで装置は暴走し、アシュカルごと消滅した。その後ブルたちは逃走したハウリ船を追跡し、通常宇宙側のハンガイ銀河にある時空断層(構造歪曲)に入り込んだ。(時期:NGZ447年10月7日~12月8日)
※初出キーワード=球状星団マルティ-5。ギャラクスター級大型輸送船。恒星ヴェエノア/惑星アシュカル。純潔の侯爵。教理の侯爵。宇宙船《シマロン》。
◇1386話 宇宙ステーション《ウリアン》(ペーター・グリーゼ)(訳者:赤根 洋子)
ブルたちはハウリ船を追って時空断層に入り込み、その中にサプライズ星系と建造途中の巨大宇宙ステーション《ウリアン》が隠されている事を発見した。《ウリアン》はスーパー物質シーソーで、完成の暁には通常宇宙の銀河全てをタルカン宇宙に転移させることになっていた。ブルたちはハウリ人と交戦し、一旦時空断層から脱出した。(時期:NGZ447年12月12日~)
※初出キーワード=恒星サプライズ/惑星サプライズI・II・III。宇宙ステーション《ウリアン》(ハウリ名:ウル・アム・タロク)。イリパップ。
あとがきにかえて
・運動不足解消のためジムに行っている話。
感想
・前半エピソード 原タイトル:DIE MATERIEWIPPE (意訳:物質シーソー)
ブルたちが通常宇宙側の物質シーソーを破壊しようとする話。ハウリ人に機密装置を盗ませてそれに隠れて惑星に侵入するとかは、第三勢力とか太陽系帝国時代の懐かしいノリでした。しかもグッキーが久々にブルとコンビを再結成(?)して活躍するし。
しかしグッキーがブルのことを「きみ」と呼ぶのは……、昔は「あんた」とかそういう感じで呼んでいたのに、他人行儀になったなぁ……
・後半エピソード 原タイトル:RAUMSTATION URIAN(意訳:宇宙ステーション・ウリアン)
ブルたちがハウリ人の隠れ家「時空断層」に入り込む話。
ハウリ人の技術は前からギャラクティカー以上だと思っていましたが、今回はさらに凄いことを言い出して「通常宇宙の全ての恒星をタルカン宇宙に転移させる物質シーソー」と来ました。ここまでスケールが大きいと、もう超越知性体とかすら凌駕しているのでは?
P253などで「地方グループ」という言葉が使われていますが、これは「地方グループ→ローカルグループ→局部銀河群」のことですね。他の巻ではきちんと翻訳されていたので、こういう用語は統一してほしいものです。編集部は真面目に仕事して!
謎キャラ・ベネカー・ヴリング登場。まあ、いつものように正体は“それ”なんでしょうねぇ。
脱字が二か所ありました。
P143
誤)十月十二日
正)十<二>月十二日
P248
誤)ミニチュアようだ
正)ミニチュア<の>ようだ