【SF小説】感想「〈九月の朝〉作戦」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 686巻)(2023年4月11日発売)

〈九月の朝〉作戦 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-686)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124027
〈九月の朝〉作戦 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-686) 文庫 2023/4/11
アルント・エルマー (著), クルト・マール (著), 工藤 稜 (イラスト), 井口 富美子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/4/11)
発売日:2023/4/11
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

アトランひきいる小艦隊はハウリ人の秘密基地に向かったが、そこはすでに完全に放棄されていた。彼らはいったいどこに消えたのか?

 

あらすじ

◇1371話 〈九月の朝〉作戦(アルント・エルマー)(訳者:井口 富美子)

 M-33(三角座銀河)。アトランたちは惑星スリンガルIVのハウリ人基地を急襲したが、基地は既に放棄されていた。しかし撤収したハウリ人たちはカルタン人と接触し、自分たちが味方でギャラクティカーは敵であるという宣伝を開始していた。

 グッキーたちは惑星「九月の朝II」のハウリ人基地に潜入し、ハウリ人たちがハンガイ銀河転送のエネルギーを利用し、通常宇宙の星々を逆にタルカン宇宙に転送する「物質シーソー」を所有している事を突き止める。物質シーソーは過去二度のハンガイ転送の際に既に使用され、さらに次はM-33を丸ごと転送する予定だった。グッキーたちが帰投した時には、既にアトランたちはハンガイ銀河に出発していた。(時期:NGZ447年8月10日~9月30日)

※初出キーワード=イルジャ星系/惑星タルクーン。九月の朝星系/惑星九月の朝I・II・III。物質シーソー。


◇1372話 タルカン遠征隊、発進!(クルト・マール)(訳者:井口 富美子)

 NGZ447年9月末。ペリー・ローダン救出のためタルカン宇宙に向かう十二隻の宇宙船の準備が整った。“それ”はストレンジネス・ショック対策として、船団の周囲にヴィールス物質による防護幕を展開させた。アトラン指揮の下、船団はまず通常宇宙のハンガイ銀河に進出し、カルタン人とハウリ人の争いに巻き込まれるものの無事切り抜けた。さらに船団はタルカン宇宙への転移に成功し、ローダンと同じくアンクラム星系の近傍に出現した。(時期:NGZ447年9月30日~10月15日)

※初出キーワード=メエコラー・プロジェクト。ヴィーラ(ヴィールス雲の意志)。ベクトリング可能なグリゴロフ・プロジェクター。惑星ドングシー。惑星ドグアング。


あとがきにかえて

・第二次大戦後に旧ドイツ領から避難してきた人の話。
・井口富美子氏によるお別れの挨拶ぽい物。多分本巻で井口氏は翻訳チームから卒業?


感想

・前半エピソード 原タイトル:PROJEKT SEPTEMBERMORGEN(意訳:〈九月の朝〉作戦)

 グッキーたちがM-33のハウリ人基地に潜入する話。グッキーが敵対勢力の基地に潜入し、味方の手を取ってテレポート!とかいう展開が凄く懐かしかったです。昔はこういう話ばっかりだったのに、最近はもうすっかり見なくなってしまいましたねぇ(嘆息) ちなみにグッキーと共に行動するのは、アンソン・アーガイリス(の中身のヴァリオ500)とニッキー・フリッケルという濃いメンツでした(笑)

 P106でハウリ人が「テレビゲーム」をプレイしている描写があり、異宇宙にも『テレビゲーム』という娯楽があるんだなぁと一気にハウリ人に親近感がわきました(笑)



・後半エピソード 原タイトル:ZWOLF RAUMSCHIFFE NACH TARKAN(意訳:タルカンへの十二隻の宇宙船)

 ついにアトランたちがタルカン宇宙に進出する話。しかし昔は宇宙船といえば、やれ直径800メートルだ1500メートルだという世界観だったのに、今は主力が直径200メートル級(昔なら重巡)で、直径500メートル級が最強艦という変わりっぷり。異宇宙という究極の遠方に向かうのにそんなので大丈夫なのか。
 
 ヴィールス物質とは今回で完全にお別れ。まあ最初からスプーディ/ヴィールスインペリウムまでは構想していたと思いますが、その後のヴィールス船とかは全くアイデアには無かっただろうし、さらに今回完全に舞台から退場させるためタルカン宇宙転移のために消費しつくされるとか、作者チームも上手い事後付けで考えるもんだなぁと感心しました。

 異宇宙転移用の装置は今までは「ベクトリング可能グリゴロフ」と呼ばれていましたが、今回から「ベクトリング可能なグリゴロフ・プロジェクター」になりました。というか今までプロジェクターという言葉が無かったのが変だったのでは。
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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