【ウォーゲーム】感想:雑誌「ゲームジャーナル No.89 特集:フランス革命1789」(2023年12月1日発売)

シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル89号 フランス革命1789

http://www.amazon.co.jp/dp/B0CMZTJB5V
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル89号 フランス革命1789

【※以下ネタバレ】
 

ゲームジャーナルは、ゲーマーによるゲーマーのためのボードシミュレーションゲームの専門誌。
歴史上の戦いを主にシミュレートしたボードウォーゲームが毎号1~2個程度収録され、収録作品に関する特集記事と、松田大秀氏のリプレイコミック、連載記事やテーマに沿った討論記事、新作ゲームガイドなどからなる。

 
 

付録ゲーム

◆内容

フランス革命1789
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_089

1789年に始まるフランス革命を、ボードを併用したキャラクター・カードゲームで再現。キャラクターは、マリー・アントワネットロベスピエール、ナポレオン・ポナパルト、タレーランフーシェなどフランス革命期に活躍した歴史上有名人物が32枚のカードで総登場。
各派・各人物の思惑渦巻く過激にして混沌としたフランス革命の情勢を描いた、マルチプレー政略ゲームの傑作!

 
◆コメント

 フランス革命テーマの多人数ゲーム。シミュレーションではなくボードゲーム風味で、プレイヤーはカードになっている歴史上のキャラを手に入れたりして自分(派閥)が歴史上の勝者を目指すという内容。

 競りでカードを手に入れたり、軍隊が出てくるものの戦闘は抽象的だったり、と、ヘビー級ボードゲーム好きのボードゲーマーをなら受け入れられそうなテイストです。世の中のボードゲームにはワイマール共和国時代を舞台にした物があるくらいですしね? ところでマップがざらざらした手触りなのはなぜでしょうか?


本誌

◆特集:フランス革命1789
・[超ワイドリプレイ]フランス革命を過激にプレーするぜ!
・[歴史概説]フランス革命の勃発から終焉まで
・[人物列伝]フランス革命の18人
・リプレイ漫画「フランス革命1789」(松田大秀
・[ゲームの殿堂]西洋史プレ20世紀SLGを語る


 久々にそそられる特集。25年位前の同人誌時代のゲームジャーナルフランス革命ゲームの記事があり、結構読み込んで歴史を覚えたはずなのですが、すっかり忘れきっていて……、それだけに今回の特集を読んで「そうそう、フランス革命ってこんな流れだったよね」と懐かしくなりました。

 そんなわけで、今回の記事に出てこなかった「エベール」とか「ショーメット」という名前もいまだに憶えています。何した人たちか全く記憶にないけど(笑)



◆[連載]ゲームガイド

・The Barracks Emperors(GMT Games)
Barracks Emperors

 一応ローマ帝国の帝位争奪をテーマにしたゲームらしいのですが、なんとゲームシステムが「トリックテイキング」を使った云々……、まさかゲームジャーナルでトリテなんて用語を目にする日が来ようとは。あらかじめ勉強しておいてよかったよ。



◆[連載]絶版Game再生Project Third-Successor(迷美酒)

 お題は「旌旗蔽空(せいきへいくう)」(タクテクス1987年2月号付録の三国志ゲーム)
レア雑誌 タクテクス TACTICS NO.39 1987/2 ゲーム付き(旌旗蔽空)三国志 ホビージャパン D

 三国志テーマのゲームは当時も今も大人気。本作はのちにパッケージ入りにバージョンアップして「英雄三国志」の名前で発売されましたが、筆者氏はバージョンアップで重くなってしまったパッケージ版より付録ゲーム時代の方が好みだそうです。

 エポックの三国志演義がつい先日復活したばかりですし、この作品も復活しないものか?



◆[連載]ウォーゲーム英雄列伝(近藤友樹)

 戦国群雄伝シリーズ第一作「信玄上洛」(ツクダホビー)ネタ。本作は実に4バージョンあるという話。※ツクダホビー版→タクテクスに掲載されたシナリオ版→コマンドマガジン版→ゲームジャーナル付録版。

ゲームジャーナル52号 信玄上洛

 タクテクス版について書いてある内容がフワーッとしすぎて詳細が気になったので、自分で調べ直しました。タクテクス版だってネットに情報いっぱいだし、そもそもゲームクラブの知り合いにタクテクス見せてもらえばいいし、「不勉強で」で逃げずに書いていてほしかったよ……


1)「信玄上洛」(ツクダホビー/1986年)
 オリジナル版。


2)「信玄最後の戦い Shingen's Last Battle」(ホビージャパン/1989年)

 雑誌タクテクス1989年4月号(65号)(1989年3月1日発売)掲載の追加シナリオ。「信玄上洛」以外のシリーズ作品「関東制圧」「信長風雲録」「秀吉軍記」のルール・マップ・ユニットも追加して使い、さらに足りないユニットを自作して「信玄上洛」をバージョンアップする内容。

 この号の特集は(ウォーゲーム専門号のはずなのに)「めくるめくカードゲームの世界」で、そこにまぎれてひっそり掲載されたので知名度低そう……、ちなみに筆者名は記載されていないので誰が考えたルールかは不明です。


3)「信玄最後の戦い」(国際通信社/2000年)

 雑誌コマンドマガジン第36号(2000年2月20日発売)の付録ゲーム。ツクダホビー「信玄上洛」のリメイク。ユニットの能力値を低く設定し直したため「信玄上洛」とプレイ感が違いすぎると大不評。


4)「信玄上洛」(シミュレーションジャーナル/2014年)

 雑誌ゲームジャーナル第52号(2014年9月1日発売)の付録ゲーム。ツクダホビー「信玄上洛」のルールの明確化など微調整しただけのほぼそのまま再販。



◆[連載]ピンゾロとわたし★ やまね「せん」の逆襲

 第十二話 超人ロック やまね「せん」 ラフノールの鏡発動失敗大爆死事件

 お題は「超人ロック」(エポック)
超人ロック キャラクター カードゲーム

 1984年に発売されて一部ゲーマーから熱狂的な支持を受け、数年前に国際通信社から再販され、あと「シャドウ●ンターズ」の元ネタとしても超有名な、あのゲームが今回のテーマ。このゲームのリプレイは妙におかしいものが多いのですが、さらにGJ掲載という事もあり、読者が大爆笑必至の内容となっておりました(笑)



◆[連載]Mrことくの過激にレポートするぜ!

 お題は「ブライアン・ボル ~アイルランドの上王~」(ケンビル)
ブライアンボル ~アイルランドの上王~ 日本語版 ボードゲーム ケンビル

 西暦1000年ころのアイルランドを舞台にしたボードゲーム
 内容はこんな感じ。
 ↓

トリテ・エリマジョで アイルランド王! 色んなトラック かい摘まんどこう!『ブライアン・ボル 日本語版』のご紹介。 KenBill Official Site
http://info.kenbill.com/?p=3050

info.kenbill.com

 
 まあ一応ウォーゲーマー的にも引っかからなくもないテーマだし、やすし師匠が復活していたし、等々で、そこそこ楽しめる記事でした。



◆次号の予告

 次号No.90(2024年3月1日発売予定)。 特集/付録ゲーム「孤高のアルンヘム1944」。
 付録ゲームは1944年のマーケットガーデン作戦をテーマにしたソロプレーゲームとのこと。


ファイナルコメント

 メイン特集のフランス革命の記事がなかなか読みごたえがありましたし、今回はその他のコンテンツもそれなりに面白くてよし! でした。


参考:付録ゲーム詳細

フランス革命1789
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_089
池田康隆氏デザイン。1789年に始まるフランス革命を、ボードを併用したキャラクター・カードゲームで再現。


キャラクターは、マリー・アントワネットロベスピエール、ナポレオン・ポナパルト、タレーランフーシェなどフランス革命期に活躍した歴史上有名人物が32枚のカードで総登場。
各プレーヤーは、毎ターン登場するキャラクターを競りで入札し、自派閥に所属させたキャラクターの行動で勝利をめざす。


特徴的なのが、各ターンごとに投票で政体を決め、そのターンの政体によって各キャラクターが選択可能なアクションと、得点可能なキャラクターが異なる点。


例えば、「絶対王政」「立憲君主制」では投票と貴族の懐柔・地方遊説程度しか選択できないが、「共和制」では「逮捕」「処刑」などの過激なアクションが選択可能になり、一気にゲーム展開が大きく動き出す。
また、「逮捕」されたキャラクターも「亡命」アクションで自由になれるが、亡命中のキャラクターは外国軍によるフランス侵入以外に得点できなくなるため、「派兵工作」で外患の誘致に精出すようになる。


各派・各人物の思惑渦巻く過激にして混沌としたフランス革命の情勢を描いた、マルチプレー政略ゲームの傑作!


テーマ フランス革命
ゲームデザイン 池田康隆
ゲーム期間 1789年~1795年頃
プレイ時間 2~3時間
プレーヤー数 2~5人
難易度(5段階、5が最高) 2

 
 

他の号の内容・感想はこちらからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

 
 
超人ロック」国際通信社版
ボードゲーム 超人ロック 復刻版 国際通信社 品