感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第11話「オードリー」


X-ファイル シーズン9 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

【※以下ネタバレ】
 
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

第11話 オードリー AUDREY PAULEY

 

あらすじ

 お題は「臨死体験」。

 レイエスが自動車を運転中、飲酒運転の車に激突され、病院に搬送される。ドゲットとスカリーが駆け付けた時には、既にレイエスは脳死状態となっていた。医者はレイエスが臓器提供のドナーの意思表示をしていたので、早く摘出したいとせかす。

 一方、レイエスは自分が人気の無い病院内に立っていることに気が付く。しかもその病院は、建物の外には何もない虚空をただ浮遊していた。やがてレイエスは二人の男性患者と出会うが、二人ともここは死後の世界か、またはそこに行く途中のどこかだと考えていた。やがてレイエスは四人目の女性を見つけるが、彼女はすぐに消えてしまう。

 ドゲットは、病室に花を届ける仕事をしているオードリーという女性と出会い、レイエスはまだ生きていると励まされる。オードリーこそ、先にレイエスが出会った女性だった。ドゲットはオードリーがレイエスからの伝言を伝えてきたことから、オードリーが気休めを言っているのではなく、本当にレイエスと話をしていることを確信する。

 オードリーは病院内に住んでおり、部屋に病院そっくりの模型を作っていた。オードリーの言葉によれば、その模型に心を凝らすと、その中でレイエスたちに出会えるのだという。ドゲットはレイエスと一緒にいるという二人の男性がやはり脳死状態の患者であること、さらにレイエスも含めた三人とも担当は同じプライアーズ医師であることに気が付き、プライアーズが担当患者に何かをして故意に脳死にしていると確信する。そして、オードリーにはレイエスに対し、何か生きているという合図を出してほしい、と伝言するように頼む。しかしそれを見ていたプライアーズはオードリーを毒殺してしまう。

 レイエスは病院内でまたオードリーと出会い、生きていることを示すため、虚空に飛び降りろと促される。そして意を決して飛び出すと、現実に目が醒める。ドゲットはプライアーズを取り押さえるが、オードリーが殺されていることを知り絶句する。

 3日後、レイエスは回復し自宅に戻るのだった。


監督 キム・マナーズ
脚本 スティーヴン・マエダ


感想


 評価は○。

 事故に遭ったレイエスが臨死体験するエピソードで、レイエスのたどり着いた病院が虚空をふわふわ漂っている光景は、もはやX-ファイルというより「トワイライト・ゾーン」めいていたが、それでも話はまあそこそこには面白かった。


 今回のシナリオを書いたのは、第4話「 4-D」を書いたスティーブン・マエダで、「4-D」同様「病院が主な舞台となる」「事件を捜査するのではなく事件に巻き込まれる」「レギュラーの一人が入院状態」「レイエスがやたらとドゲットに好意を表明する」など、方向性が非常に似ていた。

 とは言え、死と生の境にいるレイエスが必死で現世への帰還を試み、一方でドゲットがレイエスの脳死を受け入れず必死で対策を考える、というドラマ展開は、いつものX-ファイルの風味とはやや異なったものの、これはこれで悪くは無かった。

 それにしても、ドゲットが必死にレイエスの臓器摘出を阻止しようとするのと比べ、スカリーは「脳死だから手の打ちようがない」と最初から最後まで冷淡極まりなかったのがなんとも言えなかった。これが、脳死状態なのがモルダーなら、もう半狂乱で食い下がっただろうなと予想してしまい、付き合いの短い相手には心底友人というより医者モードでしか接してないな、と感じてしまった。子供の出産とかで助けてもらった恩人のレイエスにこの姿勢はどうなのか、とちょっとひっかかってしまった。


 今回のエピソードは、冒頭からレイエスがドゲット大好きというオーラを発しまくっていて、どうにも恋愛要素が強かった(ドゲットの方は終始あくまでレイエスは仕事のパートナーとして接しているようにしか見えなかったが……)。モルダー&スカリーの時代や、ドゲット&スカリーの頃には、男女コンビでもこんな空気が醸し出されたことは無かっただけに、X-ファイルはシーズン9に入って随分変質したな、という違和感が強かった。


 今回は申し訳程度の犯人役として、入院患者を脳死に追い込み殺害する「死の医師」が登場した。しかしこういった患者を害する医療関係者というのは、架空の存在では無く、現実にも存在するらしい。人を殺すのが目的という場合もあれば、「助からない患者を必死で助けようとする自分が好き」なために、患者をわざと瀕死の状態に追い込むという犯罪者もいたという。今回登場したプライアーズは、看護師やオードリーを何の躊躇もなく注射で毒殺していたところを見ると、殺人愛好者の類だったのだろうか。


一言メモ

 サブタイトルの「AUDREY PAULEY」とは、オードリーのフルネーム。

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第58話(シーズン3 第5話)「死刑執行1時間前」

スパイ大作戦 シーズン3<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第58話 死刑執行1時間前 The Execution (シーズン3 第5話)

 

あらすじ

食品流通界の大物パーマは、何でもありの悪党なのに自らは手を下さず、なかなかしっぽを出さない。その悪事を暴くため、IMFチームは犯行直後の手下の殺し屋を逮捕する。殺し屋が助かる唯一の方法は、黒幕の悪事を白状することだが…。


食品流通業界の大物パーマは、なんでもありの悪党なのだが、自らは手を下さず、なかなかしっぽを出さない。その悪事を暴くため、IMFチームはフェルプス(ピーター・グレイブス)がパーマを挑発、危険を覚悟で自らが殺害のターゲットとなる。そして犯行直後の手下の殺し屋を捕まえる。殺し屋に死刑になると思い込ませ、黒幕の悪事を白状するよう迫るのだが…。

※DVD版のタイトルは「処刑作戦」。


【今回の指令】
 ルイス・パーマは、全米の食料品卸業界のポスだが、その地位は殺人を始めとする様々な違法行為を駆使して築き上げたものである。しかも、パーマは最近、その食料品の価格への影響力を武器に政界の支配をも企て始めている。IMFはパーマの野望を粉砕しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:ヘンリー・ルーミス医師


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 IMFはまずパーマにフェルプスの命を狙わせる事にして、フェルプスは青果店の主人として働き始める。すぐにパーマの部下が店を訪れ、フェルプスに「全米食品協同組合」への参加を持ちかけ、暗にみかじめ料を要求したあと、店の商品をめちゃめちゃにする。しかし、フェルプスはパーマの事務所に乗り込み、顔を張り倒してから、脅迫には屈しないとタンカを切る。激怒したパーマは、子分の殺し屋ビックにフェルプス殺害を指示する。

 ビックはフェルプスと妻(シナモン)が住むアパートに爆弾を放り込むが、あらかじめ用意していた二人は無事で、さらにローランたちが警官に変装してビックを捕まえ失神させる。

 その後、IMFは倉庫の中に作った刑務所のセットにビックを運び、目覚めたビックには、逮捕されてから既に二年以上過ぎていて、もう死刑執行の一時間前だと告げる。驚いたビックは(当然)裁判の事など覚えていないというが、看守(バーニー)は、もう記憶喪失のふりをしても無駄だと突き放す。さらにフェルプスは刑務所の所長役で現れ、ビックは殺した(と思っている)相手とそっくりの人間に出会って、精神的に動揺する。

 シナモンが演じる弁護士はビックに、もうビックはパーマに見捨てられたのでかばう必要はなく、パーマを有罪にできる証言をすれば死刑は免れる、とアドバイスするが、ビックはパーマを信じて口をつぐんだままだった。

 しかしビックはガス室に連れてこられ処刑(のふり)が始まると、ついに半狂乱となり、パーマに指示された殺人について証言を始める。その内容は録音されるとともに、倉庫の中に拡声器で流されていた。そこにIMFにおびき出されたパーマたちが現れ、慌ててビックの口を封じようとするが、ガス室のセットは完全防音・完全防弾のため全く手が出せない。さらにその場を離れようとするパーマたちに、ローランたちが銃を突きつけるシーンで〆。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 番組のメインライターだった「ウッドフィールド&バルター」のコンビが手掛けた最後のエピソード。このコンビは大げさな仕掛けのミッションが大好きで、シーズン2では「大地震」だの「核戦争」だのというとんでもないシチュエーションで対象の人間を騙すエピソードを書いたが、今回も刑務所のセットを舞台にニセの死刑執行で対象を引っ掛けるという、いかにもの話を書いている。

 とは言え、番組の面白さとしてはもう一つという感じではあった。確かに死刑執行時刻が迫っているとだまして、ターゲットのビックに証言を迫るという設定は悪くないが、ビックを精神的に追い込むサスペンスとしてはともかく、ミッションとしてはあまり面白いとは言えなかった。刑務所セットの計略パートは、ちょっと長すぎて、だれた感じが否めなかった。

 バーニーは、ビックがフェルプス夫妻殺害のために「ショットガン、ショットガンの弾、45口径の弾薬、パイプ、ほうき」を買ったと聞き、「じゅうりゅうだん」を作るためだと見抜く。さてこの「じゅうりゅうだん」とは何ぞやと見ていると、なんとビックはショットガンの銃口に柄のついた爆弾を詰めて、アパートの窓に撃ち込むのである。つまり、軍隊用語でいうところのグレネード弾だったので驚いてしまった。

 銃で発射するタイプのグレネード弾は、日本語では「銃擲弾(=じゅうりゅうだん)」と呼ぶそうである。ネットで手軽に調べられる時代ならともかく、初放送時の50年前の日本の視聴者たちは「じゅうりゅうだん」が何やら解らず首をひねったのではなかろうか。それにしても、殺し屋がターゲットを殺すために、グレネード弾をコツコツ手作りしてぶっぱなす、とか、さすがアメリカの殺し屋はやることが違うと感心してしまった。


 冒頭にフェルプスがオーディオ専門店で、店員に合言葉として「30アールピーエムのテープレコーダー」を求める場面がある。アールピーエムとは何の事なのかさっぱり解らなかったが、調べてみると「revolutions per minute(回転毎分)」の事らしい。テープレコーダーが回転数で種類があるとか全然知らなかった。


 最後、IMFは倉庫にパーマたちを呼びつけ、パーマたちは自分たちの悪事をビックがしゃべっているところを見て驚愕しいきり立つ。IMFの作戦上はそんな事をする必要は無く、ビックの証言を録音してとっとと逃げ出せば良いのだが、ドラマ的には悪党たちが狼狽した末に降参するシーンは痛快だったので良しとしたい。


 ちなみにサブタイトルの原題「The Execution」とは「死刑執行」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがオーディオ専門店に入り、店員に「30アールピーエムのテープレコーダー」を求めると、店員が個室に案内する。部屋の中には封筒とオープンリール式テープレコーダーが用意されている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。その男は名前をルイス・パーマといい、搾取・脅迫・誘拐・殺人など、あらゆる手段を弄して全米の食料品卸業界を牛耳るに至った、その方面のボスである。しかも最近のパーマは、食料品の値段を思いのままにできる力を利用して、政界にまでその魔手を伸ばそうとする気配を見せている。

 そこで君の使命だが、このルイス・パーマを再起不能に陥れることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 
 

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第10話「神託 Part2」

X-ファイル シーズン9 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

【※以下ネタバレ】
 
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

第10話 神託 Part2 PROVIDENCE

 

あらすじ

 お題は「異星人の宇宙船」。

 第9話「神託 Part1」の続編。


 過去、1991年の湾岸戦争イラクの戦場で、アメリカ軍の四人の不死身の兵士がイラク軍を蹴散らす。

 現在。ウィリアムは謎の女に誘拐され、車にはねられたドゲットは意識不明の重体となっていた。FBIではフォーマー副長官の指揮の元、ウィリアム捜索チームが編成されたが、スカリーはフォーマーはカーシュの手下なのでまともに捜査をするはずがないと決めつける。

 スカリーはコーマー捜査官が崖から落ちたのに無事だったのは、彼が服に入れていた「遺物」(宇宙船の破片)の力で傷が治ったからだと思い込み、レイエスと共に病院に向かい、病室でコーマーに破片を触らせると、コーマーは一瞬にして回復する。

 コーマーによれば、UFOカルト集団のリーダーはジョセフォという男で、「神」からの声を聴き、「神殿」すなわちエイリアン宇宙船を発見したのだと言う。さらに神の声によれば、ウィリアムは父親のモルダーが生きていれば人類の救世主となるが、モルダーが死ねば反対に宇宙人側を導く存在となると言う。コーマーはUFOカルト教団がモルダーを殺したと聞き、このままではウィリアムのせいで人類が滅亡してしまうと恐れ、殺しに来たのだった。

 直後病室にFBIの職員が現れ、スカリーとレイエスは追い出されるが、その間にコーマーは死んでしまい、持っていたはずの遺物は無くなっていた。レイエスは誰かがコーマーを殺し遺物を持ち去ったと疑うが、周囲からは白い目で見られる。

 やがてスカリーはジョセフォに呼び出され、二人きりで対面する。ジョセフォによれば、実はまだモルダーが生きていてウィリアムは(宇宙人を導くという)本来の任務を果たせないので、スカリーにモルダーを殺せと命令する。そのあとジョセフォはエイリアン宇宙船の元に戻るが、ウィリアムが泣き出した途端宇宙船が起動し、ジョセフォたち全員を焼き殺して飛び去る。スカリーたちはジョセフォを尾行して、宇宙船の発掘場所にたどり着くと、焼死体だらけのなかに泣いているウィリアムが見つかる。

 その後。ドゲットは起きられるまでに回復した。カーシュ長官代理は謎の男(役名:the Toothpick Man)に、今回の事件の関係者は死んだので安心だと話していた。謎の男の首の後ろにはこぶがあった。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター & フランク・スポトニッツ


感想

 評価は△。

 ごたごたした展開でまとまりがなく面白みに欠けるエピソード。今までは「X-ファイルの宇宙人関係エピソードに外れ無し」という信頼が有ったのだが、今回でそれが崩壊してしまった感が有った。


 今回は宇宙人の侵略云々のSF話を離れ、「人類の救世主」とかいう宗教要素を盛り込んできてしまったため、視聴していてみるみる興味が薄れてしまった。SFとかオカルト話は大好きだが、救世主とか守護霊とかそういった宗教系の話は正直全く興味が持てない。

 病室でコーマーが説明したUFOカルト集団の教義というか考え方というかは難解でややこしく、意味を理解するのに三度以上聞き直す羽目になってしまったが、整理してみると、どうやら「神の預言」によれば

1)ウィリアムとモルダーの親子が二人揃っていた場合、二人は異星人と戦い人類を救う救世主である
2)モルダーが死んでウィリアムだけとなった場合、ウィリアムは異星人を導いて人類を滅ぼす

だそうである。そして、モルダーは既にカルト教団に殺されたので、ウィリアムは異星人側だから、コーマーは人類が滅亡を回避するためウィリアムを殺しに来た、という事情だったらしい。モルダーもしばらく姿を見せない間に、一介の超常現象大好き男から人類を救う救世主へとランクアップしていたとは、ずいぶんな出世ぶりである。

 しかし、そもそもコーマーは真面目な顔でこんな話をスカリーに語っていたが、こんな考えを信じる時点でコーマー自身が(自覚は無いようだが)完璧にカルト教団の教義に洗脳されてしまっている。ミイラ取りがミイラとはまさしくこの事だろう。

 今回はスカリーのキャラクターがかなりひどくて、目を覆わんばかりだった。幼い息子を誘拐されてまともな精神状態で居られないのは理解できなくもないが、根拠もなくFBIの上層部は陰謀を企んでいると叫び、あのレイエスからさえ「あなたはどうかしている」とたしなめられる始末である。また、突如「遺物には人を治す力がある」とか言い出して遺物を持って病院に駆け込むなど、正直言って、今回のスカリーの言動は痛々しくて見ていられなかった。あの理性的なスカリーはどこへ行ってしまったのだろうか。


 そして今回の話は、オチもあまりにもあんまりである。まあ、「ぼんやりと話は解決したものの、謎は山のように残される」というのは神話エピソードの定番の締め方だが、ウィリアムが泣いたら宇宙船が勝手に飛んで行ってしまってUFOカルト教団は全滅、などという結末はあまりにもどうかと思わざるを得ない。また、冒頭でジョセフォが1991年に出会った四人の天使(まあ明らかに無敵兵士だが)の件も投げっぱなしで、宇宙人と何の関係があるのかすら解らないままというのも酷い。


 最後、カーシュの部屋に、往年のスモーキング・マン的立場で謎の男が座っていて、その男の首にこぶがある(=無敵兵士である)というラストには、もう「無敵兵士とか宇宙人とか、思わせぶりな設定を振りかざして、あいまいなまま話を進めるのはいい加減にしてほしい」と言いたくなった。正直言って、あと10回で全ての伏線が回収されるのか、大いに疑問である。


一言メモ

 サブタイトルの「PROVIDENCE」とは、「神」や「神意」といった意味。

もう一言

 今回オープニングで流れるテーマ曲が、シーズン9で使用され始めた新バージョンではなく、以前の古いほうのバージョンに戻っている気がするのですが……

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

感想:アニメ「武装少女マキャヴェリズム」第3話「麗しき刃「亀鶴城メアリ」」


TVアニメ『武装少女マキャヴェリズム』エンディング・テーマ「DECIDE」

TVアニメ「武装少女マキャヴェリズム」公式サイト http://machiavellism-anime.jp/
放送 AT-XAT-Xが最速放送)。

【※以下ネタバレ】
 

第3話 『第三節 麗しき刃「亀鶴城メアリ」』 (2017年4月19日(水)放送)(最速放送)

 

あらすじ

 納村が中等部女子二人を毒牙にかけた、という疑いは晴れたものの、鬼瓦輪は予告通り納村を管理すると言い、朝の登校時から持ち物チェックを始める。そこに天下五剣の一人「亀鶴城メアリ」(きかくじょう-)(北原沙弥香)が納村の矯正のため、妹分の蝶華と共に現れる。輪は納村の処遇を巡ってメアリと対決するが、病み上がりのため敗れてしまう。

 納村は、向かってきた蝶華は、前回にもまして簡単に料理するが、直後、天下五剣の二人を簡単にあしらったという転入生「女帝」天羽斬々と遭遇する。女帝は納村がかつて敗北したある男に似ていたが、詳しいことを確認する前に、納村は追ってきたメアリと戦いになる。納村はメアリの西洋剣術の戦法に戸惑い大苦戦するが、服の下に隠し持っていた漫画雑誌(月刊少年エース)を防具や武器とすることでメアリの虚を突き、魔弾を決めて勝利した。

 その後なんだかんだで納村はメアリから外出許可証のハンコをもらうが、メアリはハンコを押した責任があるので、自分も納村の管理をすると宣言する。


脚本 : 下山健人 絵コンテ : 渡部高志 演出 : 福多 潤

感想

 メアリのしゃべりも随所で「担当声優のキャリアの浅さ」がにじみ出ていて、その度に現実に引き戻されるような感じがしていますが、それを差っ引いても話が面白いので合格点です。

 うーん、こうなると、「もっと普通レベルの声優で作られたものが見たかなったなぁ」という気持ちになりますね。原作が好きなだけに。

 
TVアニメ『武装少女マキャヴェリズム』オープニング・テーマ 「Shocking Blue」【通常盤】
武装少女マキャヴェリズム B2タペストリーA
【電子版】武装少女マキャヴェリズム(1)<武装少女マキャヴェリズム> (角川コミックス・エース)
 
 

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第9話「神託 Part1」

X-ファイル シーズン9 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

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第9話 神託 Part1 PROVENANCE

 

あらすじ

 お題は「異星人の宇宙船」。

 カナダからバイクで不法入国した男が、国境パトロールに追跡された末に崖から転落したが、有るはずの死体は見つからなかった。スカリーはカーシュたちに男が所持していた物を見せられるが、それはスカリーが2年前にアフリカで発見した異星人の宇宙船の外壁に刻まれていた文字の写しだった。しかしスカリーは何も知らないとしらを切る。

 やがて問題の男はFBIの捜査官コーマーで、カナダで活動しているUFOカルト集団に潜入していたが、連絡が取れなくなっていたことが判明する。また、スカリーは、コーマーの持っていた文字の写しが、かつてスカリーが手に入れたものとは異なることに気が付く。つまりUFOカルト集団は二隻目のエイリアン宇宙船を発見したことになる。

 やがてコーマーがスカリーの家に押し入り、ウィリアムを殺そうとしたため、スカリーはコーマーを撃つ。コーマーはウィリアムは死ななくてはならないと口走っていた。コーマーは病院に運ばれるが、彼の服からはエイリアン宇宙船の外壁の断片(遺物:アーティファクト)が見つかる。

 スカリーはスキナーから、コーマーが連絡を絶つ前、「モルダーは死んだ」と連絡してきたことを伝えられる。スカリーの家では、宇宙船の断片が突然動き出し、ウィリアムのベッドの真上まで飛行して静止する。スカリーはウィリアムを守るため、ローンガンメンの三人を呼び出し、ウィリアムを保護してくれるように頼む。しかしUFOカルトの構成員の女がスカリーたちを監視しており、ドゲットは車で跳ね飛ばされ、ローンガンメンも襲撃される。そして女がバイヤースの頭に銃を突きつける。続く。→第10話「神託 Part2


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター & フランク・スポトニッツ


感想

 評価は◎。

 久々の宇宙人関係エピソード。やはりX-ファイルは宇宙人ネタを扱ってこそ、という感じで、久々に大当たりの回だった。やはり「無敵兵士」関係より宇宙人云々ネタの方が、オカルト好きとしては胸が躍ると言わざるを得ない。


 今回は、スカリーが2年前にアフリカで見つけたエイリアン宇宙船の文字云々が重要な役割を果たしているが、これは、シーズン6・第22話(最終回)「創世記」、シーズン7・第1話「第六の絶滅 Part1」、第2話「第六の絶滅 Part2」、の三部作で展開されたエピソードで、久々の復活は物凄く懐かしかった。

 この三部作は、「宇宙人が地球人に聖書やコーランをもたらした」という強烈な設定で、シーズン7以降の「神話」エピソードの新方針を提示したと思っていたのだが、その後全く顧みられることもないまま忘れられてしまい、もはや「無かったこと」にされていたので、ここに来ての突然の復活はなんとも驚かされた。何故今更このネタを? という疑問はあるものの、宇宙人関係エピソードの復活は心底嬉しかった。

 UFOカルトの連中が、地中に埋まったエイリアン宇宙船(デルタ翼機風)をせっせと掘り出しているシーンは、実にぞくぞくさせられたが、それにしても、宇宙人は何故船の外壁にわざわざ聖書やコーランや元素周期表を刻み込んだりするのだろうか。文字通り宇宙人のすることだからか、理由が全く理解できない。


 今回はスカリーが精神的に追い詰められているのか、「エイリアンの宇宙船について調べれば、ウィリアムのことが解るはず」とか脈絡のないことを言い出すのには笑ってしまった。UFOカルトの連中が、何か狂信的な教えに基づき赤ん坊のウィリアムを殺しに来るのはまあ理解できなくもないが、現実派のスカリーがこんなことを言い出しては、もう止める人が居なくなってしまう。

 またドゲットも、夜中にスキナーのオフィスに忍び込んで机をあさった挙句、勝手に資料を持ち出して、レイエスには「黙って借りてきた」としれっと告白するシーンには苦笑しきりだった。こういうルール破り行為はモルダーの得意技だったが、X-ファイル課の活動をしていると、この手の行動が自然と身についてしまうのかもしれない。


 今回のゲストキャラ・コーマー捜査官は、がけから転落した際に血まみれになっていたのに、その後完全復活してスカリー宅に押し入ってウィリアムを狙ってみせた。つまりいわゆる「無敵兵士」風味の体質のようだが、ここにきてやはり「無敵兵士云々は、政府の秘密兵器ではなく、ずばり宇宙人の事だった」と軌道修正したのだろうか。いい加減謎だらけで気を持たされるのも飽きてきたので、さっさと方向性を確定してほしい物である。


一言メモ

 サブタイトルの「PROVENANCE」とは「起源」という意味。

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ

感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第54話(シーズン3 第1話)「プリンセスの帰還」


スパイ大作戦 シーズン3<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第54話 プリンセスの帰還 The Heir Apparent (シーズン3 第1話)

 

あらすじ

王が逝去したポビア国に、幼少時に行方不明となっていた王女が帰ってきた!王女に扮したシナモン(バーバラ・ベイン)は、将軍のクーデター計画を阻止することができるか!?

※DVD版のタイトルは「甦ったプリンセス」。


【今回の指令】
 ポビア国(Povia)では、先日国王が世継ぎを残さぬまま世を去ったため、大司教ジェルバスが将来的に王位を継承する事になる摂政を指名することになった。ところがカゼッテ将軍(General Envir Qaisette)という男は、大司教に対し、自らを摂政に指名しなければクーデターを起こして強引に王位を奪い取ると脅迫している。このままではポビアは独裁国家に変貌してしまう。IMFはカゼッテの野望を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 ポビア国


【作戦】
 IMFはまず、ポビア国内に、その昔に行方不明になった先々王の娘セリーヌ王女が戻ってくる、という噂を流す。そしてフェルプスは、わざとカゼッテたちに怪しまれる行動を取って捕まり、自分たちが偽のセリーヌ王女(シナモン)を連れてきて一儲けしようとしている詐欺師であると白状する。フェルプスは、この偽セリーヌは記憶喪失の素性不明の女性にそれらしい演技を付けただけ、と説明する。

 カゼッテはフェルプスから取り上げた資料から、本物のセリーヌはたとえ生きていても、骨折のため右腕が不自由である、という事実をつかむ。そしてそのことを証言できる老医師(ローラン)を手元に置いておく。

 カゼッテはフェルプスに対し、このまま偽セリーヌを本物だと言って大司教の前に連れて行くようにと取引を持ちかける。カゼッテは、大司教が偽セリーヌを本物と認めた後、偽物であるという証拠をぶちまけることで、大司教の権威を失墜させようと企んでいた。

 大司教が開いた査問会で、シナモンは次々と昔の知り合いについて語り、参加者たちは彼女こそ本物のセリーヌだと認める。カゼッテは、本物のセリーヌしか開けることにできない「パズルボックス」という細工箱を持ち出して開けるように命じるが、箱はあらかじめバーニーたちが開け方を調べて点字形式で印をつけておいたため、シナモンはこれも開けてしまう。

 カゼッテは動揺し、このセリーヌ王女は真っ赤な偽物だと叫ぶが、証人として待機させていた老医師(ローラン)はこっそり変装を解いて素顔になってしまっていたため見つけられない。さらにシナモンはパズルボックスの中から、先々王の日記だという本を取り出し、その中には王の側近だったカゼッテ少佐が反乱を起こした、と記されていた。カゼッテは半狂乱になり、自分自身が王宮に火をつけたのであの大火からは誰も逃げられたはずがない、と口走り、近衛兵たちに取り押さえられる。

 騒ぎの後、大司教はシナモンが偽物であることを察しつつ、即位してくれるように頼む。しかしシナモンは皆の前で、老いて健康でもなく目を病んでいる自分は王にはふさわしくないと断り、大司教がもっとふさわしい人物を王にすることを望んでいる、と言う。そして国民たちに見守られながら、車で立ち去っていくのだった。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ロバート・E・トンプソン


感想

 評価は◎。

 シーズン3の幕開けとなるエピソード。過去の2シーズンも一話目には力の入ったエピソードを持ってきていたが、今回もまた大傑作だった。


 今回はシナモンが事実上の主役で、老いたセリーヌ王女役を担当していたが、いつもの華やかな姿とは違い、白髪のかつらと老けメイクでの老女役を見事に演じていた。

 カゼッテ将軍が、査問会で大司教をはめてやろうとフェルプスたちを利用しようとする段階で、もう後から因果応報のしっぺ返しを食らうのは目に見えていたのだが、クライマックスはその時の予想以上に盛り上がった。パズルボックスを開けてしまえば課題はクリア、という流れかと思っていたのだが、その後に突然先々王の日記帳なるものが出てきて、カゼッテが数十年前の反乱騒ぎの主犯だと暴かれるシーンは実に痛快だった。

 この反乱云々は劇中でもはっきり説明されておらず、セリーヌが行方不明になるきっかけとなった出来事としか語られていなかったため、視聴者は最後に意外な真相に驚かされることになったわけである。まあ日記帳自体はIMFのでっち上げた偽物と思われるが、カゼッテが反乱に関与していたこと自体は本当だったようなので、多分アメリカの情報機関は当時から真相を知っていたものの、ここぞというときに利用しようと対外的には伏せていたのであろう。

 さて、ちょっと気になるのは、問題の反乱はいつ発生したかという事である。当時少佐だったカゼッテが国内の相当の権力者に上り詰めていることから、まあ最大で30年前くらいと見当をつけてみたが、するとその当時少女だったらしいシナモンは今45~50歳くらいということになる。とすると想定される年齢よりかなり老けている気もするが、反乱で王宮から逃げて今までどこかで暮らしていたとなると、苦労の連続だったはずなので、実際よりも老けこんでしまってあの外見になっている、という意外と深い設定だったのかもしれない。

 クライマックスの査問会では、スパイ大作戦のテーマ曲のパイプオルガンバージョンが演奏され、その演奏に合わせてシナモン演じる王女が車で立ち去っていく。実に荘厳な雰囲気のシーンで、まさかスパイ大作戦のオチで感動することになるとは思いもしなかった。

 ちなみに原題「The Heir Apparent」とは「推定相続人」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園的な場所の道端の公衆電話に近寄り、故障中の札を外してからコインを投入し、さらに電話機の下の蓋を鍵を差し込んで開くと、中には封筒と超小型のオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して(電話をかけているふりをしながら)指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。ポビアの大司教ジェルヴァスは、先頃世継ぎを残さずに王がこの世を去ったため、やがて王位を継ぐべき摂政を五日後に指名することになっている。ところでこの男カゼッテ将軍は、もし自分を摂政に指名しなければクーデターをもって王位を手中に収めると言明、これが実現せんか、自由立憲君主国ポビアは独裁国に変貌する。

 そこで君の使命だが、このカゼッテ将軍の野望を阻止することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 
 

感想:アニメ(新番組)「正解するカド」第1話「ヤハクィザシュニナ」

正解するカド クリアファイル

正解するカド KADO: The Right Answer http://seikaisuru-kado.com/
放送 BSフジ。

【※以下ネタバレ】
 

真道幸路朗(しんどう・こうじろう)は、外務省に勤務する凄腕の交渉官。
羽田空港で真道が乗った旅客機が離陸準備に入った時、空から謎の巨大立方体が現れる。
“それ”は急速に巨大化し、252人の乗った旅客機を飲み込んでしまう。
巨大立方体の名は「カド」。
カドより姿を現した、謎の存在・ヤハクィザシュニナは人類との接触を試みようとする。
カドに取り込まれた真道は、ヤハクィザシュニナと人類の間の仲介役を引き受けることになる。
一方、日本政府も国際交渉官の徭沙羅花(つかい・さらか)を代表として現場へ送り込む。
ヤハクィザシュニナとは何者か。そして彼の狙いは何か。




世界の終わりと始まり。
人類は「正解」できるのか。


全ては、想像を絶するファーストコンタクトから始まった。突如出現した謎の存在「カド」。異常事態に翻弄される日本政府。そして世界の行方は、ひとりの交渉官(ネゴシエーター)に委ねられる--。


正解するカド』プロジェクトにはさまざまな才能が集結している。総監督はスタジオジブリ出身で『翠星のガルガンティア』監督の村田和也。シリーズディレクターには『コードギアス 亡国のアキト』演出の渡辺正樹。華のあるキャラクターデザインは、マンガ『ヴァニシング・スターライト』(原作/Sound Horizon)などで人気を集める有坂あこ。そして『カド』の作品世界を構築したのは、脚本を担当した小説家・野﨑まど。野﨑は、小説『2』『know』などで知られる、次世代を担う注目のエンターテインメント作家だ。制作は『楽園追放 -Expelled from Paradise-』など新たな企画に挑戦し続ける東映アニメーションが担当する。


謎の果てに待つ「正解」とは何なのか。そこには誰も見たことがない「未来」が刻まれている。

 

第1話 ヤハクィザシュニナ

 

あらすじ

 外務省職員・真道幸路朗(しんどう・こうじろう)たちを乗せた旅客機が羽田空港から離陸しようとしていた時、空から突如巨大な立方体が出現し、逃れようとする旅客機を押しつぶすような形で空港に着地する。

 立方体は一辺二キロもある素材不明の物体だった。政府はただちに対策会議を開き、立方体の正体の調査にかかるが、熱も含めたあらゆるものが立方体の外壁で遮断されていると判明したのみだった。行方不明になった旅客機は映像を見る限り、立方体の中に飲み込まれただけという可能性もあり、生存者がいることに希望が繋がれるが、どうやっても立方体の内部に入り込む手段がなく、救出のしようがなかった。

 ところが突然立方体の上部に階段が出現し、中から真道と正体不明の若い男が現れる。


感想

 評価は◎。

 SF映画とか海外ドラマならともかく、日本のテレビアニメではほぼ見かけないタイプの本気系SF物で、初回からの気合の入りまくりぶりに大いに満足できました。この春クールで初めて「これは行ける」という期待感を感じさせてくれる作品でしたね。というか、テレビアニメでこんな企画が良く通ったな(まあアマゾンを見る限りキャラグッズを売りまくる気満々みたいですが)。

 初回のみに見掛け倒しでないとすれば、今期最強のアニメとして期待して良いのではないかと思えてきます。二回目に注目だな。

一言メモ

 日本政府の首脳陣のうち、石破茂似のキャラが出て来たのはまあ理解できるのですが、首相が故小渕首相そっくりだったのにはちょっと意表を突かれたなぁ。まあ、今安倍ちゃんそっくりの首相キャラを出したら、色々めんどうくさいことになるからかもしれません。

 あとは、くぎみー演じる天才(?)科学者キャラがうざい。くぎみーは、どんなアニメでも似たような声質のキャラしか振られないなぁ。全く違うキャラって「鋼の錬金術師」の弟君くらいしか思いつかない……

制作会社
東映アニメーション


スタッフ情報
【総監督】村田和也
シリーズディレクター渡辺正
【脚本】野﨑まど
【演出】りょーちも、齋藤昭裕、田辺泰裕
【キャラクターデザイン】有坂あこ
【アニメーションキャラクターデザイン】真庭秀明、りょーちも、黒岩園加
【CGディレクター】カトウヤスヒロ
【キャラクタースーパーバイザー】宮本浩史
【リードキャラクターモデラー】岩本千尋
【リードアニメーター】安田祐也、牧野快
グラフィックデザイン】鈴木夏希
色彩設計】岩沢れい子
美術監督】佐藤豪志(スマーチル)
【撮影監督】石塚恵子
【編集】福光伸一
【音響監督】長崎行男
【音響効果】今野康之(スワラ・プロ
【音楽】岩代太郎
【アニメーションプロデューサー】小倉裕太
【プロデューサー】野口光一


音楽
主題歌(オープニング):「旅詩」 徭 沙羅花 starring M・A・O
エンディング:「永遠のこたえ」 HARUCA


キャスト
真道幸路朗:三浦祥朗
ヤハクィザシュニナ:寺島拓篤
徭沙羅花:M・A・O
花森瞬:斉藤壮馬
浅野修平:赤羽根健治
夏目律:伊藤静
品輪彼方:釘宮理恵
犬束構造:中博史
羽深清鷹:斎藤志郎
笹内直己:菊池正美
言野匠:桐本拓哉
画美:菅沼久義
歌丸阪口大助
御船哲人:後藤哲夫
阿方篤彦:小山剛志
大石哲男:半田裕典
深水ソフィー:甲斐田裕子
由利縞子:白石涼子

誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-101)
 

感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第8話「境界」

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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

【※以下ネタバレ】
 
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

第8話 境界 HELLBOUND

 

あらすじ

 お題は「転生」。


 人間が生きたまま皮をはがされて殺されるという事件が発生し、ドゲットとレイエスが捜査することになった。被害者は前科があり、同様の境遇の人間たちと共に更生を目指すグループに参加していたが、死ぬ直前に「悪夢の中で皮をはがされて殺された」と怯えていたという。さらに同様の事件が2件連続して発生するが、犠牲者はみな同じグループの参加者だった。レイエスは何故か今回の事件の解決に異様なまでの熱意を見せる。

 スカリーは過去の同様の猟奇殺人事件を調べ、40年前の1960年(このエピソードの放送は2002年1月)に、同一犯の犯行としか思えない連続殺人が発生していたことを知る。しかし当時捜査を担当した保安官は、何故か事件の捜査をいい加減に打ち切ったあと、銃で自殺していた。

 レイエスは40年前の事件の被害者たちが全員前科者で、また今回の事件の被害者は前回の被害者の死んだ日に生まれていたことから、前回の被害者の魂が転生したものの、やはり同じように惨殺されたのだと言い出す。さらにレイエスもまた自分が過去の事件に関わっていたことを予感していた。

 レイエスはさらに捜査を進め、1909年にもやはり連続猟奇殺人が発生していたが未解決に終わっていたこと、捜査を担当した保安官が自殺していたこと、を突き止める。また、さらに過去の1868年に炭鉱の利権を巡り四人の男たちが敵対していた一人の皮をはいで殺した後、全員無罪放免になったことも解る。

 やがて事件の犯人は、地元警察の捜査担当のヴァン・アレン刑事だと判明した。ヴァン・アレンは四人目を殺そうとするが、レイエスに撃たれて阻止される。レイエスは、事件の真相が、ヴァン・アレンが1868年に殺された被害者の生まれ変わりで、過去何度も犯人たちの生まれ変わりに復讐し続けており、レイエス自身もまた過去(1868年、1909年、1960年)に捜査担当として事件を防ごうとしていたものの、その度に失敗し続けていた、ということだったと推測する。

 最後、ヴァン・アレンが死に、直後赤ん坊に転生したと思わせるシーンで〆。


監督 キム・マナーズ
脚本 デヴィッド・アマン


感想

 評価は△。

 話のアイデア自体は悪くなかったが、何分にも話に進め方に面白みがなく、結果としてさして評価できないエピソードだった。


 殺人の犠牲者が転生して犯人たちに復讐する、という設定はシーズン1の第22話「輪廻」を彷彿とさせるし、メインキャラ自身の転生となると、シーズン4の第5話「追憶」を連想させた。しかし前述の二作品がどちらもテーマを活かした好エピソードだったのと比較すると、今回の話は転生ネタを上手に扱えているとは思えず、もどかしい感じが否めなかった。

 レイエスが何度も転生しては、宿敵的な立場の犯罪者の犯行を防ごうとして失敗し続けていた、という設定は、21世紀のSFやゲームやアニメでお馴染みの「ループ物」に似たテイストを感じさせた。それだけに、過去三回失敗したために自殺してやり直しを選び、今回4回目にしてついに犯行の阻止に成功した(一人は救えた)、という結末は、それなりに達成感があっても良かったはずなのだが、全然そういう雰囲気になっていなかったのは、なんとももったいなかった気がする。

 今回のエピソードは、犠牲者が生きたまま皮をはがれる、という猟奇性・残虐シーンの方のインパクトが強すぎて、生まれ変わりテーマはその影に隠れてしまっていたのも、主題の無駄遣いという感覚があった。死体の皮をはがれた様や、犠牲者たちが襲われる直前に見る「皮をはがれたまま歩き回る人間たちの姿」のグロさはすごく、特殊効果の実力は認めるところだが、おかげでもっと重要な転生テーマがどこかに吹き飛ばされてしまった感が有った。今回はスタッフは力の全てを転生という主題に注ぎ込むべきだったという気がする。


 さて今回のエピソードで、スカリーが「40年前の事件でも今回と同じ刃物が凶器として使われていた」と報告するシーンがあるが、どう考えても変である。視聴者を「今回と40年前の事件は同一犯の犯行である」とミスリードするための手掛かりだろうが、(まあ確かに魂は同一犯だが)ヴァン・アレンが40年前の刃物をどうやって手に入れたというのか。それともこれに筋が通る説明が有るのだろうか。


 今回は話もちょっとややこしいが、サブタイトルもまた難解である。まず原題の「HELLBOUND」が辞書にそのものが載っていなくて調べるのに手間取ってしまったが、どうも「HELL + BOUND」で「地獄行きの人間」という意味のようである。劇中で犠牲者の一人が、自虐的に「(前科者の自分たちは)地獄行きが決まっている」と吐き出すように言う台詞が有ったので、この解釈で間違いないと思う。

 日本語サブタイトル「境界」はさらに意味不明で、この話のどこに境目が有ったのだろうかと首をひねりまくったが、どうもこれは境目の「きょうかい」ではなく、仏教用語の「きょう『が』い」(kyougai)の事らしい。仏教で境界とは複数の意味を持つとのことだが、そのうちの一つは「果報(因果応報)として各自が受ける境遇」という意味だという。なるほど、今回の犠牲者たちはまさに「因果応報」という感が有り、このサブタイトルは適切だと言えなくもないのだが……、しかし、この解釈が正しいとしても、あまりにも意味が難解すぎる気がする。もうすこしストレートなサブタイトルでも良かったのではなかろうか。

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ