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感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第1話「リターン・トゥ・ウォーター Part1」

ドラマ

X-ファイル シーズン9 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]


【※以下ネタバレ】


【キャスト】
ダナ・スカリー捜査官…ジリアン・アンダーソン相沢恵子
ジョン・ドゲット捜査官…ロバート・パトリック大塚芳忠
モニカ・レイエス捜査官…アナベス・ギッシュ(佐々木優子
スキナー副長官…ミッチ・ピレッジ(島香裕)


※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら
perry-r.hatenablog.com


第1話 リターン・トゥ・ウォーター Part1 NOTHING IMPORTANT HAPPENED TODAY

 

あらすじ

水道局の水を調べていたFBI捜査官が変死。調査に向かったドゲットは、水中でも無呼吸で動き回れる女性に遭遇する。

 お題は「異星人の侵略」。


 シーズン8最終回(第21話)「誕生 Part2」の続編。


 ドゲットたちとノエルたちの戦いから48時間後。ドゲットはカーシュ長官代行が何らかの陰謀に関与していると告発するが、地下駐車場での争いなどのすべての証拠は消し去られており、逆にドゲットは周囲からは上司を告発する裏切り者として白い目で見られる。しかも、頼ろうとしたモルダーはアパートを引き払って姿を消しており、スカリーからは避けられ、スキナーから告発を取り下げるように忠告されるありさまだった。時を同じくして、スカリーやレイエスの周りに、黒髪の謎の女が出没し始める。

 やがて、何者かがX-ファイル課に、環境保護庁の役人が溺死した事故についての新聞の切り抜きを送ってきた。ドゲットはそれにすがり、許可を取らずにスカリーに死体の解剖を依頼するが、単に溺死したことが解っただけだった。しかし死体の足首には人の手につかまれたような跡が残っていた。一方、ドゲットの無断の行動を知ったフォーマー副長官(レイエスの元恋人)は、カーシュの命を受け、ドゲットを失脚させるため解剖現場に踏み込むが、なぜか死体は消え失せていた。

 ドゲットはローンガンメンの助けを借り、死んだ役人が、メリーランド州の下水再利用施設の職員から暗号化データのメールを受け取っていたことを突き止める。そしてその職員も先日やはり溺死していた。ドゲットはスキナーと二人でその施設に無断侵入し、職員がクロラミンという薬品についての大量の資料を持っていたことを知る。そこにフォーマーたちが乗り込んできたため、ドゲットは慌てて逃げ出し下水のタンク内に隠れるが、彼の足を謎の女が引っ張り水中奥深くへと引きずり込んだ。続く。


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター & フランク・スポトニッツ


感想

 評価は〇。

 シーズン8の最終回「誕生 Part2」の完全な続編で、引き続き異星人「代替人間」テーマのエピソードだが、面白さはもう一つだった。

 一応テーマ的には、人間社会(というかFBI)に侵入した異星人たちの脅威を描く、という話なのだが、その異星人たちは表立っては登場せず、代わりに、FBIの人間たちが上司を告発するとか部下を蹴落とすとかの重苦しい権力闘争をやっているだけの怪異要素がほぼ無い展開だったので、もう一つ盛り上がらなかった。かつてのように無邪気に、宇宙人の実在の証拠だとかUFOの残骸だとか、それを隠蔽しようとする秘密組織だとか、そういうオカルト要素をどんどん出してほしかった。

 今回の怪異らしい怪異と言えば、水の中に人間を引きずり込んで殺す謎の女くらいだったが、人を躊躇なく溺死させる割には、スカリーの家に押しかけてきてもスカリー母に簡単に追い返されてしまうなど、怖いのだかそうでないのだかよくわからないキャラだった。懐かしのバウンティハンターと比較して、遥かに存在感が薄いので殆ど印象にも残らなかった。次回のパート2での大活躍を期待したいところである。

 もう一つ、些細な怪異ではあったが、スカリーの息子のウィリアムが、ベッドメリー(ベッドの上でぐるぐる回る赤ん坊用のおもちゃ)を念力的なもので動かしている描写があった。これを見る限り、ウィリアムはこのシーズンのキーパーソンになりそうな感じではあるのだが、「謎の力を秘めた赤ん坊」対「異星人軍団」という構図には、正直言ってさっぱり興味がわかないので、今後の展開がいささか不安になってしまった。

 さて、このシーズンからは、レギュラーにモニカ・レイエスが加わった。オープニングのクレジットでは、依然としてスカリーが主役という事にはなっているのだが、今は産休でFBIを休職しているので、この回はX-ファイル課はドゲットとレイエスの二人だけで回していた。あの地下の部屋で働いている男女が、モルダーでもなくスカリーでもない、というシーンを見ると、この番組もシーズン1からずいぶん遠くまで来てしまったものだとしみじみさせられた。ちなみに、レイエスは元恋人のフォーマーに「X-ファイル課は夢見ていた職場」云々と告白しているが、あんな場末の部署に着任するのが夢とは、さすが自称「宇宙のエネルギーを感じ取れる」キャラと言えよう。

 そのレイエスが、X-ファイル課の部屋で書き物をしているとき、ふと天井を見ると鉛筆が何本も刺さっているのを見つけて不審がるシーンがある。これは、かつてこの部屋の主だったモルダーが、退屈なときに鉛筆を投げつけて暇つぶししてた跡なのだが、主が退職してもその痕跡が残っている、という事実はちょっと面白かった。

 後半、ローンガンメンの三人組がドゲット宅を訪れた際、フロハイキーが開口一番「職の無いものに善意の手を」と言い、続いてバイヤースも「どうせここのところ暇してる」と言うのだが、これは実は番組の内輪ネタだったりする。アメリカでは、このシーズン9の放送の9か月ほど前に、シーズン8の放送(2000年11月~2001年5月)と並行して、ローンガンメンの三人組が主役のスピンオフドラマ「ローンガンメン」を2001年3月~5月に放送したのだが、あまりにも人気が無くてわずか13回で打ち切りになってしまっている。二人のセリフは『番組が打ち切りになってしまい、仕事がなくなって暇だ』という自虐系ギャグなのだった。

 また、一緒にドゲット宅を訪問したラングリーの顔は青い塗料まみれで、不機嫌そうに「(理由は)聞くな!」云々と言うのだが、これもやはりドラマ「ローンガンメン」絡みのお遊びである。「ローンガンメン」の最終回(第13話)「キャプテン・トビーよ、永遠に(ALL ABOUT YVES)」の中でラングリーが塗料を浴びるシーンがあったそうで、その汚れた姿のままX-ファイル本編に戻ってきた、という、わかる人だけ笑えるギャグだった様である。

 最後、英語版のクレジットでサブキャラクターの登場人物名と俳優名が流れるのだが、俳優名が五人分表示されるのに、演じているのは全員「ウィリアム」というキャラクター、というのにはちょっと笑った。ウィリアムはつまり赤ん坊キャラであり、撮影には赤ちゃんが五人も必要だったわけである。つくづく赤ん坊が出てくるドラマの撮影は大変だと言えよう。


※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

perry-r.hatenablog.com