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感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-19 ニッポン幻の怪獣&超常現象トレンド』

オカルト

NHK幻解! 超常ファイル―ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー http://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 
※過去の放送の内容・感想は、以下のページでどうぞ
d.hatena.ne.jp
 

『File-19 ニッポン幻の怪獣&超常現象トレンド』 (2016年12月30日(金) 21:00~22:00)

 

http://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2016-08-20/10/34856/2357073/
幻解!超常ファイル「ニッポン幻の怪獣大捜査&超常現象トレンド2016」


懐かしの昭和、日本各地に怪獣がいた!山には謎の猿人ヒバゴン!湖には水棲獣クッシー!現地取材で今明かされる真相とは?▽芸能人の心霊写真?未来人の予言?火星ゴリラ?


懐かしの昭和・1970年代、日本各地に怪獣が現れた!中国山地には謎の猿人ヒバゴン!北海道屈斜路湖には水棲獣クッシー!その正体は何だったのか?当時の日本に何が起きていたのか?現地取材と関係者の証言で事件の原点を探ると、意外な事実が…。40年以上経った今だからこそ明かされる真相とは?▽今年2016年はどんな超常現象が流行したのか。人気芸能人の心霊写真?未来人の予言?ネッシーの死体発見?火星にゴリラ?


出演者ほか 【司会】栗山千明,【ゲスト】飯倉義之,【語り】中田譲治

  

1.ニッポン幻の怪獣大捜査


 1970年代、日本は未確認生物の話題で溢れかえっていた。

広島県比婆山山麓で目撃された「ヒバゴン
北海道・屈斜路湖の首長竜的生物「クッシー」
鹿児島県・池田湖の首長竜的生物「イッシー」
山梨県本栖湖の首長竜的生物「モッシー」
山形県大鳥池の「巨大魚タキタロウ
徳島県・剣山の全長10メートルの大蛇
日本全国で目撃されたツチノコ

 そんな中で二大トップと言えるのが「ヒバゴン」と「クッシー」だった。


 ヒバゴンは、山口県比婆山で目撃された類人猿的生物。1970年7月に村人が立て続けに謎の生物と遭遇、やがて地元新聞がとり上げ、マスコミが「ヒバゴン」と名付けたことで大騒ぎになった。大勢の人たちが山に入りヒバゴンを見つけようとしたが、足跡・毛といったものは見つかったものの、ついにヒバゴンそのものは見つからなかった。

 クッシーは、1973年8月に屈斜路湖の湖面に二個の巨大な何かが動いているのが見つかったことで、「何か巨大生物がいる」と騒ぎになり、9月には写真が撮影されている。

 しかしヒバゴンもクッシーも、1970年代以降目撃事例はなく、21世紀現在ではもはや忘れられた存在となり果てている。その正体はいったい何だったのか? 本当に未知の生物がいたのか?


 ヒバゴンは、証拠とされた体毛は「人の毛」あるいは「正体不明」、足跡も「人間のものらしい」と、決定的な物ではなかった。撮影された不鮮明な写真も、専門家によれば「ニホンザルではないか」とのことであった。ヒバゴンの正体としては「外国から持ち込まれた類人猿が何らかの理由で山に放された」「山で暮らしていた人間」「熊の見間違え」など諸説あるが、もはや特定は不可能である。

 クッシーは、「湖面を熊が泳いでいるのを見間違えた」のではないかと推測される。また流木の可能性もある。当時屈斜路湖は火山から流れ込む強酸性の湯のため、魚が棲めないような状態だった。魚がいないのに、それを捕食するだろう巨大生物が生きている可能性があるはずもなかった。


 1970年代のあの未確認生物ブームは何だったのか? それはマスコミの力だった。人は漠然とした「『謎の生物』がいる」では興味を持たない。しかし「ヒバゴン」とか「クッシー」とかいうキャッチーな名前が付くと興味を持ち始める。さらにマスコミが「想像図」と称してビジュアル化すれば、もういるものという感じになってしまう。

 1970年代、日本では地方を旅するムーブメントが発生していた。さらに西表島で新種の生物「イリオモテヤマネコ」が見つかり、「地方の豊かな自然の中には未確認生物がいるのでは?」という幻想が発生していた。一方、地方では過疎化により人を呼び込む必要性に迫られていた。そんな中、未確認生物というのは、過疎地に大勢の人に来てもらうための素晴らしい観光資源だった。このような都会人のロマンと、地方の現実、両者の利害が一致したための未確認生物ブームだった。

 ではなぜ1980年代に未確認生物ブームは去ったのか? それは1980年代になると、そういう未確認生物を科学の目で見るようになってしまい、幻想が丸裸にされてしまったためだった。ブームは1970年代における、都会と地方の共同幻想の産物ともいえるものだったのである。


2.超常現象トレンド2016

 2016年の超常現象のトレンドを分析。


(1)芸能人が撮影した心霊写真が大流行!

・2016/03/09 モデルの益若つばさの写真で足が消えている!?
・2016/11 芸能人りゅうちぇるが森の中で撮った写真の背後に人の顔が!?
・2016/08 声優赤崎千夏が撮った集合写真で一人だけ足が消えている!?

 すべてネットにアップされた写真が大騒ぎになった。しかし調べてみればどれも心霊写真でもなんでもなかった。

益若つばさ→ポーズの関係で足が写っていないだけ
りゅうちぇる→森の中といっても公園で、すぐそこに人が通る道がある。通行人が映りこんだだけと推測される
赤崎千夏→靴と床の色が一緒でまぎれているだけ。じっくり見れば足があることはすぐわかる


 何故すぐに心霊写真扱いになるのか? それはネットの特性。「面白くて話題になるなら、ウソでもどうでもいい」という感覚から来ている。



(2)インターネットで語られた「人工地震説」

 2016年にも日本各地で地震が頻発した。そしてネットではそれらの地震は日本かアメリカの政府が地下に穴を掘り、核爆弾を爆発させて起こしている、という説が流布した。

 証拠は震源の深さ。どの地震も決まって「震源の深さは10キロ」である。自然現象ならこんなことが起きるはずがない。そしてちょうど「地球深部探査船ちきゅう」は深さ10キロの穴を掘ることができる。つまり犯人は「ちきゅう」で、穴を掘っては爆弾を埋め込んでいるのに違いない!!


 もちろん、これらはデマである。

 まず深さ10キロという穴を掘ることの難しさ。ソ連→ロシアが20年以上の歳月をかけて地下に穴を掘った世界最深記録が11キロ。簡単に10キロの穴が掘れるものではない。

 また「ちきゅう」は「海水面から最高深さ10キロまで穴を掘れる」である。これはつまり「海底まで7000メートル」の場所で作業する場合、残り3キロの深さの地面しか掘ることはできない。

 地震震源の深さがそろって10キロ、というのは単に「速報値」だから。その後で正確に調べた結果は、各地震とも震源の深さはバラバラである。

 なによりエネルギー量。マグニチュード9の地震のエネルギーは、日本の全発電所が半年かけて作りだすエネルギーに相当する。そんな巨大なエネルギーを地震なら一瞬にして放出するのである。そのようなエネルギーを人間が作り出せたり、ましてやコントロールしたりできるのか? 不可能としか言いようがない。

 またアメリカが「HAARP(ハープ)」という秘密兵器で人工的に地震を起こしている説もあるが、そもそも証拠も何もない妄想レベルの話でしかない。


 何故人工地震などというデマが流布するのか? それは地震について考えるとどうしても暗いことになってしまうから。すると行き詰ってしまい、最後には「誰かが人工の地震を起こしていたら怖い」とかいう妄想に行ってしまう。地震国日本に住んでいるなら、もっとまじめに考えましょう。



(3)未来人の地震予知

 今年(2016年)ネットでは「2016年5月17日に南海トラフ巨大地震が起きる」というデマが乱れ飛んだ。もちろん実際には地震は起きなかったが、噂を信じた高知市内の小学生が発生時刻とされる時間に教室でカウントダウンを行ったり、ホテルが営業を自粛したりする、という事件が起きた。

 このデマの発端は、自称「2062年から来た未来人」がネットで書き込みを行った内容が元ネタ。しかしその人物も「5月17日」「南海トラフ」という事は書いているが、別に「5月17日に南海トラフ地震が起きる」とは一言も書いていない。しかしネットの人間が勝手に深読み・推測を繰り広げて、『予言』を作り上げた末に、大騒ぎしたのである。

 ネットの世界では、書いていることをそのまま鵜呑みにしてはいけないし、そういう常識も広まりつつある。しかし中には「こんな話、読めばウソだと解るだろwww」と考えて、あえてウソを本当のごとく広める人もいるし、また「嘘を嘘と見抜けない人」もいる。情報を発信する側も「自分はシェアしただけで、責任なんかないよーん」などという態度は許されない。



(4)ネッシーに新展開!

 未確認生物の王様ネッシーに新展開が!


ネス湖の湖畔に首長竜の死体のようなものが打ち上げられていた。ネッシーの死骸か!?
ノルウェーの石油会社がネス湖の湖底を探索したところ、首長竜の横たわった体のようなものを発見!!
・2016年3-4月、ロンドンを流れるテムズ川で謎の影が泳いでいるの映像が二件撮影された。ネッシーがロンドンに出現か!?


 さて、真相は、

ネッシーの死骸→テレビ番組用の作り物
・湖底のネッシー→1970年公開の映画「シャーロック・ホームズの冒険」で使われるはずだったネッシーの模型。撮影前に水没してしまったものが、50年ぶりに見つかった
テムズ川ネッシー→この画像以外に怪物の目撃情報が無い。フェイク画像の疑いが強い

 となりました。



(5)明らかになる火星の世界

 UFO研究者たちは、火星探査機が送ってくる写真に生物や文明の兆候がある!と大騒ぎしている。彼らが見つけたのは

・火星リス
・火星カニ
・火星ヘビ
・火星スプーン
・火星ゴリラ

 さて、人があるものを何か別のものに見えてしまう現象を「パレイドリア」という。点が横に2個並び、その下に線が一本あると、人の顔に見えてしまうあれである。人は真実を見るのではなく、自分が見たいものを見るのである。


感想

 いやー、ヒバゴンにクッシーとは……、昭和を生きたオカルトスキーにとってはめちゃくちゃ懐かしい名前です。2010年代にこれらを取り上げてくれる、そんなこの番組が大好きです。

 後半戦の「はやりものオカルトネタをバッサリ切る」という企画も痛快でした。


過去の放送の内容・感想は、以下のページでどうぞ

d.hatena.ne.jp

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/
UFO、ネッシー、雪男、予言&占い、心霊現象、超古代文明、妖怪、吸血鬼、魔女…。闇の魅力がもつ妖しげな幻に対して、「今、何がどこまでわかっているのか?」を徹底検証!そこから浮かぶのは、自然の神秘、私たちの脳や心の不思議なメカニズム、社会のからくり、昔の人の驚くべき技術と想像力…。ダークサイドの向こうの“本物の不思議”をワクワクしながら楽しんでいただく、NHKならではの超常現象ガチンコ検証番組!


出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など


私が愛したヒバゴンよ永遠に 謎の怪物騒動から40年