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時の目撃者 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/4/20
エルンスト・ヴルチェク (著)
出版社:早川書房 (2024/4/20)
発売日:2024/4/20
文庫:272ページ
【※以下ネタバレ】
ようやくパウラ・ブラックホールから逃れたローダンらは故郷の天の川銀河に降り立ったが、そこは軍国主義的な世界に激変していた
あらすじ
◇1421話 時の目撃者(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田洋一)
ローダンたちの乗る《ハルタ》はNGZ490年の銀河系に出現してしまい、ギャラクティカーに不審船として攻撃されてしまった。ローダンはタイム・パラドックスを起こさないため、自分たちが未来から来たことは隠し、停滞フィールドに42年間閉じ込められていたという偽のストーリーを共有するが、直後拿捕されてしまった。
この時代の銀河系は42年前からハウリ人との戦争「百年戦争」を戦い続けていたが、さらに正体不明の種族カンタロも出現し平和を要求してギャラクティカーに攻撃を仕掛けていた。ギャラクティカムはこれらの敵との戦いのため、戦争遂行を最優先する全体主義体制へと移行していた。またギャラクティカーの団結を強めるため、ローダンたちは42年前に戦死した事にされ殉教者として祭り上げられていた。
ローダンたちは、ギャラクティカムの戦争大臣になったガルブレイス・デイトンと再会するが、デイトンは死んだはずのローダンたちが帰還した事を迷惑がる。さらにローダンたちが何かを隠していることにいら立ち、敵対的な態度を取り始めた。(時期:過去、NGZ490年3月2日~)
※初出キーワード=銀河戦争評議会。百年戦争。電光。電光撃。テンポ型輸送艦。メルツ型宇宙船。惑星ウェスンドIII。
◇1422話 カンタロの日(エルンスト・ヴルチェク)(訳者:嶋田洋一)
ローダンたちは、ギャラクティカムの政策を決定しているネーサンの判断でテラへの帰還を禁じられ、医療惑星タフンに送られた。その後、デイトンの妨害にも関わらず、この時代にはまだ存命だったワリンジャーや、アダムス、キャプテン・アハブ、皇帝アーガイリスたちと再会した。アハブはカンタロとの接触に成功し、ギャラクティカーとカンタロの和平会談を惑星オリンプで開催する約束を取り付けた。しかし同じころ惑星マルディグラはカンタロの兵器「電光」による「電光撃」で壊滅した。
ローダンたちは元の時代に戻るため、アダムスたちの協力を得て《ハルタ》を取り戻し、脱出の準備を開始した。オリンプでの会談では、カンタロが一方的にギャラクティカーに自分たちの要求を通達した。《ハルタ》はペルセウス・ブラックホールに突入して消え、デイトンは今度こそローダンたちは死んだと宣伝した。
《ハルタ》はブラック・スターロードを通ってパウラ・ブラックホールからNGZ1143年へと帰還した。(時期:過去NGZ490年3月~4月29日)
※初出キーワード=恒星アルガメ/第二惑星ジャンク。
あとがきにかえて
嶋田洋一氏
趣味のスポーツ吹き矢の話。
感想
・前半エピソード「時の目撃者」 原タイトル:ZEITZEUGEN(意訳:時の証人)
ローダンたちが今度はNGZ490年の銀河系にタイムスリップしてしまう話。
ギャラクティカムが戦争遂行を最優先する全体主義国家になっているのが悪夢ですが、さらに久々に登場したデイトンがすんごい嫌な奴になっているのも大ショック!
・後半エピソード「カンタロの日」 原タイトル:DIE TAGE DER CANTARO(意訳:カンタロの日)
ローダンたちがNGZ490年を脱して元の時代NGZ1143年に戻るまでの話。
謎の種族カンタロの行動がようやく具体的に語られたことや、超兵器「電光」の描写、そして歴史家ヴァニティ・フェアがローダンかブルの子種をもらった的な描写(笑)、などなど、中身の濃い話でした。
ところでキャプテン・アハブは何ゆえに銀河系で重要人物として活躍しているのか? 故郷の力の集合体エスタルトゥを立て直す仕事をしているんじゃなかったっけ?
あと、さりげなくP139で月面脳ネーサンがポジトロニクスからシントロニクスに入れ替えられたことが語られています。そんなに簡単に取り換えられるものなのかしらん?