【SF小説】感想「ポスビの継承者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 703巻)(2023年12月20日発売)

ポスビの継承者 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124272
ポスビの継承者 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/12/20
H・G・エーヴェルス (著), ロベルト・フェルトホフ (著), 赤坂 桃子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/12/20)
発売日:2023/12/20
文庫:256ページ

【※以下ネタバレ】
 

タルカン連合の船は百太陽星系に到着し、グーラッドと接触した。しかしローダンらは敵対的なハウリ人と見なされ幽閉されてしまう


「サヤアロンは地獄だ!」ハミラー・チューブは同じ言葉を繰り返す。バス=テトのイルナは、ペドトランスファー能力を用いてこれまでの約700年のあいだに起きた情報を取りだそうとするがうまくいかない。アンブッシュ・サトーらもさまざまな試行を繰り返すが、チューブは支離滅裂であやふやな情報をほのめかすばかりだ。そんななか、銀河系船団は二百の太陽の星に到着。ローダンたち四名が“カルミナ”で調査に向かうが!?

 

あらすじ

◇1405話 ポスビの継承者(H・G・エーヴェルス)(訳者:赤坂 桃子)

 バス=テトのイルナは、タルカン宇宙で行方不明になったオクリルが船内に子供を転送していたことを発見した。やがて銀河系船団はポスビの本星・二百の太陽の星に到着したが、ポスビたちの姿はなく、代わりに大マゼラン星雲出身の種族グラドが惑星を管理していた。ローダンたちはハウリ人と誤解され捕えられるが、強引に脱出し、マット・ウィリーたちの協力で過去の事実を知った。

 500年前、ポスビたちの前にイホ・トロトが現れ、ローダンは必ずどこかで生きているので見つけてくると言い残して旅立った。ポスビたちはその言葉に共鳴し、彼らもローダン捜索のために飛び去ってしまった。残された中央大プラズマは惑星の管理を同盟者のグラドに依頼したが、やがて孤独に耐えられなくなり、グラドとマークスの力を借りて故郷アンドロメダ星雲に帰ってしまった。

 ローダンたちはグラドと友好的に別れ、故郷銀河へと出発した。(時期:NGZ1143年4月15日~23日)

※初出キーワード=特になし



◇1406話 虚無のバリア(ロベルト・フェルトホフ)(訳者:赤坂 桃子)

 銀河系船団は故郷銀河に到着したが、精神を錯乱させる見えないバリアに阻まれ先に進めなくなってしまった。さらに偵察に送り込んだ無人ゾンデは全て爆発してしまい、銀河系は複数の未知バリアで閉鎖されていることが判明した。直後、M-30球状星団の「サトラングの隠者」なる存在が、銀河系を支配する暗黒勢力への共闘を呼び掛けていることが分かった。ローダンたちは惑星サトラングと思しき惑星に到着したが、直後隠者がもう自分は死ぬと連絡して来た。(時期:~NGZ1143年5月10日)

※初出キーワード=M-30球状星団。サトラングの隠者。


あとがきにかえて

赤坂 桃子氏
 10年ぶりにローダンの翻訳に戻ってきたという話。


感想

・前半エピソード「ポスビの継承者」 原タイトル:DIE ERBEN DER POSBIS(意訳:ポスビの相続人)

 ローダンたちが二百の太陽の星に到着したもののポスビは見当たらず……、という話。

 二百の太陽の星が久しぶりに登場。前回登場したのがいつか分からないくらいで、銀河系との位置関係も完全に忘却していたため、慌てて調べ直すことになりました(銀河系から29万8000光年)。

 ローダンたちがポスビの行方を突き止めようとするメインの話はまずまず面白かったのですが……

 サイドストーリーでいつものエーヴェルス風味というかの余計な設定をまた盛り込んできていて、タルカン宇宙のハウリ人の惑星パガルで物質シーソーの爆発と共に行方不明になったトヴァリ・ロコシャンたちの後日談がちらっと描かれています。さすがにあのまま放置するのは夢見が悪かったのかな。

 なんとトヴァリたちと共に行動していたオクリル『ファイター』の子供が宇宙船シマロン内に転移していたという……、さすがに宇宙を超えてではないでしょうから爆発直後にタルカン宇宙でこっそり転送されてきていたということなのでしょうけど、またムチャクチャ言い出したなぁ…… ナート人の騎士とか設定増やしすぎ。



・後半エピソード「虚無のバリア」 原タイトル:BARRIERE IM NICHTS(意訳:虚無のバリア)

 ローダンたちはついに故郷銀河に到着するものの、謎のバリアに遭遇し……、という話。

 メインストーリーだけでは間が持たなかったのか、銀河系船団の一員クアンド・ベルストが精神を病んでいく様が並行して描かれています(本筋には一切関係なし)。昔を思い出させる、なんとも懐かしい風味でした。


その他

 翻訳者として、2014年発売の471巻「マルゴルの大波」で翻訳を卒業した赤坂桃子氏が10年ぶりに翻訳に帰還。カンタロ・サイクルに入ってから翻訳チームを卒業された方々が次々と戻ってきているのは、翻訳者の手当てがつかない緊急事態に、必死に頼み込んで仕事をしているとかそういう事なのか……? 2023年に渡辺広佐・井口富美子の両氏がチームから引退してしまい手が足りなさすぎて非常事態的な……? 心配すぎる。
 
 
 

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【SF小説】感想「未来から来た盗賊」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 702巻)(2023年12月5日発売)

未来から来た盗賊 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124264
未来から来た盗賊 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/12/5
マリアンネ・シドウ (著), K・H・シェール (著), 井口 富美子 (翻訳), 増田 久美子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/12/5)
発売日:2023/12/5
文庫:288ページ

【※以下ネタバレ】
 

惑星ブガクリスにて人類の末裔"空飛ぶ山の民"と会ったローダンらは彼らの来歴が記された『ログ』から695年前の事件の真相を知る


ローダンとアトラン、グッキーの3名は、約700年前の記録である『ログ』を求めて、山の民“テラの子供たち”のリーダー、コヴァル・インガードのあとを追った。コヴァルは前兆の印の刺青をもつ“選ばれし者”だったが、婚礼の日にサショイ帝国のIQハンターの襲撃を受けて連れ去られ、苦難の日々を過ごした経歴があった。ローダン一行がけわしい断崖絶壁を登り山の民の村テラニアに着いたとき、そこで待っていたのは!?

 

あらすじ

◇1403話 空飛ぶ民(マリアンネ・シドウ)(訳者:井口 富美子)

 ローダンたちは惑星ブガクリスの「山の民」が先祖代々保存している本「ログ」を閲覧させてもらうため、彼らの村に向かった。ようやく発見した「ログ」はデータ記憶媒体で、中には695年前に《バジス》の副長だったサンドラ・ブゲアクリスのメッセージが保存されていた。NGZ448年3月10日、ハミラー・チューブは突然《バジス》を分散させてしまい、乗員たちは宇宙艦で脱出したものの、ハウリ人との戦闘でブガクリスへと不時着したのだった。ハミラー・チューブは銀河系は呪われていると警告し始めた。山の民コヴァル・インガードはローダンたちに同行することにした。(時期:不明:NGZ1143年3月頃)

※初出キーワード=特になし



◇1404話 未来から来た盗賊(K・H・シェール)(訳者:増田 久美子)

 ラトバー・トスタン指揮する《ツナミ=コルドバ》は、銀河系・アンドロメダ間に存在するマークス種族の宇宙ステーション「宇宙駅」の偵察に向かったが、一つ目の「ミッドウェイ・ステーション」は650年に核兵器で破壊されていた。もう一つの「ルックアウト・ステーション」は健在だったが、マークスたちはトスタンたちをハウリ人として攻撃してきたため、トスタンたちはマークスに強引に過去の情報を提供させた。

 約700年前、ハンガイ銀河第四クオーターの出現と共に局部銀河群は数十年間時空の変動に襲われ、同時に発生した原因不明の戦乱によって銀河間の交流は断絶し、過去の情報の大半はもはや失われていた。

 トスタンたちはステーション内に「保存された伝説の語り手」なる存在がいると知り侵入すると、そこでバリアに包まれたイホ・トロトを発見した。トスタンたちはバリアごとトロトを回収したが、中にあったのはトロトの宇宙服だけで、トロトはローダンを探しているというメッセージを残していた。(時期:NGZ1143年4月9日~19日)

※初出キーワード=サイコ放射器(旧名:精神干渉装置)


あとがきにかえて

井口 富美子氏
 シドウのエピソードで「十五少年漂流記」他を次々と連想した、父上が亡くなり母上が二度入院された


感想

・前半エピソード「空飛ぶ民」 原タイトル:DIE FLIEGENDEN MENSCHEN(意訳:空飛ぶ民)

 ローダンたちが山の民の保存していた「ログ」の内容を知る話。

 これは面白かった。多分作者のシドウがプロット作家から渡されたあらすじには「ローダンたちが冒険の末にログの内容を知る」程度しか書かれていなかったと思うんですけど(推測)、シドウが今回登場させた独自キャラのコヴァル・インガードの冒険談がめっぽう面白く、時間を忘れて読みふけってしまいました。

 コヴァル・インガードは「未開惑星の住人がローダンたちに同行する」というあたり、大群サイクルに登場したサンダル・トークを思い出させましたね。



・後半エピソード「未来から来た盗賊」 原タイトル:DIEBE AUS DER ZUKUNFT(意訳:未来から来た盗賊)

 ラトバー・トスタンたちはマークスの宇宙駅の偵察に向かうが……、という話。

 トスタンがやたら体調悪そうなのがもう不安で不安でたまらない……、あとマークス種族は571巻・1141話「時間ダムの崩壊」(フォルツ)で精神生命体「影マークス」に進化していてルックアウト・ステーションは影マークスの巣窟になっていたのですが、そういう設定はなかったことになったようです……

 P247「サイコ放射器」←懐かしい。あまりに便利すぎて存在が無いことにされた(笑)「精神干渉装置」じゃないですか(笑) ロストテクノロジー扱いにされてる(笑)

 今回のタイトルはトスタンたちの「ツナミ艦は未来に移動できるから、そこから来た我々は未来から来た盗賊のようなものだ」云々というセリフから来ていますが……、ドイツ人ももう少しましなタイトル付けてもよかったのでは。カピンサイクルのエピソード「未来からの報告」並みに肩透かしでした。
 
 
 

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【SF小説】感想「廃墟の王」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 701巻)(2023年11月21日発売)

廃墟の王 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124256
廃墟の王 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/11/21
アルント・エルマー (著), H・G・エーヴェルス (著), 若松 宣子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/11/21)
発売日:2023/11/21
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

ローダンら銀河系船団はタルカン宇宙から通常宇宙へと帰還途中、時空の混乱から生じた停滞フィールドに捕まり695年が経っていた!

 

あらすじ

◇1401話 廃墟の王(アルント・エルマー)(訳者:若松宣子)

 ローダンたちは695年前に《バジス》が待機していたXドア宙域に到着したが、調査の結果何一つ発見することはできなかった。直後、近傍を通過したカルタン人宇宙船を追跡し、宇宙を漂流する十万個の残骸を発見した。この残骸の正体は分散してしまった《バジス》で、船載脳ハミラー・チューブと戦闘ロボットによって守られていたが、ハミラー・チューブは正気を失っていた。ローダンたちはヒューマノイド専門の奴隷商人だったカルタン人から「ブガクリス」という惑星の情報を得て、調査に向かうことにした。(時期:NGZ1143年3月18日~)

※初出キーワード=サショイ帝国。IQハンター。惑星ブガクリス。



◇1402話 ドラゴンの惑星(H・G・エーヴェルス)(訳者:林啓子)

 ローダンたちはハンガイ銀河の惑星ブガクリスに向かい、ハウリ人の子孫「砂漠の息子たち」や《バジス》乗員の末裔「山の民」と接触した。ブガクリスの住人達は原始的な生活を送っており、先祖が宇宙からやってきたことを忘れ果てていた。ローダンたちは山の民が過去のことを記した本「ログ」を所有していると知り、山の民の村へと向かった。同じころバス=テトのイルナはブガクリスで長い間眠っていたナート人の騎士と出会った。(時期:不明:NGZ1143年3月頃)

※初出キーワード=サンドラ星系。砂漠の息子たち(トロナハエ)。山の民。サショイ=カルタン人。


あとがきにかえて

若松宣子氏
 浦島太郎の話。

林啓子氏
 テレビドラマ「VIVANT」、「アホイ!」という掛け声、不審な電話、の話。


感想

・前半エピソード「廃墟の王」 原タイトル:HERR DER TRUMMER(意訳:残骸の主)

 ローダンたちが虚空で分裂状態の《バジス》を発見する話。

 謎だらけの展開でぐいぐい引っ張っておいて、クライマックスで「君主」が名乗りを上げて真実が解明されるあたりではおおっとなりました。またハミラー・チューブのすっとぼけぶりも(深刻な状況のはずなのに)妙に面白かった。

 20ページ。「ダルギスト」。何のことかと調べたら、435巻で完成直後の《バジス》船内に現れた怪物のことでした。覚えてねー。

 121ページ。ハミラー・チューブが引っ越すあたりですが、「そこでしたら自給自足のエネルギー供給がありますので、それでかまいません」ではなくて、「私には自給自足のエネルギー供給がありますので、それでかまいません」ではないでしょうか。実際ハミラー・チューブは自給自足で動いているようですし……



・後半エピソード「ドラゴンの惑星」 原タイトル:DIE DRACHENWELT(意訳:ドラゴンの世界)

 ローダンたちがすっかり退行した《バジス》乗員の子孫たちと出会う話。

 定番的ではあるのですが、すっかり先祖の事を忘れてしまっているブガクリスの住民たちが哀れ……、そして、またエーヴェルスが本筋に関係なさそうな新キャラのナート人を出してきて呆れたよ。
 
 
 

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【SF小説】感想「エスタルトゥ」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 700巻)(2023年11月7日発売)

エスタルトゥ (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124248
エスタルトゥ (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/11/7
クルト・マール (著), 星谷 馨 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/11/7)
発売日:2023/11/7
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

ローダンら銀河系船団は惑星ナルナに到着し、エスタルトゥの5万年にわたる救難活動の全貌を知る! タルカン・サイクル完結篇


NGZ448年2月28日深夜、ローダンとアトランひきいる銀河系船団と、ベングエル・ジュアタフ大船団は、ハンガイ銀河の最後の四分の一と一緒にタルカン宇宙から通常宇宙に遷移した。そして3月1日になるやいなや、突然、ベングエル・ジュアタフ大船団が動きだした。どうやらハイパー通信で“集合の呼びかけ”を受身し、そのシグナルに導かれて、ナルナという惑星へと向かうらしい。ローダンたちもその惑星へと向かうが…

 

あらすじ

◇1399話 エスタルトゥ(クルト・マール)(訳者:星谷 馨)

 NGZ448年2月。ハンガイ銀河第四クオーターの転移は成功し、銀河系船団も共に通常宇宙へと帰還した。直後ベングエル・ジュアタフ合同船団は集結の呼びかけを受信して惑星ナルナに移動し始め、後を追ったローダンたちはナルナでヒルダルからエスタルトゥの過去を知らされる。

 五万年前。エスタルトゥは異宇宙からの救難信号を受けタルカン宇宙に向かったが、前超越知性体的な存在・支配者ヘプタメルと敵対することになり、さらにカンサハリア種族はあまりに遠大な計画に気力を使い果たしていた。エスタルトゥは支配者ヘプタメルに敗北したふりをして姿を隠すと、以後密かにカンサハリア種族を支援し、五万年かけてメエコラー・プロジェクトを完遂させたのだった。

 惑星ナルナでエスタルトゥはついに復活し、オーグ・アト・タルカンは自らの希望でエスタルトゥの一部となった。エスタルトゥは自らの力の集合体へと去り、ローダンたちも惑星ナルナを離れたが、ハンガイ銀河に五次元性衝撃波「構造歪曲」が頻発し始めていた。(時期:NGZ448年2月28日~3月9日)

(「タルカン」サイクル完結)

※初出キーワード=惑星レムノル(ベングエルの母星)



◇1400話 夜空の神々(クルト・マール)(訳者:星谷 馨)

 NGZ448年3月。ハンガイ銀河。銀河系船団は4000万年光年彼方のドリフェルが原因と思しき構造歪曲の嵐に襲われ、未知の星域へと転移させられてしまった。ローダンたちは位置確認のため近傍の惑星に向かい、ハウリ人の分派で退化した「コラ人」と遭遇した。コラ人は遥か過去の大異変を契機に技術も六日間教義も放棄し、夜空に見える14個の物体を「夜空の神々」と崇めていた。やがてローダンたちは「神」とは銀河系船団の宇宙船のことで、船団が時間の停止した「停滞フィールド」に閉じ込められている間に、外部では700年間が経過したことを知った。ローダンたちは現在がNGZ1143年3月であることを確認し、まずかつて《バジス》が待機していたXドア宙域を目指すことにした。(時期:NGZ448年3月10日~1143年3月17日)

(「カンタロ」サイクル開始)

※初出キーワード=恒星マシャルタ・惑星チャットゥ。コラ人。球状星団ラングヴィラアン。停滞フィールド。空間レンズ。停滞ルミネセンス。


あとがきにかえて

・星谷馨氏が本巻で翻訳チームから離れること、翻訳に参加する前に既に350巻「アフィリ―」から編集・全体の統括作業を実施していたこと、について。
・今後の仮題(1401話~1450話)
・既刊リスト(601巻~700巻)


感想

・前半エピソード「エスタルトゥ」 原タイトル:ESTARTU(意訳:エスタルトゥ)

 ハンガイ銀河がついに全て通常宇宙に転移し、エスタルトゥも無事復活、というお話。

 まあサイクル完結編としてそれなりには面白かったのですが……

 ただ、支配者ヘプタメルと五大侯爵をタルカン宇宙に置き去りにしてきてもう二度と会う事は無いだろうと思うと、宇宙の死を早めようとする超越知性体級の存在という設定とはなんだったのかとか、あとエスタルトゥ12銀河に実体化した宇宙船《ナルガ・プウル》はその後どうなったのか、等々、締めくくり方にほころびの多すぎる完結編でした。



・後半エピソード「夜空の神々」 原タイトル:GOTTER DER NACHT(意訳:夜の神々)

 銀河系船団は突如未知星域に実体化してしまい、ローダンたちは位置を特定しようとするが……、というお話。

 これは凄い。過去にも「大群サイクル」で故郷への帰還中に一瞬にして三年を失うという展開がありましたが、今回は経過年数が文字通り桁違い。ローダン一行は呆然となっていましたが、読者の方の衝撃も物凄いです。久々に「サイクルが変わると、背景設定が一新されて、新しい世界観になじむのに時間がかかる」というあの感覚を味わされました……

 しかしアッタヴェノクのベオドゥは銀河系船団についてきていたのか……、何の関係もないのに時間ジャンプに巻き込まれちゃって可哀そう……



・あとがきにかえて

 本巻の翻訳者の星谷馨さんがローダン翻訳チームからの卒業を告知されました。初翻訳は491巻(2015年)ですが、実は350巻「アフィリ―」から編集・全体統括を担当されていたとのこと。664巻以降は翻訳だけ担当されていたとのことですが…… 近年訳語の統一が取れていなかったりするのはそのせい? 今後シリーズはどうなってしまうの? 打ち切り以外に心配する要因がまた一つ増えた……
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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2023年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

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【SF小説】ペリー・ローダン第21サイクル「カンタロ」あらすじ・感想まとめ

エスタルトゥ (ハヤカワ文庫SF)
【以下ネタバレ】
 

他のサイクルの内容は以下からどうぞ

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目次

1. 作家チームメンバー
2. サイクル概要
3. 各話のあらすじ・感想
 
 

1. 作家チームメンバー

・K・H・シェール(1話~)
・クラーク・ダールトン(2話~)
・クルト・マール(5話~)
・H・G・エーヴェルス(198話~)
・エルンスト・ヴルチェク(509話~)
・H・G・フランシス(518話~)
・マリアンネ・シドウ(795話~)
・ペーター・グリーゼ(963話~)
・アルント・エルマー(1155話~)
・ロベルト・フェルトホフ(1328話~)

2. サイクル概要

・巻数:700~750巻(1400~1499話)
・期間:NGZ448年、NGZ1143年~
・舞台:ハンガイ銀河、?

 NGZ448年3月。タルカン宇宙からハンガイ銀河のすべてが転送されたことが引き金となり、局部銀河群に時空の大異変が発生した。ハンガイ銀河を航行していたローダン指揮下の銀河系船団は、時間の停止した空間「停滞フィールド」に捕らえられて時間の流れから切り離され、フィールドが消失したときには外の世界は695年経ったNGZ1143年となっていた。

 約700年の間に局部銀河群の状況は激変しており、時空の異変とその後に発生した戦乱の結果、各銀河の接触は失われ、銀河系は接近したものは戻らない「幽霊銀河系」と呼ばれる様になっていた。

(以下随時更新)



※本サイクルの細胞活性装置の所有者
ペリー・ローダン
・アトラン
・レジナルド・ブル
・ジュリアン・ティフラー
・ホーマー・G・アダムス ※行方不明
・ジェフリー・アベル・ワリンジャー →NGZ1143年 細胞活性装置を奪われて死亡(704巻/1407話)。装置は行方不明。
ガルブレイス・デイトン ※行方不明
・グッキー (ミュータント)
フェルマー・ロイド(ミュータント)
・ラス・ツバイ(ミュータント)
・イルミナ・コチストワ(ミュータント)
・イホ・トロト(382巻/764話~)
・ロワ・ダントン(363巻/726話~)
・アラスカ・シェーデレーア(363巻/726話~) ※行方不明
・ロナルド・テケナー
・ジェニファー・ティロン
・ゲシール(630巻/1260話~)※所有のみで未使用 ※行方不明


3. 各話のあらすじ・感想

※「巻数」からあらすじ・感想にリンクしています。
※★マークがついているのが文庫本のタイトルです。
 

発売日話数題名仮題作者
700 2023/11/07 1400 夜空の神々 夜の神々 マール
701 2023/11/21 1401 廃墟の王★ 廃墟の王 エルマー
1402 ドラゴンの惑星 ドラゴンの惑星 エーヴェルス
702 2023/12/05 1403 空飛ぶ民 空飛ぶ民 シドウ
1404 未来から来た盗賊★ 未来からきた盗賊 シェール
703 2023/12/20 1405 ポスビの継承者★ ポスビの遺産 エーヴェルス
1406 虚無のバリア 虚無にあるバリア フェルトホフ
704 2024/01/10 1407 サトラングの隠者★ 惑星サトラングの隠者 ダールトン
1408 永遠のひとしずく 永遠のひとしずく ヴルチェク
705 2024/01/24 1409 M-3の捜索者★ M-3の捜索者 エルマー
1410 宇宙ハンザの特使 ある商人の話 マール
706 2024/02/06 1411 氷結惑星イッサム=ユ★ 氷惑星イッサム=ユー グリーゼ
1412 マゼランの宙賊 マゼランの宙賊 シドウ
707 2024/02/20 1413 クロノパルス壁の飛び地★ クロノパルス壁の飛び地 フランシス
1414 最期の旅立ちく 捨て身の決起 シェール
708 2024/03/06 1413 預言者シュプール 預言者シュプール フェルトホフ
1414 神々の掟★ 神々の掟 エルマー
709 2024/03/25 1417 永遠への飛行★ 永遠へ向けた飛行 ダールトン
1418 巨人の洞窟 巨人の洞窟 マール
710 2024/04/05 1419 あるサイノスの死★ あるサイノスの死 エーヴェルス
1420 スターゲート 星々の門 エーヴェルス
711 2024/04/20 1421 時の目撃者★ 時の目撃者 ヴルチェク
1422 カンタロの日 カンタロの所業 ヴルチェク
712 2024/05/09 1423 アドヴォクという男 アドヴォクという男 シェール
1424 惑星フェニックスの反乱★ 惑星フェニックスの反乱 マール
 
 

他のサイクルの内容は以下からどうぞ

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Perry Rhodan 1400: Gotter der Nacht: Perry Rhodan-Zyklus "Die Cantaro" (Perry Rhodan-Erstauflage) (German Edition) Kindle
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【SF小説】感想「炎の嵐」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 699巻)(2023年10月18日発売)

炎の嵐 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-699)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124221
炎の嵐 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-699) 文庫 2023/10/18
ロベルト・フェルトホフ (著), ペーター・グリーゼ (著), 工藤 稜 (イラスト), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/10/18)
発売日:2023/10/18
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

銀河系船団とベングエル・ジュアタフの合同船団が目指す宙域には、ハウリ人部隊と、炎の侯爵による恐るべき罠が待ち受けていた!


銀河系船団とベングエル・ジュアタフの合同船団は、ナコード・アズ・クールからハンガイ銀河の最後に残った第四クオーターの宙域に向かっていた。二月二十八日には、最後に残ったこの宙域も通常宇宙へと転移してしまう。故郷宇宙に戻るためには、なんとしてもその期日までにそこに到着している必要があるのだ。だが、同船団の行く手には、イマーゴ暗殺をもくろむハウリ人部隊と、炎の侯爵の恐るべき罠が待ち受けていた!

 

あらすじ

◇1397話 歌手と殺し屋(ロベルト・フェルトホフ)(訳者:嶋田 洋一)

 NGZ448年2月。タルカン宇宙。ローダンたちの銀河系船団は、ベングエル・ジュアタフ合同船団と共に、2月末に転移予定のハンガイ銀河第四クオーターを目指していた。その途上でローダンとアトランはヒルダルからのメッセージを伝えられ、五万年前にエスタルトゥが支配者ヘプタメルに敗北したふりをしてロボット・トト・ドゥガたちの中に身を隠したことや、二人の細胞活性装置がベングエルとジュアタフを引き付ける目印になっていたことを知る。やがて「ダオ=バン星系」からベングエルとジュアタフに集合を呼び掛ける通信が入り、船団はダオ=バン星系に向かった。ローダンたちはハウリ人決死部隊の攻撃を退けるが、直後船団全ての船が行動不能に陥り、さらに空間の温度が急上昇を開始した。(時期:NGZ448年2月9日~25日)

※初出キーワード=惑星コニググ。二重融合。二重連合体。ダオ=バン星系(惑星ヴォンタルド。惑星ジトラ)。炎の嵐。



◇1398話 炎の嵐(ペーター・グリーゼ)(訳者:嶋田 洋一)

 銀河系船団とベングエル・ジュアタフ合同船団は、炎の侯爵アフ=メテムの攻撃「炎の嵐」で、直径二光週の空間に閉じ込められ、さらに空間が過熱され危機に陥った。ローダンとアトランはドリフェルカプセルが行動可能であることを知り、ダオ=バン星系の惑星「ヴォンタルド」の制御ステーションに突入して炎の嵐を停止させた。さらに星系に接近してきたアフ=メテムを炎の嵐で攻撃し消滅させたあと、制御ステーションを破壊した。(時期:NGZ448年2月26日~28日)

※初出キーワード=特になし。


あとがきにかえて

 亡父の家からマンションに引っ越す予定、という話。


感想

・前半エピソード「歌手と殺し屋」 原タイトル:DER SANGER UND DIE MORDER(意訳:歌手と殺し屋)

 ローダンたちがベングエルとジュアタフの合同船団を率いてハンガイ銀河の最後の1/4に接近すると……、という話。

 ハウリ人の決死隊が、イマーゴ暗殺のためわざわざジュアタフ・ロボットの船に偽装して接近してきたのに、ここぞというところで「攻撃ボタンと自爆ボタンを押し間違えて自滅」というオチに苦笑。まあサラアム・シインの出番を作るために仕方なかった感はありますが、あれだけ準備してこの結末は……



・後半エピソード「炎の嵐」 原タイトル:FEUERSTURM(意訳:炎の嵐)

 銀河系船団とベングエル・ジュアタフ合同船団は、炎の侯爵アフ=メテムの攻撃「炎の嵐」の前に大ピンチに陥るが……、という話。

 久々にローダン・シリーズで「これはないだろう……」という話に出合いました。話の9割がたを読んでもまだローダンとアトランが敵の基地に突入すら出来ておらず、一体これでどうやって決着をつけるのかと思ったら……

 それ以降、敵の基地は全く警備されていなかったためローダンとアトランは簡単に制御ステーションを制圧して炎の嵐を止めてしまい、さらに怒って駆け付けて来た炎の侯爵アフ=メテムは逆に炎の嵐で攻撃されてあっさり死亡……

 いくらなんでもこれはない。前話あたりでヒルダルは「支配者ヘプタメルと六大侯爵は超越知性体級の存在」云々と語っていましたが、超越知性体クラスがこんなに簡単に下等生物に殺されてしまっていいのか……、読み終えた後に苦笑というかがなかなか止まりませんでした(笑)

 P242のスィ・キトゥの台詞「してみるべきだ、地球人」は、「~テラナー」と訳すべきなのでは? 
 
 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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【SF小説】感想「戦闘部隊ラグナロク」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 698巻)(2023年10月4日発売)

戦闘部隊ラグナロク (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-698)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124213
戦闘部隊ラグナロク (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-698) 文庫 2023/10/4
ペーター・グリーゼ (著), マリアンネ・シドウ (著), 工藤 稜 (イラスト), 林 啓子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/10/4)
発売日:2023/10/4
文庫:288ページ

【※以下ネタバレ】
 

宇宙ステーション"ウリアン"のある宙域に到着した戦闘部隊ラグナロクの艦隊は、ハウリ人の戦闘艦隊に航路を封鎖されてしまう!


レジナルド・ブルから時空断層のなかに隠された宇宙ステーション“ウリアン”の報告を受けたギャラクティカムは、ガルブレイス・デイトンひきいる戦闘部隊ラグナロクをただちに編成した。“ツナミ=コルドバ”級の最新鋭大型戦闘艦五隻からなる小艦隊は、ただちに時空断層のある宙域へと向かう。だが、いかなる機器を使っても構造歪曲の場所を特定できない。しかもその宙域は、ハウリ人の戦闘艦隊により封鎖されてしまう!

 

あらすじ

◇1395話 戦闘部隊ラグナロク(ペーター・グリーゼ)(訳者:林 啓子)

 NGZ448年2月。通常宇宙。ガルブレイス・デイトンは、ハウリ人の巨大宇宙ステーション・ウリアン(ウル・アム・タロク)を破壊するため小艦隊「戦闘部隊ラグナロク」を率いてハンガイ銀河に向かった。目的地に向かう途中、デイトンは謎の存在「ヒルダル」の声を聴くが、ヒルダルとは超越知性体エスタルトゥの具象だった。デイトンたちはウリアンが隠された構造歪曲に侵入できず苦戦するが、最終的にウリアンを破壊し、構造歪曲を消滅させることに成功した。(時期:NGZ448年2月11日~)

※初出キーワード=恒星ラグナロクI。サンゴ星系/惑星ジキル&惑星ハイド。トト・ドゥガ(ちいさな子供たち)


◇1396話 かくされた世界(マリアンネ・シドウ)(訳者:林 啓子)

 ニッキ・フリッケルたちは通常宇宙側のハンガイ銀河でハウリ人の基地を探していたが、「惑星ナルナ」からベングエル種族を呼び集める通信が発信されたのを知り調査に向かった。ナルナの地下には、ジュアタフ・ロボット(別名トト・ドゥガ)が巨大地下施設を建造しており、さらにヒルダルが現れ過去の秘密を明かした。

 その昔、エスタルトゥは危機に陥った際に、自分の遺産を受け継がせるため500体のトト・ドゥガを製造し、トト・ドゥガたちは仲間を40億体まで増やして遺産を分配した。さらに彼らは動物から進化しつつあったベングエル種族40億にも遺産を分け与えたか、やがて遺産の記憶は失われ、自分たちが何を守っていたのかも忘れてしまった。

 ヒルダルは「成熟の時」が近いと予告して姿を消した。(時期:不明。NGZ448年2月頃)

※初出キーワード=恒星ミスティコン/惑星ナルナ。惑星ウシンディ。六日間勢力。


あとがきにかえて

 「不思議の国のアリス」と「となりのトトロ」の話。


アンケート葉書

 700巻到達を記念しての読者アンケート葉書あり。

・定期購読の申し込み

 『最近諸々の理由で紙の価格が高騰している。早川書房としてはローダンを必要な場所に必要な部数届ける仕組みを作りたい。だから本屋に定期購読の申し込み用紙を出してください』とのこと。


・読者アンケート

・ローダンを読み始めたきっかけは?
・それは西暦何年で何歳の時?
・本シリーズを読み続けてくれますか? はい/場合によっては止める
・シリーズが紙と電子版の両方になったら買ってくれますか? 紙だけ/両方/電子版だけ
・シリーズが電子版だけになったら買ってくれますか? はい/いいえ
 等々

 アンケートを送ると全員に「ローダン特製エコバッグ」をプレゼントしてくれるとのこと。


感想

・前半エピソード「戦闘部隊ラグナロク」 原タイトル:KAMPFKOMMANDO RAGNAROK(意訳:戦闘部隊ラグナロク

 ガルブレイス・デイトン率いる部隊がハウリ人の宇宙ステーション・ウリアンを破壊する回。新型ツナミ艦たった五隻で攻撃に向かった結果、当然のごとくハウリ人に容赦なくバッサバッサ撃沈されて、次から次から人が死んでいく結構残酷な回でした。

 ところで前巻の1394話「ローダン救出作戦」(H・G・エーヴェルス)のP198~P199で、行方不明のトヴァリ・ロコシャンはウル・アム・タロク/ウリアンの中に居ると示唆されていたのに、ガルたちが完膚なきまでにウリアンを破壊しちゃった(笑) 

 作者間の連携が上手くいなかったのか、もしくはエーヴェルスが自分勝手に伏線を張ったか、真相は不明ですが、何にせよ1213話「アストラル漁師」で初登場し、好き勝手に暴れまくったギフィ・マローダーことトヴァリ・ロコシャンともついにお別れか……



・後半エピソード「かくされた世界」 原タイトル:DIE VERBORGENE WELT(意訳:かくされた世界)

 ニッキ・フリッケルたちが惑星ナルナで、ようやくジュアタフ・ロボットとベングエル種族の秘密を(肝心なところは除いて)聞かされる回。

 ようやくクライマックスらしい雰囲気になってきました。
 
 
 

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【SF小説】宇宙英雄ローダン・シリーズが翻訳されなくなった時のために【ペリーペディア】

炎の嵐 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124221
炎の嵐 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/10/18
ロベルト・フェルトホフ (著), 工藤 稜 (著), ペーター・グリーゼ (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/10/18)
発売日:2023/10/18
文庫:272ページ

 
 ハヤカワ文庫から翻訳発行されている「宇宙英雄ローダン・シリーズ」。既に50年の歴史を誇りますが、なんか売れ行きがよろしくないような感触で、その内電子版のみになるとか、もっと悪いことに打ち切りにされそうとか、そんな雰囲気が無きにしも非ず……


 というわけで、そんな日に備えて、本国ドイツの情報サイト「ペリーペディア」を覗いてみました。
 ↓

Perrypedia
https://www.perrypedia.de/wiki/Hauptseite

www.perrypedia.de
 
 正直、このサイトが出版社の公式サイトなのか、はたまた巨大な同人サイトなのかすら理解していませんが(多分後者)、ドイツ語ができなくても大丈夫。何故かサイトに日本語翻訳用のボタンがついていますので、それを押すだけであっという間に日本語に。


 サイクル毎のあらすじはこちら。
 ↓

Zyklen Perrypedia
https://www.perrypedia.de/wiki/Zyklen

www.perrypedia.de
 
 サイクルごとの概要だけでなく、各話のあらすじもついています。まあなんて親切。

 例えばタルカンサイクル初回・1350話「滅びゆく宇宙タルカン」の内容はこんな感じ。

ペリー・ローダンは、フェルマー・ロイドとガッキーからカルタニンとタルカン(縮小する)宇宙 の他の民族の起源と歴史を学んだ後、カルタニンの多忙な活動の理由を探るため、 447NGZ年1月24日に湖北省を出発した。発見するコスモヌクレオチドDORIFER 。


447 NGZ 1 月 31 日午後 8 時 25 分、彼はDORIFER カプセル LEDA を持ってDORIFER ゲートを通過しました。DORIFER内では、サイオニック情報量子が無秩序に操縦し、静止しているように見え、最終的には全員がLEDAの位置に向かって突進するという証拠が確認されています。


ローダンは意識を失い、2月4日午後3時43分に目覚めます。LEDA の測定では、宇宙背景温度は 1000 度であり、その結果、背景が薄暗い赤色になっています。素電荷は 0.185 アトクーロンです。これらの値はカルタニンによって言及された値と一致するため、それらはタルカン宇宙にあるに違いありません。


315光年離れたところから、青い太陽の方向から超高エネルギーパルスが不規則な間隔で発生し、赤い太陽と緑の太陽2つが正五角形を形成します。さらなる情報を得るために、LEDA は青い太陽に向かって飛行します。

(以下略)

 
 ウン、大体言いたいことは解る。あらすじを掴むだけなら十分です。もし早川版翻訳版が冷酷に打ち切られたとしても、「ウォォ、もう続きが読めない」と泣かなくて済みそうではある……、まあ文庫版が続いてくれるに越したことはないので、このサイトに頼る日が来ないことを祈りたいものです。
 
 
戦闘部隊ラグナロク (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-698)