【SF小説】感想「クロノパルス壁の飛び地」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 707巻)(2024年2月20日発売)

クロノパルス壁の飛び地 (ハヤカワ文庫SF)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124337
クロノパルス壁の飛び地 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2024/2/20
H・G・フランシス (著), K・H・シェール (著), 岡本 朋子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2024/2/20)
発売日:2024/2/20
文庫:288ページ

【※以下ネタバレ】
 

アトランらは、クロノパルスの壁を探索中に発見した飛び地でヘラ星系を見つける。惑星ヘラ1には攻撃的な動植物相が存在していた


クロノパルス壁を探査中、“ラクリマルム”の全シントロニクスが突然クラッシュした。外部からの攻撃と思われるが、原因は不明。周辺宙域を精査すると、なんとクロノパルス壁に開口部が発見された!開口部がつくる通路の先の飛び地には恒星系がひとつあり、ヘラ星系と命名された。ヘラ星系には三つの惑星があり、ヘラ1とヘラ2には生命体が存在した。アトランは“ラクリマルム”と“シグヌス”に調査を命じるが…!?

 

あらすじ

◇1413話 クロノパルス壁の飛び地(H・G・フランシス)(訳者: 岡本 朋子(初))

 アトランたちは銀河系を包むバリア・クロノパルス壁に開口部があり、さらにその奥に飛び地で恒星系が存在することを発見し、調査を開始した。「ヘラ星系」と命名された星系には三つの惑星が存在し、カルタン人のロボットが活動していることが判明したが、やがて開口部が閉じ始めたためアトランたちは一旦撤退した。ヘラ星系には数百年前に遭難して取り残された「ヴェンクセントラリア人」がいたが、アトランたちに救出を求めようとして行き違いになり、結局死んでしまった。(時期:不明:NGZ1143年5月~7月頃)

※初出キーワード=ヘラ星系/惑星ヘラI・ヘラII・ヘラIII。ヴェンクセントラリア人。



◇1414話 最期の旅立ち(K・H・シェール)(訳者: 岡本 朋子)

 ラトバー・トスタンは、過去に肉体に受けたダメージが蓄積し、もはや艦長の任務を果たせないほどに衰弱していたが、それをアトランたちに隠して《ツナミ=コルドバ》でヘラ星系の調査に向かった。そして古いカルタン人の基地で旧知のカルタン人マン・グロの死体を発見するが、カルタン人がどうやってバリアに開口部を作ったのかは不明のままだった。思い余ったトスタンは《ツナミ=コルドバ》から自分とポージー・ブース以外を退艦させ、二人だけで強引にクロノパルス壁の突破を図ったが、失敗して命を落とした。(時期:~NGZ1143年7月10日)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

岡本 朋子氏
 初登場のあいさつ。


感想

・前半エピソード「クロノパルス壁の飛び地」 原タイトル:ENKLAVE CHRONOPULS-WALL(意訳:クロノパルス壁の飛び地)

 アトランたちがクロノパルス壁の飛び地の星系を調査する話。

 本筋は殆ど進展なしでしたが、ヘラ星系に遭難していた岩の塊みたいな遭難者「ヴェンクセントラリア人」のクアゴン・ターモールがゲストとして登場し、自分の作った人工生物と争いになったり、アトランたちに助けを求めようとしたら「長い間テレパシーしか使っていなかったので言葉の出し方を忘れていた」とかのサイドストーリーがあって、そこそこ面白く読めました。



・後半エピソード「最期の旅立ち」 原タイトル:DER LETZTE AUFBRUCH(意訳:最後の出発)

 ラトバー・トスタンとポージー・プースのコンビが死んでしまう話(涙)

 サブタイトルを見た時点で悲しい事が起きるとしか思えませんでしたが、やはり悲しい事が……、まあこのコンビはタルカン宇宙のエピソードに特化して作られたようなキャラクターでしたので、もう作家チームで不要と判断したのかもしれませんが、それにしてもまさかまさかの退場劇となりました。泣ける。


その他

 翻訳チームに新メンバーとして岡本朋子氏が加入。しかし近年の日本ではドイツ語のプロ翻訳者はほぼ女性だけなの……?
 
 
 

700巻~750巻(「カンタロ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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