【ゲームブック】感想:「ALL ABOUT GAMEBOOK Vol.3 西東社編」(2011年)

サバイバル・ゲーム―スーパーアドベンチャー・ゲーム (シミュレーション・ブックス (5))
 

ALL ABOUT GAMEBOOK VOL.3 西東社編 オールアバウトゲームブック3 - ゲームブックのオンラインショップ トレーダーズ・ギルド
http://tradersguild.cart.fc2.com/ca45/648/p-r45-s/

■ 概要
西東社ゲームブック全30作品+αを収録して解説した、当店オリジナルのデータベース書籍。
A5判 レーザープリンター出力本 カラー印刷 全79ページ。


■ 内容
珍品の多いシミュレーション・ブックスを中心に、余り知られていない後期作の「新シミュレーション・ブックス」シリーズや、麻雀を題材とした劇画シミュレーションまで……ゲーム本としてはそれなりに面白く、商業的にも十分に成功を収めているのだが、垢抜けない作風と何かしらズレた感性で読者に新鮮な感動と困惑を与えてくれる、西東社

「プロレス・ゲーム」を称しながら何故かトランプで勝負。探偵ゲームながらも何故か突然クイズ……「実はゲームブックと言う物がよく分かっていなかったのではないか?」と思えてくる、奇天烈な西東社ゲームブック全作品がここに。

 

オールアバウトゲームブックとは?

 「ALL ABOUT GAMEBOOK」(オールアバウトゲームブック)シリーズは、中古のゲーム書籍やTRPGを扱うオンラインショップ「トレーダーズ・ギルド」のオリジナル商品の書籍で、1980年代に数年だけ大ブームとなったゲームブックのカタログ本です。

 内容は、まず対象の出版社がブーム当時どういう会社だったかという概要から入り、その会社のゲームブックの傾向を分析して、どのような方針で当時のブームに対応したかを記述。さらにブランドが有れば、そのブランド毎にも傾向を説明、そして最終的にブーム時やブームが去った後にどのように対応したか、そして現在会社がどうなったか、という事を説明しています。

 ここまででも十分な読みごたえが有りますが、その後が本番で、個々の作品毎に、タイトル・作者・発売日などの基本情報から入り、さらに内容紹介・評価・備考などこれでもかと詰め込んでいます。原作付きの作品の場合には、その原作についても十分に触れられているので、もう「至り尽くせり」としか言いようが有りません。ゲームブックファンなら泣いて喜ぶ一冊となってています。

本巻の内容

 初版:2011年8月10日。西東社(せいとうしゃ)の発売した全30作品のカタログ。

 同社が発売した「シミュレーション・ブックス」「新シミュレーション・ブックス」他の内容を網羅しています。


●特徴

 西東社ゲームブックは、殆どが劇画系漫画家をイラストに起用した「ゲーム性のある劇画」という傾向の作品。あのさいとうたかを氏や桑田次郎なども描いている。挿絵が大きく文章は少ない。漫画版ゲームブックというわけではないが、それに近い感触。

 個々の作品のテーマも、スパイアクション、サバイバル、ウォーゲーム(という名前の戦争シミュレーション)、国鉄乗り換えシミュレーション、麻雀の何切る物、など、剣と魔法系のファンタジーなどとは一切無関係のテーマで占められている。

 ただし、それでもいわゆるゲームブックマニアとは全く別の層を開拓したらしく、最終的に合計200万部を売り上げ大成功を収めた。


感想

 西東社ゲームブックは、1980年代のブームの際によく見かけましたが、劇画風の濃い表紙絵(さいとうたかを氏とか)、安っぽい見栄え、全く興味のそそられないテーマ、毎ページに大きな挿絵が有って文章はちょっぴりという内容、は、全く興味の範囲外で、当時一冊も購入しませんでした。

 まあ、「ファイティング・ファンタジー系こそゲームブックの王道」と思っていた当時のマニア世代も、ほぼ同じような感覚だったと思われますけどね。

 実際本書で内容を確認しても、知れば知るほど徒労感が漂うと言うかの本ばかりで、さいとうたかを先生のサバイバル本とか、サッカーのゲームブックとか、麻雀シミュレーションとか、国鉄乗り換えゲームブックとか、今見ても全く興味がわきません。

 という事で、今までは西東社のシリーズは絶対大失敗だと思っていたのですが、意外にもマニア以外の層にはこれはこれで受けたらしく、合計で200万部売り上げたと知って驚きました。そういうニーズも有ったんですねぇ。
 
 

他の巻の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「オールアバウトゲームブック」シリーズまとめページ

perry-r.hatenablog.com
 
 
サッカー・ゲーム (シミュレーション・ブックス)