【SF小説】感想「銀河系船団の戦士グッキー」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 590巻)(2019年4月3日発売)

銀河系船団の戦士グッキー (宇宙英雄ローダン・シリーズ590)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122245
銀河系船団の戦士グッキー (宇宙英雄ローダン・シリーズ590) (日本語) 文庫 2019/4/3
H・G・フランシス (著), 増田 久美子 (翻訳)
文庫: 278ページ
出版社: 早川書房 (2019/4/3)
言語: 日本語
発売日: 2019/4/3

【※以下ネタバレ】
 

ローランドレの前庭と呼ばれる領域に到達した、ローダン率いる銀河系船団。だが、船の速度が突然に落ちて進めなくなってしまう!


少年時代の夢をみてヒントを得たペリー・ローダンが第三と第四の合言葉を告げたことで、ローランドレの関門は四つすべて開いた。銀河系船団とクラン艦隊は、いまや盟友となった門番クメキルとともに、ローランドレの前庭に向けてさらに進んでいく。ところが、船団の先頭にいた《バジス》に異変が起こった。すべてのシステムが正常にもかかわらず、船の速度が突然に落ちて進めなくなったのだ。いったいなにがあったのか?

 

あらすじ

◇1179話 ローランドレの前庭(H・G・フランシス)(訳者:増田 久美子)

 銀河系船団はローランドレを取り囲む領域「前庭」へと進出したが、未知の力により次第に船の速度が低下してしまう。前庭は、無限アルマダを最初に構成していた百の種族「門閥種族」の勢力圏で、その中で最有力の「イルタフ人」が船団に攻撃を仕掛けていた。さらに別種族「フィレル」も攻撃に加わり船団は危機に陥るが、フィレルはナコールが《バジス》に乗船していることを知ると、攻撃を中止して撤退した。(時期:不明。NGZ427年4月末頃)

※初出キーワード=門閥種族、門閥首脳、門閥長、門閥の母、負のフォーム・エネルギー、フィレル、イルタフ人、耐乏区域、力のニッチ、掩蔽豪、掩蔽豪兵器、掩蔽豪ヘッド



◇1180話 銀河系船団の戦士グッキー(H・G・フランシス)(訳者:増田 久美子)

 イルタフ人は銀河系船団に対し、互いに代表を一名ずつ出しての決闘を要求してくるが、代表に志願したグッキーは、一対多の不利な対決に勝利した。門閥種族の支配者「門閥長」たちは、イルタフ人の敗北の責任を追及するため、会合「門閥法廷」の開催を決定する。クリフトン・キャラモンは、イルタフ人の門閥長に変装して代わりに門閥法廷に参加すると、銀河系船団に伝説の存在「門閥の母」が人質になっていると発言する。それを信じた門閥長たちは、門閥の母の命を優先し、銀河系船団の通過を認めた。(時期:不明。NGZ427年4月末頃)

※初出キーワード=門閥の剣、門閥法廷、熟練部隊


あとがきにかえて

 2019年2月9日にドイツで開催された「ローダン3000話刊行記念式典」の話。


感想

 前半エピソード … 未知の空間「ローランドレの前庭」に進出したローダンたちが「門閥種族」に翻弄される話。銀河系船団VS門閥種族という局面だけではなく、門閥種族内での権力抗争も並行して描かれているのがなかなかに面白かったです。ただ、ナコールに嫉妬した乗員の愚行のあたりは余分な気もしたし、またナコールが「負のフォーム・エネルギー」で弱ってしまう展開は、終わってしまうとなんだったのか感強し。


 後半エピソード … 前半部分はイルタフ人の送り込んだ戦士対グッキーの決闘。このサイクルでは、ほぼ存在感をなくしているグッキーの久々の活躍話でした。後半はがらりと局面が変わって、クリフトン・キャラモンがかなり無理な変装をして「門閥法廷」に乗り込む展開。こういう潜入話も昔は毎回のようにやっていたのに、1000話を超えたあたりからすっかり無くなってしまったので、今回の話はひどく懐かしい気分になりました。終盤の、キャラモンが舌先三寸で門閥長たちを騙して、銀河系船団の通過を認めさせる辺りは痛快でしたね。
 
 イルタフ人の門閥長イララソングは、門番クメキルが恐ろしい相手だと散々ローダンたちを脅していましたが、最終的には眠らされてその間にキャラモンが化けた偽物が勝手に発言しているとか、目が覚めたら全然好きでもない相手との結婚式が待っているとか、喜劇の主役みたいなキャラになっていたのが無性におかしかったです。

 色々ありましたが、これで、ようやく、本当にようやく、ローランドレにたどり着いたようです。
 
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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