【SF小説】感想「ローダンの過去」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 589巻)(2019年3月20日発売)

ローダンの過去 (宇宙英雄ローダン・シリーズ589)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122210
ローダンの過去 (宇宙英雄ローダン・シリーズ589) (日本語) 文庫 2019/3/20
クルト・マール (著), 稲田 久美 (翻訳)
文庫: 255ページ
出版社: 早川書房 (2019/3/20)
発売日: 2019/3/20

【※以下ネタバレ】
 

ローランドレの門に行く手を阻まれている銀河系船団で、窃盗が急激に増加する。ローダンは子供時代の出来ごとを思いだしていた!


《バジス》ひきいる銀河系船団とクラン艦隊は、ローランドレの四つある関門のうち、ふたつを突破していた。第三関門を開くには、三つめの合言葉を見つけなくてはならない。そんなとき、船内の備品や技術機器が次々に消えるという事件が起こる。ローダンが調べてみたところ、だれかが盗んだらしいと判明した。未知の泥棒の意図はなにか? これもまた、ローランドレの門番クメキルがもたらした災厄のひとつなのだろうか?

 

あらすじ

◇1177話 ローダンの過去(クルト・マール)(訳者:稲田 久美)

 M-82銀河。銀河系船団はローランドレの第三の関門に到達するが、船内の備品などが何物かに次々と盗まれ、さらに乗員たちが「誘発性罪悪感コンプレックス」という状態に陥り様々な犯罪に走ったため、船団内の秩序は崩壊してしまう。ローダンは謎の存在に撃たれて重傷を負うが、夢の中でまだ11歳の子供だった1948年の事を再体験し、その結果第三の合言葉を見いだす。ローダンが無意識にその言葉を発したことで第三の関門は消滅するが、船団の状況は何も変わらないままだった。(時期:不明。NGZ427年4月頃)

※初出キーワード=誘発性罪悪感コンプレックス



◇1178話 第四の叡智(クルト・マール)(訳者:稲田 久美)

 銀河系船団はローランドレの第四の関門の前で立ち往生したまま行動不能に陥っていた。治療中のローダンは夢で1948年に起きた事件を再度体験するが、夢の中にアンブッシュ・サトーが現れてローダンたちに正しい道を示したため、夢の中の事件は解決した。目覚めたローダンが第四の合言葉を発すると、乗員たちは正常に戻り、第四の関門も消滅した。門番クメキルはテラナーの盟友に転じ、銀河系船団は「前庭」を目指して出発した。(時期:~NGZ427年4月29日)

※初出キーワード=なし


あとがきにかえて

 ノーベル賞山中伸弥教授もローダン読者だった、という話。


感想

 前半エピソード … M-82銀河に戻ってのローランドレの関門突破話。偶然なのか決まっていた事なのか不明ですが、585巻「エピクロス症候群」に引き続き、四つの関門の突破エピソードは全てクルト・マールの担当となりました。

 しかしローダンが死にかけて子供の頃のことを夢に見たら、第三の合言葉を思いついた、とか、もう理屈も何も通っておらず、どうにも割り切れない展開ではありました。


 後半エピソード … ローダンの夢の中にアンブッシュ・サトーが出て来る、という展開はちょっと面白かったのですが、もう東洋人の気とかチャクラとかそういう物を持ち出せば理屈は不要なのか、という感も…… もうSFというより半分ファンタジーという感もありました。

 「地獄の前庭」云々という言葉が気になって調べてみたのですが、どうやらダンテの「神曲」の用語の様です、知識が無いと「前庭か、ふーん」で終わりですが、知識のある人、あるいはドイツ読者、にとっては、この「前庭」と「ダンテ作品」の関係は当たり前なのかも。
 
 とは言え、面倒くさい関門を突破し、ようやくまた一歩ローランドレに近づけたので、今後の展開が楽しみ。
 
 
 

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