【SF小説】感想「十戒の《マシン》船」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 622巻)(2020年8月5日発売)

十戒の《マシン》船 (宇宙英雄ローダン・シリーズ622)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122911
十戒の《マシン》船 (宇宙英雄ローダン・シリーズ622) (日本語) 文庫 2020/8/5
ペーター・グリーゼ (著), クルト・マール (著), 若松 宣子 (翻訳)
文庫: 266ページ
出版社: 早川書房 (2020/8/5)
発売日: 2020/8/5

【※以下ネタバレ】
 

十戒の十二隻の巨大《マシン》船が、太陽系近傍に突如あらわれた。ツナミ艦隊の指揮官ロナルド・テケナーはその対応にあたるが!?


クロノフォシル・テラの活性化を目前にした太陽系に、エレメントの十戒があらたな攻撃をしかけてきた。技術エレメントの巨大船、《マシン》十二隻を展開させたのだ。だが、その動きは鈍く、目立った反応もない。十戒がどういう作戦を持っているのか、ツナミ艦隊司令ロナルド・テケナーは考えあぐねていた。そんなとき、アンティ種族の主惑星トラカラトで不穏な事件・事故が頻発する。到着したアルマダ部隊が原因なのか?

 

あらすじ

◇1243話 十戒の《マシン》船(ペーター・グリーゼ)(訳者:若松 宣子)

 太陽系に十戒の《マシン》船十二隻が出現し、十分の一光速でテラを目指して航行を開始した。テケナーたちは《マシン》船に潜入するが、技術エレメントたちの脳の無い抜け殻を発見しただけだった。やがてLFT艦隊は《マシン》船に攻撃を開始するが、《マシン》船は一斉に自爆し、そのエネルギーで何かを転送した。(時期:~NGZ428年12月24日)

※初出キーワード=ヒーザー種族



◇1244話 テラに飛ぶ夢の蛾(クルト・マール)(訳者:若松 宣子)

 テラの上空に、技術エレメントの脳を格納した飛行物体「テクノ衛星」二百億個が出現した。テクノ衛星は当初は全く無害だったが、数日でテラの通信・放送ネットワークを乗っ取ると、器機を介して「プシ操作」を開始した。そしてテクノ衛星こと「夢の蛾」により、テラ住人は精神を操作され、大半が「ヒュプノ・トランス」状態へと陥れられてしまった。(時期:NGZ428年12月25日~NGZ429年1月5日)

※初出キーワード=テクノ衛星、夢の蛾、プシ操作、ヒュプノ・トランス


あとがきにかえて

 コロナウイルス禍の話から始まって、カミュの「ペスト」やサラマーゴの「白の闇」、エンデの「果てしない物語」の話


感想

 前半エピソード … 原タイトル:DIE MASCHINEN DES DEKALOGS(意訳:十戒の《マシン》船団)。技術エレメントの巨大宇宙船《マシン》船が地球に向かってくる話。

 今回の話は「《マシン》船がのろのろ進んで来た挙句自爆した」で終わってしまい、それだけではページ数が埋まらなかったのか、ハルト人の惑星ハルトに無限アルマダのヒーザー種族が訪ねてくる話と、アンティ惑星トラカラトでアルマダ種族の侵略のような事が発生、というサブエピソードも込み。

 しかしハルト人の話はともかく、トラカラトの話は前回から引っ張った割に「家族との折り合いが悪い女の子一人が幻覚的な物を見せていただけでした」というなんとも拍子抜けなオチでガッカリ。こんな茶番に付き合わされたローダンもお疲れ様です。

 ところでP39の「無限アルマダの存在が特定の機能を発揮するのは、テラナーに対しての≪は≫だ」という台詞は「~テラナーに対しての≪み≫だ」の間違いではないでしょうか?


 
 後半エピソード … 原タイトル:TRAUMWELT TERRA(意訳:夢の国テラ)。テラが技術エレメントの侵略を受ける話。

 テラナーも悠長というか、謎の物体200億個が空を飛び回っているのに、捕獲も破壊もせず、「一体これは何なのか……?」と悠長に考え込んでいるうちに、あっさり侵略されてしまうという……、

 太陽系帝国時代のテラナーだったら問答無用でテクノ衛星を破壊して回ったに違いない、と思うと歯ぎしりしたくなる展開です。NGZ時代になって、なんでも物事を穏やかに進めるようになったのも、良し悪しというか。昔の様な策略と軍事力(だけ)で物事を進めていた時代が懐かしい……
 
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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