NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2021年2月3日(水)
【※以下ネタバレ】
けがで外出できなくなり、裏窓から住民を観察していたカメラマンが、殺人事件に巻き込まれてしまう…。アルフレッド・ヒッチコック監督の職人技がさえる傑作サスペンス。
天才映画作家ヒッチコックの職人技がさえる傑作サスペンス。事故で足を骨折し、アパートで車いす生活となったカメラマンのジェフは、退屈しのぎに裏窓からアパートの住民たちを観察していた。ある日、向かいに住むセールスマンの妻がいなくなり、ジェフは、いつも口論していた夫が殺害したのではないかと推測し、恋人のリザと看護師ステラの協力を得て調査を始めるが…。リザを演じたグレース・ケリーの華やかな美貌も印象的。
あらすじ
雑誌カメラマンのL・B・ジェフリーズ(ジェフ)は、六週間前の撮影中の事故で左足を骨折し、以後自宅で車いすの生活を強いられていた。暇を持て余したジェフは、窓から近所の建物の部屋の中を覗き、人間模様を観察して過ごしていた。
ある夜、ジェフは向かいのアパートに住む中年夫婦の夫の方が、深夜にもかかわらず何度も大荷物を抱えて部屋を出入りするのを目撃する。さらにその日から、部屋には妻の姿が見えなくなっていた。ジェフは夫が妻を殺したのだと確信し、恋人のリザや看護師ステラはその推理を聞いて大いに興味を抱く。リザの調べで、夫はラーズ・ソーワルドという名前だと判明する。
ジェフは、ソーワルドを捕まえようと、戦友で今は警察で警部補となっているドイルを呼びつけ、ソーワルドの調査を指示する。ドイルは半信半疑だったが、友人の頼みなので仕事の合間に調査を行い、ソーワルド夫人は一人で旅行中であることを確認する。ジェフは全てはソーワルドの偽装工作だと反論するが、ドイルは素人の言う事にはもう耳を貸さなかった。
ジェフたちは自分たちだけで証拠をつかもうと、匿名でソーワルドに電話をかけて家の外におびき出し、その間にリザはソーワルドの部屋に忍び込み、旅行中の筈の妻の結婚指輪を見つける。しかしそこにソーワルドが戻ってきて、リザは見つかってしまう。
ジェフは慌てて警察に電話をかけ、駆け付けた警官がソーワルドの部屋に乗り込み、リザは不法侵入で捕まる。しかしリザが結婚指輪を窓越しにジェフに見せていたのにソーワルドが気が付き、ジェフの部屋の位置がソーワルドにバレてしまう。ソーワルドはジェフの部屋に現れ、ジェフを窓から突き落とすが、ジェフは一命をとりとめソーワルドは逮捕される。
最後、ジェフが「両足」を骨折して車いすに座っているシーンで〆。
感想
評価は○(ぎりぎり)。
ヒッチコック作品の中では割と有名な方ですが、イマイチ乗れない映画でした。
実験的な映画で、基本的にカメラはジェフの部屋と、部屋から見える光景しか写さない、という構図限定映画。さらに、向かいの建物も中庭も建物の向こうに見える道路も全部スタジオ内のセットだという作り物感丸出し(当たり前)の映画です。
この映画でまず気になるのが、アパートの住民が誰もかれもプライバシーに全く気を使っておらず、窓を全開にして自分の生活をさらけ出していること。おかけでジェフはその有様を覗き放題ですが、そんな状況ってあり得るのでしょうか? 向かいの建物に人が住んでいて覗かれること必至なのに、カーテンもブラインドも閉めることを知らない、というそのシチュエーションがまずありえないというか……
さらに気になるのが、ジェフのキャラクター。ジェフは覗きから妄想をたくましくして「夫が妻を殺したに違いない」と思い込み、名探偵気取りで友人の警官ロイドを呼び出し、「さっさと逮捕しろ」「逃がす気か」「令状など無くても部屋に押し入れば殺人の証拠があるから、不法侵入もチャラになるさ」などと迷言を連発。ロイドのいないところでは、恋人リザと共にロイドを無能呼ばわり、と、全く感情移入が不可能な言行を連発します。こんな不愉快な主人公もなかなかいるものではありません。
結果的には、たまたま本当にソーワルドが殺人をやっていたらしいのでチャラになりましたが、この男ほど「小人閑居して不善をなす(つまらない人は暇を持て余すとろくなことをしない)という言葉が似合うキャラクターもいるものではないのでは。
ジャンル的にはサスペンスという扱いの様ですが、ラスト10分を除いてはジェフたちが人の生活をのぞき見しては探偵ごっこをしているだけののったりしたお話でサスペンス要素ほぼゼロ、最後にジェフが窓から突き落とされるシーンでちょっともりあがったくらいでした。
1時間54分も使わずに、60分枠のドラマとして放送されたならば、また評価も別だった気もしますけどねぇ……
シネマ「裏窓」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2021年02月03日 午後1:00~午後2:54 (114分)
【監督】
アルフレッド・ヒッチコック
【原作】
コーネル・ウールリッチ
【脚本】
ジョン・マイケル・ヘイズ
【撮影】
ロバート・バークス
【音楽】
フランツ・ワックスマン
【出演】
ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、セルマ・リッター ほか
製作国:
アメリカ
製作年:
1954
原題:
REAR WINDOW
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ