【映画】感想:映画「禁断の惑星」(1956年:アメリカ)

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NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2021年3月9日(火)

【※以下ネタバレ】
 

西暦2200年、未知の惑星に降り立った宇宙船のクルーは、消息を断ったはずの科学者とその娘、ロボットに遭遇、謎の怪物に襲われてしまう…。映画史にその名を刻む名作。


西暦2200年、惑星アルテア4に降り立ったアダムズ船長ら宇宙船のクルーは、20年前に消息を断ったモービアス博士と娘のアルタに遭遇する。先住民族の科学遺産で何不自由なく生活していた博士は、クルーに惑星から離れるよう忠告する。しかし、それを無視した彼らは、目に見えない怪物に襲撃されてしまう…。当時最新の特撮と斬新なアイデア、劇中に登場するロボットのロビーなど、多くの作品に影響を与えたSF映画の古典。

 

あらすじ

 J・J・アダムズ船長率いる連邦巡洋艦「C-57-D」は、20年前惑星アルテア4に着陸した宇宙船ベレロフォン号の生存者を探すため、一年の飛行の末、アルテア星系に到着した。ところがアルテア4に接近したところ、生存者のエドワード・モービアス博士が、直ちに引き返すようにと警告してきた。アダムズはモービアスを説き伏せ、着陸地点を指示させる。

 アダムズたちはモービアスの元に向かうと、暮らしているのはモービアスと、この星で生まれたモービアスの娘アルタだけだった。モービアスによれば、モービアスと彼の妻以外は目に見えない奇怪な存在に惨殺され、自分たちだけが生き残ったが、その理由は謎だという。その後モービアスの妻も自然死し、今は彼とアルタの二人だけで暮らしていた。

 モービアスは、ロボット「ロビー」の力で快適に暮らしており、救助してもらう必要はないと言い、アダムズたちを迷惑がって追い返そうとする。しかしアダムズは地球と連絡し指示を仰ぐ必要があるため、しばらくアルテア4にとどまることになった。

 ところが、深夜、C-57-Dに目に見えない何かが侵入し、通信機を破壊してしまう。アダムズたちは修理を急がせる一方、再度モービアスを訪ねると、モービアスは、この星にかつて暮らしていた異星人「クレル」について説明する。

 クレルは技術的にも倫理的にも現在の地球人をはるかに凌駕した存在で、最終的に精神だけの存在となることを目指したが、何故か一晩で滅び去り、今や彼らの存在を示すのは地下に残された巨大な技術施設のみだった。モービアスは、クレルのIQ増幅器を使って自分の知能を二倍にした後、20年かけて施設の研究を進めていたが、生み出される莫大なエネルギーが何に使われているのか分からないという。ロビーもクレルの技術を元にして作られたものだった。

 アダムズたちはクレルの技術を地球に持ち帰るべきだと主張するが、モービアスは地球人にはクレルの技術は早過ぎると拒否する。その間に、またしても船内に透明の生物が侵入し、乗員の一人を惨殺してしまう。地面に残された足跡は、進化の法則から反した奇怪な物だった。

 アダムズたちは厳戒態勢で敵を待ち構えると、透明な敵がまたしても襲撃してきた。相手は中性子ビーム砲の攻撃をものともせず、再度乗員三人を殺害して消えた。アダムズたちは、モービアスたちを強引にでも避難させるためモービアスの住居に向かうが、ドクターはIQ増幅器を自らに使って知能を増加させ、真相に気が付く。そしてアダムズに、クレルの計画は成功していたこと、敵の正体は「イドの怪物」であること、を伝えて死ぬ。

 アダムズはモービアスから「イド」とは「潜在意識の下の本心」であると知らされ、真相に気が付く。太古のクレル人は20万年前自分たちの潜在意識化の憎しみと破壊衝動をコントロールできず滅びた。そして、そのあと、モービアスの精神から生み出された「イドの怪物」が、この星を見捨てようとしたベレロフォン号の乗員を惨殺し、今またC-57-Dの乗員を襲っていたのだった。

 アダムズはモービアスに怪物を止めるように言うが、モービアス自身にも怪物はコントロールできなかった。モービアスは怪物と対峙し、怪物は消えるもののモービアスも虫の息となる。モービアスは24時間後にアルテア4が爆発するようにセットさせ、すぐにこの星から立ち去るように言う。そしてアルタとロビーを乗せてアルテア4を離れたC-57-Dは、アルテア4が大爆発する様を目撃するのだった。


感想

 評価は○(中々面白かった)。

 伝説のSF映画を数十年ぶりに視聴。1956年の映画なのですが、今見ても十分面白いのが凄かった。

 もちろん宇宙空間の描写や異星の地表のセットなどは今の目から見ると稚拙ですが、そういうSF的小道具を前面に押し出した派手な作品ではなく、映画のかなりの部分がアダムズたちとモービアスたちの会話で占められているという会話劇の要素が強いので、古さをあまり意識させない作りでした。

 そして伝説のロボット・ロビーが動いているのには感激でした。まああまり大したことはしておらず、基本的によちよち歩いて会話するくらいなのですが、会話の度にキャッシュレジスターみたいにガチャガチャという音がするのが何か気持ちよかったし、声がまた美声だし、さらにアダムズたちに呼び掛けるたびに「~、ジェントルメン」と言っているのが聞こえて、色々な面で印象に残るメカでした。

 アダムズ船長を演じたのは、後に「裸の銃を持つ男」シリーズなどコメディ物で有名になったレスリー・ニールセン。まあ、コメディ物に出始めたのは50代後半からで、それまでは「刑事コロンボ」とかで真面目な役をやっていたので、この作品でも格好いい船長役を好演しています。

 有名なイドの怪物は、アニメを上手く使って動かしており、なかなかそれっぽかった。まあリアルという程ではありませんでしたが、古くさくて見ていられない、というものでは無かったのも良し。


 1956年イコール昭和31年の作品、つまり65年前の映画ですが、前述のとおりSFギミックに頼った作品ではなく、人間ドラマを主体とした内容だったので、2021年であっても十分に楽しめました。傑作ですね。
 
 

シネマ「禁断の惑星」<字幕スーパー><レターボックスサイズ>
[BSプレミアム] 2021年03月09日 午後1:00~午後2:39 (99分)


【製作】
ニコラス・ネイファック
【監督】
フレッド・マクロード・ウィルコック
【原案】
アーヴィング・ブロック、アレン・アドラー
【脚本】
シリル・ヒューム
【撮影】
ジョージ・J・フォルシー
【音楽】
ルイス・バロン、ビーブ・バロン
【出演】
ウォルター・ピジョンアン・フランシスレスリー・ニールセン ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1956
原題:
FORBIDDEN PLANET
備考:
英語/字幕スーパー/カラー/レターボックス・サイズ

 

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