【映画】感想:映画「007/黄金銃を持つ男」(007シリーズ9作目)(1974年:イギリス)

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BS-TBS|007シリーズ【吹替】 https://bs.tbs.co.jp/movie/007/
放送 BS-TBS。2022年1月22日(土)

【※以下ネタバレ】
 

007シリーズ第9弾。すべてが純金製の黄金銃でボンドを狙う、超一流の殺し屋との火花散る対決!


イギリス謀報部に届いた007への挑戦状。それは黄金の銃を持つ、謎の殺し屋スカラマンガからだった。彼を追って香港に飛んだボンドは、彼が太陽エネルギーを利用した特殊装置で巨万の富を得ようとしていることを知る……。

 

あらすじ

 007/ジェームズ・ボンドは、イギリス情報部に「007」と刻み込んだ黄金の弾丸が届いたことを知らされる。それは「黄金銃」を愛用し、黄金の弾丸を殺しに使う、正体不明の伝説的殺し屋フランシスコ・スカラマンガからの、ボンドに対する殺害予告と思われた。ボンドはMに任務を解除され、休養や辞任を勧められるが、ボンドはスカラマンガの正体を暴くため行動を開始した。

 ボンドはスカラマンガの黄金弾はマカオの銃器職人によって作られていることを突き止め、弾丸を受け取りに来た謎の美女アンダースに接触した。アンダースはスカラマンガの愛人で、ボンドは彼女からスカラマンガの人相を聞き出し、スカラマンガが現れる予定だという場所を見張る。しかしその目前で黄金弾により男が殺されてしまう。

 ボンドはマカオに来ていたMと出会い、殺されたのはイギリス情報部が探していた、太陽エネルギー開発のエキスパート・ギブソンだと確認する。ギブソンは免責を求めてイギリス政府と交渉中で、その見返りとして自身が開発した太陽放射線を電力に変換する画期的装置「ソレックス・アジテーター(ソレックス)」をイギリスに引き渡すことになっていたが、ソレックスはいつの間にか消えていた。

 ボンドたちはギブソン殺しをスカラマンガに依頼したのは、ギブソンと仕事をしていたタイの大富豪ハイ・ファットだと睨み、ボンドはバンコクに乗り込んだ。ボンドはハイ・ファットと接触した途端殺されそうになるが、危機を乗り切る。その間にスカラマンガは雇い主のハイ・ファットを殺し、ソレックスを自分の物にしてしまう。

 ボンドの元にアンダースが再度現れ、黄金の弾丸を送ったのは自分であり、スカラマンガからの解放を求めて彼を殺してほしいと頼んでくる。ボンドはその代わりとしてソレックスを持ってくるように依頼するが、彼女は裏切りに気が付いたスカラマンガに殺された。

 スカラマンガは逃走し、その際イギリスの若手情報部員グッドナイトもスカラマンガに拉致されてしまう。やがてグッドナイトの持つ発信器から、スカラマンガは中国領にある小島にいると判明し、ボンドは飛行機で島に乗り込んだ。

 スカラマンガの屋敷は、ソレックスを利用した太陽光で莫大な電力を生み出すシステムを完備していた。スカラマンガはそのシステムを売りに出し、巨万の富を得るつもりだった。またスカラマンガは殺し屋としてボンドとの対決を望み、ボンドもそれを受ける。ボンドはスカラマンガを倒し、ソレックスを回収すると、グッドナイトと共に島から脱出した。おしまい。
 
 

感想

 評価は○(まずまずの出来栄え)

 8作目「死ぬのは奴らだ」(1973年)に続く「ロジャー・ムーア007」の二本目。前作では、雑な展開とコントシーンを過剰に詰め込んだ007映画らしからぬ内容に失望甚だしかったのですが、本作はかなり持ち直しており、娯楽映画としてまずまずの出来でした。

 展開は、いつもの「事件が発生し、ボンドが調査のために出発」というお馴染みパターンを脱し、ボンドが自分の命を狙う殺し屋の正体を探るために動く、というひねった滑り出しとなっているのが新鮮です。命がかかっているからか、ボンドにいつもの余裕がなく、マカオでは、銃器職人を脅したり、スカラマンガの愛人アンダースに手荒い真似をしたり、と、ちょっと凄みに満ちた一面が見られたのは良かったですね。

 ただまあ、中盤以降は、ボンドが狙われているというのは勘違いと解り、以後は空想感まるだしの「太陽エネルギーを利用するハイテクメカ」の争奪戦というふわふわした感じの話になってしまうのですが、まあそれもまた悪くはなかっです。

 殺し屋スカラマンガを演じたのは、ドラキュラ伯爵役その他で超有名なクリストファー・リー。さすがに迫力はありましたが、もうちょっと出番が欲しかったところです。

 今回も前作同様に、バンコクでカーアクション&ボートアクションがありましたが、前作ほど無駄に大安売りしておらず、特にカーアクションは緊迫感があったのは良かった良かった。


 ただしまあ、コント要素は相変わらず健在で、特にメインとなるのが、前作にも登場したペッパー保安官がバンコクで再登場するという展開。奥さんと一緒にタイ旅行に来ていた模様で、自動車店で車を見ている最中に、追跡用の車を求めて乗り込んで来たボンドと共に追跡劇に参加する羽目に、という流れでストーリーに関わってきます。そして顔見知りのボンドと再会して大喜びで、ノリノリでカーアクションを楽しむ、という展開は、以前の007では考えられない話です。製作スタッフは、ロジャー・ムーア映画では、こういう面白おかしさを前面に押し出すことに決めたんでしょうね。

 このコンビで追跡劇をしている最中の一番の見せ場が、車を壊れかけの橋に突進させ、ドリルみたいに車体を一回転させながら河を飛び超えるシーン。現実の話とは思えませんが、CGとかない時代のことで、正真正銘のスタントでやったそうで、しかも一発で成功させたとのこと。すごすぎる。しかしこの場面で「ヒョ~~~ン」とマヌケな効果音がかかるのはどうかって気もしましたけど。


 その他のコネタコントとしては

ベイルートで、ボンドが黄金銃の弾丸を手に入れようとしてうっかり飲み込んでしまう
とか

バンコクでボンドを助けにきた味方が、敵に追われて慌ててボンドを乗せずに車を発進させてしまう
とか

・スカラマンガの邸宅で、グッドナイトがお尻でスイッチを押してしまい、太陽エネルギーの装置を起動させてしまう
とか

随所に面白要素が仕込んであり、まあロジャー・ムーアにハードボイルドは似合わないとみんな思っていたのかもしれません。

 スカラマンガの車に羽根とエンジンを取り付けると、そのまま空を飛んで行ってしまう、というシーンは、ボンドカー的なギミックと受け取るべきなのか、はたまたこれも笑ってほしいのか、よくわからなかったですけど……

 といろいろありましたが、全体的に見て、十分合格点で、最初から最後まで楽しめた一作でした。まあ前作が酷過ぎたせいでひいき目に見ちゃっているのかもしれませんけど……
 
 

https://www.bs-tbs.co.jp/movie/007themanwiththegoldengun/
007/黄金銃を持つ男【吹替】


2022/1/22(土)
よる9:00~11:24


◆キャスト
ジェームズ・ボンドロジャー・ムーア広川太一郎
グッドナイト…ブリット・エクランド(佐藤あかり)
スカラマンガ…クリストファー・リー佐々木梅治
アンドレア…モード・アダムス(亀井芳子
M…バーナード・リー藤本譲
マネーペニー…ロイス・マクスウェル(泉裕子)
Q…デスモンド・リュウェリン(白熊寛嗣)
ペッパー保安官…クリフトン・ジェームズ(宝亀克寿


◆スタッフ
1974年/イギリス
監督:ガイ・ハミルトン

 

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