ダイアモンド博士の“ヒトの秘密” http://www4.nhk.or.jp/diamond-hakushi/
放送 NHK Eテレ。全12回。金曜22:00~22:30。
【※以下ネタバレ】
世界的ベストセラー『銃・病原菌・鉄』で知られる進化生物学者ジャレド・ダイアモンド博士が、アメリカ・ロサンゼルスで、若者向けに行った特別授業を12回にわたって放送。ヒトと動物の違いと共通点に注目し、言語やアートの本質、夫婦の不思議、そして、なぜ人間の間で格差が拡がってしまったのかを考える事によって、環境破壊や、戦争と大量虐殺など人間が抱えている問題について、解き明かしていく。
第6回 不思議いっぱい ヒトの寿命 (2018年2月9日(金)放送)
■内容
2月9日金曜
NHKEテレ1 午後10時00分~ 午後10時30分
ダイアモンド博士の“ヒトの秘密” 第6回「不思議いっぱい ヒトの寿命」
ダイアモンド博士は、「銃・病原菌・鉄」でピュリッツァー賞を受賞した進化生物学者。人間の進化によって現代社会を考察する博士の特別授業を12回にわたって放送する。
第6回は寿命について。ヒトの人生、そして動物の一生の長さは、どうやって決まるのか。なぜヒトは人生の半ばで子供を産まなくなるのか。そこには、進化によって緻密に設計された生と死のメカニズムがあると言われる。ダイアモンド博士が、命の謎に迫る。
【出演】進化生物学者…ジャレド・ダイアモンド,【声】糸博
●生物の寿命は何で決まる?
人間で120歳以上生きた人はいない。しかしカメは170年生きることができるし、逆にネズミはどんなに素晴らしい環境でも2年で死ぬ。寿命は何で決まるのか、博士は体の修復にどれだけエネルギーを使うか、で決まると考えている。
人は日焼けしても骨折をしても治す力が有る。実は体内では赤血球や腸の内壁も日々再生されて入れ替わっている。ところでトカゲは尻尾を切っても再生するし、ヒトデは腕を失っても生えてくる。しかし人の手足は失っても生えてこない。それは何故か? 博士はコストの最適化、という説を提示する。
車が故障した時、修理するか、それとも新車に買い替えるか、は支払うコストで判断する。生物の究極の目的は繁殖すること。進化の中で、生物はコストすなわち生きるために使うカロリーを「自分の修復」と「繁殖」にどう割り振るかが決まっていった。
ネズミやウサギのような小動物は、すぐ天敵に殺されてしまう確率が高い。そのため、自分の体を修復することにエネルギーを使っても無駄になる。ということで自己修復より繁殖にエネルギーを使う遺伝子が生き残ってきたために、小動物は寿命が短い。
逆にカメや鳥なら天敵に簡単に殺されないので、自分の修復にコストをかけても見合い、そういう遺伝子が生き残ってきた。そのためこれらの生物は、繁殖にあまり焦らず、ある程度自己の修復にエネルギーを使うので寿命が長い。
(人が手足を失っても生えてこないのは、そのレベルの怪我をすれば、助かる確率が低いため、それにカロリーをかけるのは見合わない、という進化をしたからだと思われる)
●閉経は何故おきる?
人間の女性はある年齢に達すると閉経して子供が産めなくなる。これは他の生物にはほとんど見られない特徴である。何故閉経があるのか。
博士の説では、子供を育てるのに時間がかかるため。人間は一人前に成長するために20年かかる。もし55歳で出産すれば、その子供が大人になる頃に母親は75歳になってしまう。現代ならともかく、昔は55歳くらいで死んでいたので、子供を最後まで育てられない。
また人間の出産はとても危険が大きい。だとすれば60歳より20歳で出産する方が生き残る確率が高くなる。高齢になって出産するのではなく、それまでに産んだ子供の世話をする方がいい。こういった理由で、人は年を取ると子供を産めないように進化したのではないか。
感想
体が小さい→エネルギーが少ない→だから長生きできない、というわけではなかったのね。