感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-24 バミューダ・トライアングル&ヴォイニッチ手稿の謎』

NHK 幻解! 超常ファイル ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー http://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 
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幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー 内容・感想一覧

 

『File-24 バミューダ・トライアングルヴォイニッチ手稿の謎』 (2018年4月5日(木) 21:00~22:00)

 

内容

http://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2018-04-05/10/25471/2357129/
4月5日
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
幻解!超常ファイル24▽バミューダ魔の三角海域&究極の未解読文書の謎


船や飛行機が消える!バミューダ・トライアングルの真相は?温かい食事を残し全乗組員が消えた幽霊船の恐怖!▽謎の未解読文書ヴォイニッチ手稿と「悪魔の手紙」に挑む!


栗山千明が案内する、不思議の世界と衝撃の謎解きシリーズ最新作!▽船が!飛行機が消える!バミューダ・トライアングル!できたてのコーヒーを残し全乗組員が消えた、メアリー・セレステ号事件!現地バミューダ取材や当時の記録から意外な事実が!▽究極の未解読文書・ヴォイニッチ手稿と「悪魔の手紙」。暗号か?デタラメか?不気味なさし絵の古文書の真相に、最新科学が迫る!▽12(木)から毎週一挙連続アンコール放送開始!

 
●1. バミューダ・トライアングル/メアリー・セレステ号事件

 アメリカ東部、大西洋の「フロリダ・プエルトリコバミューダ諸島」を結んだ三角形の海域を「バミューダ・トライアングル」と呼ぶ。この海域では船舶や航空機が意味不明の異常な通信を残す、あるいは全くSOSなども発しないまま消滅してしまう、いう異常な現象が発生している。その件数は100件以上とも言われる。

 その原因は様々に推測されており、「宇宙人による誘拐説」「異次元の穴に吸い込まれた説」「海底ピラミッドが原因説」「巨大怪獣の仕業説」といったものが挙げられている。もっと現実的な物では、突発的な下降気流「ダウンバースト」が原因とする物や、海底の「メタンハイドレード」からメタンの泡が噴出しており、船はその泡で浮力を失って沈没し、飛行機はメタンを吸い込んでエンジンが炎上墜落した、という物もある。

 しかし、そもそものところ、そんな奇怪な事件は本当に起きているのか? このバミューダ・トライアングルが有名になったのは、1972年にチャールズ・ベルリッツという人が書いた「バミューダ・トライアングル」という本によってで、この本は全世界で500万部の大ベストセラーとなった。

 ところが内容を精査してみると、そもそもバミューダ・トライアングルとは離れたところで起きた事故をバミューダ・トライアングル内の話だとしたり、有りもしない「謎の通信」を捏造したり、と、内容が極めていい加減だった。とある人の分析によれば、この本で書かれている36件の消滅事件のうち、23件までが捏造・誇張が行われていることが解ったのである。



 また同様に海に関する事件として有名なのが、1872年に発生したメアリー・セレステ号事件である。この船は、ポルトガル沖を漂流由しているところを発見されるが、船内に乗りこんでみると、温かい食事が食卓に並んでおり、救命ボートはそっくり残っているのに、人間の姿だけが無かった。乗員だけが忽然と消えていたのである。

 ところが、この事件も「温かい食事」や「救命ボートが残っていた」というところは事実ではなかった。当時保険金を巡って裁判が開かれ、その記録が現在に残っているが、食事は無かったし、救命ボートは全て無くなっていた。つまり乗員は救命ボートで船を去ったと考えるのが妥当である。何故船を捨てたのかは不明だが、謎はそれだけである。

 ところがのちに新聞の記事が「温かい食事」云々という捏造ストーリーを掲載し、さらにあのコナン・ドイルもこの事件を元にした小説を書いたことで、「食事が残っているのに人が消えた」という虚偽のストーリーが本当のように語られてしまうようになったのである。


 バミューダ・トライアングルもメアリー・セレステ号事件も、「誰も見ていない海の上の話だから、ちょっと誇張したり捏造して面白い話にしてもバレないだろう」という発想が生み出した、実体のないミステリーだったのである。



●2. 最新超常現象映像

(1)2017年5月 高速道路にゴーストバイク現る

 フランスで高速道路を人を乗せずに走るバイクが目撃された。複数の人間によって撮影されているのでフェイク映像ではありえない。幽霊がバイクに乗っていたのというのか!?

 真相:事故でバイクの運転者が振り落とされた後、バイクだけが一人で走り続けた。これだけ聞くと信じられないが、バイクレースではバイクが転倒して運転者が投げ出された後、バイクがバランスを取り戻し一人で走るシーンが撮影されている。高速で回転する物体は軸を安定させる力が働く。バイクでは即ちタイヤの回転がバイクを安定させ、人がいないまま5Kmも走る結果となった。超常現象ではないが、これはこれで大変珍しい映像と言える。


(2)2017年3月 深夜の学校 恐怖のポルターガイスト現象

 ブラジルで深夜の学校で消火栓の蓋(赤い扉)が、警備員の前で誰も触れていないのに勝手に開いたり閉じたりした。ポルターガイスト現象か!?

 真相:ブラジルのテレビ番組のスタッフが調べてみると、蓋に透明な釣り糸の切れ端が見つかった。つまり誰かが蓋に釣り糸を通しておき、見えないところから釣り糸を引っ張って開いたり閉じたりしていたとみて間違いない。このCG全盛の時代に意外なアナログ手法が使われていたようである。


(3)2018年2月27日 UFOの大群を生放送のカメラが捉えた

 アメリカ・ミルウォーキー州。深夜4時のニュース番組のライブカメラ映像に、夜空を飛び回る光の筋のようなものが多数写っていたのである。UFOの大群が出現したのか!?

 真相:プロデューサーがスタッフを向かわせたところ、「カモメの群れ」が飛んでいた。ライブカメラの性能が低いので高速で飛ぶカモメが線を引いて飛ぶように見えたのである。



●3.ヴォイニッチ手稿

 世界には未解読の文書が多数存在する。例えば1676年にシチリアの修道女が書いたという「悪魔の手紙」という文書が有る。修道女に悪魔が憑りつき書かせたものだと伝えられる。2017年に研究者が調べたところ、ラテン文字古代ギリシャ語、ルーン文字アラビア語などを組み合わせたものと解ったが、未だに書かれている内容は不明である。

 そして未解読文書の中でもっとも有名な物がヴォイニッチ手稿(写本)である。1912年にイタリアで古物商のヴォイニッチが発見したことからヴォイニッチ手稿と呼ばれる。全230ページ。羊皮紙にカラフルなイラストと未知の文字による説明文らしきものが書かれているが、イラストに描かれている植物などが一切現実に存在しないため、世界中の研究者が100年かけても未だに内容が解読されていない。羊皮紙を調べて15~16世紀ころに書かれた、と推測できるだけである。

 イラストを見ると、どうやら全6章構成らしく、それぞれ「植物の章」「天文の章」「生物の章」「十二宮図の章」「薬草の章」「レシピの章」と呼ばれている。

 書かれている文字を暗号だと考える人々は、様々なアイデアに基づいて解読を試みたが、今のところ全く成功していない。ではもしかすると書かれている文字はデタラメで、全く意味が無いため解読できないのでは? ところがコンピューターで各章に書かれている単語の出現具合を分析してみると、全くのデタラメではなくある程度の規則性があることが解った。つまり何かしら意味のある文章の可能性が高い。

 もしかすると、手稿に書かれているのは自然言語ではなく、人工的に作られた「人工言語」の可能性もある。例えばプログラミング言語人工言語のひとつである。しかし文章のサンプルが少なすぎて言語のルールが解らないため、未だに解読に至っていない。手稿が全230ページ有ると言っても、絵がメインで文章はその説明書きのような感じなので量が少なく、サンプルとしては足りないのである。

 そもそもこの手稿は誰が何のために書いたのか? 中世の特権階級の人たちが作らせたと推測できるのみで、その目的も一切解らない。私たちがこの手稿を解読できる日は来るのだろうか……?

感想

 この番組は毎回テーマを見るたびに「まだそのネタが残っていたか!」と膝を打ちたくなりますが、今回は「バミューダ・トライアングル」「メアリー・セレスト号」「ヴォイニッチ手稿」というオカルト界隈では超有名なネタを三連投。

 バミューダ・トライアングルメアリー・セレスト号は、既に「都市伝説」という事が有名になっているからか「海の怪異」という感じでひとまとめにしてサクッと紹介。まあ今更チャールズ・バーリッツの捏造を一々取り上げるのもねぇ、という感じでしょうか。私も1970年代にはバーリッツ本を愛読した者ですけど、捏造はイカンよね。

 個人的に今回のメインデッシュはヴォイニッチ手稿トリノの聖骸布と並び「未だに謎が解明されていないリアルオカルトネタ」だけに熱い視線を注いでいるアイテムですが、番組では手際よく内容を紹介しつつ、「単語の分析から、適当に書かれたデタラメ本ではない」という事を示してロマンを残してくれました。

 まあ『解読してみてもわりと大したことは書いてないだろう』とは思っていますが、やはりCGとかによって捏造されたのではないリアルな謎は良いもんですねぇ。
 
 

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番組概要

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/
UFO、ネッシー、雪男、予言&占い、心霊現象、超古代文明、妖怪、吸血鬼、魔女…。闇の魅力がもつ妖しげな幻に対して、「今、何がどこまでわかっているのか?」を徹底検証!そこから浮かぶのは、自然の神秘、私たちの脳や心の不思議なメカニズム、社会のからくり、昔の人の驚くべき技術と想像力…。ダークサイドの向こうの“本物の不思議”をワクワクしながら楽しんでいただく、NHKならではの超常現象ガチンコ検証番組!


出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など

 
 
謎のバミューダ海域 完全版 (徳間文庫)
メァリー・セレスト号の謎 (アンビリーバブル物語)
ヴォイニッチ写本の謎